- NISA口座開設はネット証券での開設がおすすめ。
- ネット証券の中ではSBI証券が一番バランスがよくおすすめ。
- これから投資をしっかり学びたい方は楽天証券がおすすめ。
- 米国株式の投資をお考えならマネックス証券の利用も検討の余地があり。
- 課税口座でロボアドの投資をしたいなら松井証券も検討の余地があり。
- 課税口座で株式投資をしたいならauカブコム証券も検討の余地があり。
公開日:2020年2月4日
新しい年が明けて、今年から証券口座を開設して投資を始めようとされている方もいらっしゃると思います。その中でも、NISA口座の開設を検討されている方も多いのではないでしょうか。
ただ、金融機関には様々なタイプがあり数も膨大なので、どこがいいか判断は簡単ではないと思います。そこで、今回は投資初心者の方が、NISA口座を開設する金融機関を比較判断できる材料となる記事を記載したいと思います。
目次
NISAは、有価証券への投資が一定枠まで非課税となる少額投資非課税制度です。具体的には、一般NISA、ジュニアNISA、つみたてNISAの3つがあります。前者2つは株や投資信託を中心に投資可能で、最後の3つ目はほぼ投資信託一本です。
証券取引では、投資から生じる配当金・分配金や売買益に原則としておよそ20%の税金がかかりますが、NISA口座内ではかかりません。
NISA口座を開設できる金融機関は主に銀行、証券会社、ネット証券の3種類です。いずれも金融機関である点には変わりはなく、似ている面も多くあります。しかし、大きな違いもあります。
特に、投資初心者の方には、そこを理解した上での投資が大切になってくるので、以下それぞれ比較します。
銀行でのNISA口座開設はおすすめできません。証券会社に比べ情報量、社員の経験値、取扱商品の観点で劣っていると考えられるからです。
銀行の本業はあくまで融資業務です。証券会社等と比較してリスク性のある金融商品の情報は少ないですし、現場の社員の取り扱い経験が証券会社ほど多いわけではありません。さらに、現在では投資信託は銀行で販売を行っていますが、株式については取扱いしていません。
銀行外でNISA口座を取扱うことのできる金融機関の代表格が証券会社です。その証券会社は、大きくわけると営業店舗を持つ対面型証券会社と、店舗を原則として持たずウェブサイトで顧客が直接商品を購入するネット証券会社の2つがあります。
結論から記載しますと、ネット証券会社の方がおすすめです。その理由は両者のビジネスモデルの違いと運用商品のリターンの2つです。
対面型証券会社は店舗を抱える分、たくさんの人員を要します。その人件費を賄うために大口かつ高コスト商品の取引が多いです。
NISAの場合は少額の投資枠なので、対面型証券会社にとっては取り扱うインセンティブが働きにくいですし、投資家から見ても節税のためには高コスト商品の投資は避けた方が無難です。
金融庁では、「投資信託の販売会社における比較可能な共通KPI」というものを公表して各社のデータを集計しています。その中に、投資信託の預り残高上位20銘柄のコスト・リターン/リスク・リターンを金融機関のタイプに応じて比較した資料があります。
見てみると、低コストで抜群にリターンが優れているのがネット証券会社です。リスクで見ても、ある程度のリスクでそれなりに高いリターンを上げています。
出典:金融庁ホームページ 「顧客本位の業務運営」の取組成果の公表状況 P6
NISA口座を開設する金融機関がネット型証券がよいとしても、その中にも様々な会社があります。そこで以下、ネット証券の中でどこかおすすめかについて記載します。具体的にはネット証券間のランキングを考えてみました。
比較対象会社は大手のSBI証券、マネックス証券、楽天証券、松井証券、auカブコム証券の5社です。比較基準は商品、手数料、お得な利用方法等、提供情報、問い合わせ、積立方式の6点です
結論から記載すると、上記6項目の評価およびランキングは以下の通りです。当然ながらこれは、投資初心者がNISA口座を開設して証券取引を開始するケースでのランキングであり、他の方が対象ならばまた結論が変わってきます。
会社名 | 商品 | 手数料 | お得な利用方法 | 提供情報 | 問い合わせ | 積立方式 | 順位 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
SBI証券 | ◎ | ◎ | 〇 | ◎ | ◎ | ◎ | 1 |
マネックス証券 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ◎ | ◎ | 3 |
楽天証券 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 | 2 |
松井証券 | △ | 〇 | △ | ◎ | ◎ | ◎ | 4 |
auカブコム証券 | △ | 〇 | × | 〇 | ◎ | △ | 5 |
以下、それぞれのネット証券ごとの6つの項目について記載します。
SBI証券は6つの項目のいずれの観点からも優れており、いわば「死角のない」ネット証券会社と考えることができます。投資初心者がNISA口座を開設するのに一番おすすめです。
SBI証券では、大手ネット証券会社の中で、商品バラエティが一番豊富です。株式では大手ネット証券の中で外国株式の投資対象国が最も多いです(9か国)。また、投資信託の取扱い本数も2,568本(2019/12/30現在)と最高水準です。
手数料の観点では無料で購入できる商品が多いです。投資信託の販売手数料や国内株式の売買手数料は0円です。海外ETFについては買付に関しては0円となっています。
投資信託を保有する場合、その残高に応じてTポイントが付きます。1,000万円未満であれば、年率0.1%のTポイントが付与されます。そのポイントは日常のお買い物等に利用することももちろんできますし、投資信託の買付に利用することも可能です。
ホームページでの情報提供に加え各種セミナーでの提供情報が充実しています。オンライン上でのセミナーだけでなく全国各地での対面でのセミナーも行っています。
中でも、SBI証券はネット証券には珍しくSBIマネープラザという店舗も持っています。そこで開催される対面セミナーであれば、不明な点も直接社員の方に聞くことが可能です。
コールセンターの営業時間は年末年始を除く平日8:00~18:00です。ネット証券によっては17時までしか営業していないところもあるため、ここは他者と比べて優位性があります。
またコールセンターには、「口座開設サポートデスク」、「テクニカルデスク」と複数のタイプがあるところも特徴的です。
投資信託の積立の仕方も柔軟な方式を選ぶことができます。金額は100円からで、毎日好きな日を選んで積立できます。積立タイミングまで自由に選べ、毎日積み立てるということも可能です。
楽天証券もあらゆる観点で見て、とても利用しやすいです。1位のSBI証券と比べ、利用方法の自由度の高さと情報量の多さがあり、投資初心者の方には使いにくいと感じられる方もいらっしゃるかもしれません。
そのためランキング自体は2位にしていますが、今は投資初心者でも様々な情報を入手し勉強して、ゆくゆくは自分なりの投資手法を磨いていきたいとお考え方にとっては、SBI証券よりもおすすめです。
取扱い投資信託の数は、SBI証券と同様に業界最高水準です。外国株式はSBI証券と比べて投資対象国は限られていますが、米国株、中国株等の主要な外国株式は取り扱っています。
投資信託の販売手数料と国内株式の売買手数料は無料です。海外ETFの買付手数料は全額キャッシュバックされるため実質無料です。
銀行口座やカード連携で楽天スーパーポイントが貯まります。また投資信託の残高に応じてポイントが貯まる複数のプログラムがあります。これらのポイントを使えば、投信積立可能です。
SBI証券と比べて、関連グループの取引と一体にしてNISA口座を利用することで、より効果的にポイントを貯めることができるところが大きな違いです。うまく連携すればよりお得なる反面で、利用条件の仕組みが複雑です。
ホームページの情報量がとても多く、Q&Aも非常に充実しています。また、それ以外にも、トウシルという金融メディアや複数のYouTube番組も運営しており、あらゆる観点での情報が豊富です。自ら投資を学ぶ意識の高い方にとっては、特にここは大きなメリットでしょう。
出典:楽天証券
出典:トウシル
SBI証券と同じくコールセンターの営業時間は、平日8:00~18:00です。窓口は口座ありの方だけでなく、口座なしの方用の窓口まで設置されています。また、電話だけでなくチャットで相談できるチャットボットまであるところも特徴的です。
投資信託の積立金額は100円からで、毎日積み立てることも可能です。ただ、資金の引き落とし日は引き落とし方法が証券口座、カード決済、銀行口座かによって異なります。SBI証券と同様に、自由度は高いですが、引き落とし日の部分はやや仕組みが複雑です。
マネックス証券の取扱い商品数はSBI証券と楽天証券にやや劣るものの、外国株式の中で米国株式での取引に優位性があります。他のサービスもそれなりに充実しているので、投資初心者の中でも、その特徴を生かした取引をしたい方にはおすすめできる会社です。
外国株式の投資対象国は米国株と中国株だけですが、米国株の取扱い銘柄が非常に豊富です。投資信託の取扱い商品数はSBI証券や楽天証券にやや劣るものの、それでも1,000本以上の商品数があります。
投資信託の販売手数料と国内株式の売買手数料は無料です。加えて、外国株式買付時の国内取引手数料(税込)が恒久的に全額キャッシュバックされ実質無料です。この外国株式の部分はSBI証券や楽天証券にはない特典です。
投資信託の保有残高に応じてマネックスポイントが貯まります。ポイント付与率は0.03%(年率)とやや低めで、一部ポイント対象外の商品もあります。
ただ、このマネックスポイントは、Amazonギフト券やTポイント、JALやANAのマイルに変換することが可能で、日本赤十字社への寄付などにも使えるなど利用の用途は多彩です。
また2月29日までは、新規口座開設を条件にPayPayギフトカードを最大2,800円相当もらえるキャンペーンもやっています。
PCとスマホでの情報提供に加え、対面でのセミナーも行っており、幅広い情報提供を行っています。スマホアプリには米国株専用のアプリまであり、やはり米国株式の投資情報の提供には力が入っています。
コールセンターの問い合わせ時間は平日8:00~17:00とSBI証券や楽天証券と比べ1時間短いですが、口座なしの方・ありの方だけでなく、米国株やパソコン関係の窓口があり、コールセンターの問い合わせ窓口が豊富です。
100円から投資信託の積立が可能です。積立日は月に1回まででしたが、1月26日から毎日積立ができるようになりました。
松井証券は外国株式取扱いがなく、投資信託の取扱い数も他社に比べると少ないです。ただ、口座開設時のサポートが充実しており、ホームページもすっきりしていて見やすく、最低限の機能を丁寧にコンパクトに提供しているイメージを感じさせられます。
また、NISA口座では利用できませんが、ロボアドバイザーによる投資信託サービスに力を入れており、課税口座でロボアドバイザーによる投資も行いたい方にもおすすめです。
前述の通り外国株式の取扱いがないので、外国株式を利用したい方にとってはデメリットな点です。
投資信託の販売手数料と国内株式の売買手数料は無料です。
対象の投資信託の月間平均保有金額に応じて、年間0.1%のポイントが付与されます。ポイントはAmazonギフト券、各種物品、投資信託(3種類)と交換・購入するのに利用できます。
また、 3月31日まで、松井証券に口座を開設して期間中に合計5,000円以上投資信託をつみたてすると、最大10万名様に現金1,000円プレゼントするキャンペーンを現在実施中です(2020年2月時点)。
ホームページを見ると、口座開設時のサポートが丁寧な印象があります。また、アプリの中でも投資信託専用のアプリがあるので、投資信託の情報提供には力を入れています。
コールセンターの問い合わせ可能時間は平日8:30~17:00までとなっています。
他社に比べやや短いですが、口座をお持ちでないお客様専用の 「マネープランサポート」のコールセンターがあり、結婚、育児、住宅購入、老後など、今後のライフイベントに備えた早めの資産形成・運用の相談ができる窓口があるのが特徴的です。
投資信託は100円から投資可能で、投資タイミングは「毎日」「毎週」「毎月」から選ぶことができ、ある程度自由に設定できます、課税口座では、ロボアドバイザーで積立することもできるので、むしろ課税口座での積立において他社に比べた優位性があります。
auカブコム証券も外国株式の取扱いがなく、投資信託の取扱い数も他社に比べると少ないです。NISAよりは課税口座での株式取引において優位性があります。
NISA口座を中心に取引をお考えの方であれば使い勝手はよくないかもしれませんが、投資を今後本格的に勉強し個別銘柄を課税口座で取引したいとお考えの方にとっては、利便性があります。
外国株式の取扱いはありませんが、売買手数料無料のETFが100銘柄以上あります。
投資信託の販売手数料と国内株式の売買手数料は無料です。株式は、電話(オペレーター)での取引注文の場合も無料となります。
特にキャンペーン等は実施してないため、特別な利用方法はありません。
ホームページに加え、松井証券もYouTubeでも情報配信しています。また「FUND DRESS」というカラー診断からつみたてNISA対象商品の投資信託を選ぶというユニークなサービスもあります。
出典:カブコム公式チャンネル
出典:FUND DRESS
オペレーターの受付時間は平日8時~17時とやや短いですが、インターネットを介して、直接お客さまのパソコン画面や起動しているアプリケーションを参照しながら、操作方法をご案内するサービスがあるところが特徴的です。
投資信託は100円から投資可能で、自動引落日は1日単位で自由に設定できます。株では単元未満株の積立サービスがあり、毎月500円以上1円単位から積み立てできる「プレミアム積立®(プチ株®)」があります。銘柄は3000以上あり、積立買付手数料は無料です。
以上の記載には、著者の独断と偏見も多分に含まれておりますので、あくまで1つの参考として見ていただけたら幸いです。NISA口座を始めるときに、特にこだわりたいポイントがある場合は、ランキングの順位は度外視して気に入った金融機関を選ぶのもありです。
またNISA口座は、1つの金融機関で開設した後でも他の金融機関に変更することも可能です。まずは、いったん決めた金融機関で始めてみるのもよいでしょう。