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がん保険は20代でも必要性はある?メリット&選び方のポイントをFPが解説

がん保険は20代でも必要性はある?メリット&選び方のポイントをFPが解説

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寺野 裕子

寺野 裕子

てらのファイナンシャルプランニングオフィス代表、CFP、1級FP技能士

2008年FP相談業務開始。2014年事務所運営スタイルを金融機関等からの紹介手数料を一切得ず、報酬は顧客からの相談料のみとするフィーオンリーへ移行。「ファイナンシャルプランニングは100人100様」をモットーにライフプランの実行支援を行っている。

「日本人の2人に1人ががんにかかっていますから、がん保険に加入を!」といったキャッチフレーズはテレビCMなどでよく見かけますよね。

このキャッチフレーズ自体は嘘ではないのですが、まだ元気で若い20代の方にとっては、ピンとこないという方も多いのではないでしょうか?同時に、まだ若いから大丈夫とは思いつつ、本当はがん保険に入っておくのが良いのではと迷われている方も多いはず。

がん保険に限った話ではなく、これからの長い人生をお金の面で安心して過ごしたいと考えているなら、20代から保険について考えるのは決して早すぎることでもないですし、人生設計の上では重要ポイントです。

今回はそんな20代のみなさんに向けて、がん保険に加入することのメリットとがん保険の賢い選び方についてご紹介させていただきます。

 

20代もがん保険の必要性あり!その理由は?

20代もがん保険の必要性あり!その理由は?

まず最初に、どれくらいの人ががんにかかっているのか、がんにかかるとどれくらいのお金が必要なのかを確認しながら、20代にとってのがん保険の必要性を見ていきます。

 

生涯でがんと診断される確率は男性62%、女性47%

国立がんセンターが将来どれくらいの確率でがんにかかるかというデータを年齢別に公表していますので、20歳以上をまとめてみました。一生涯で何らかのがんにかかる確率は男性62%、女性46%という結果が出ています。

最近「がんは2人に1人がかかる時代!」とよく言われていますが、このあたりのデータが根拠とされているようです。

このデータから現在20歳の方も将来的にはほぼ50%の確率でがんになる可能性がありますと読み取れますので、心配になる方も多いかと思います。しかし男性62%、女性47%というのはあくまでも一生涯でのお話しです。

各年齢別の10年後、20年後といった期間で見た場合にはどうなのかも見てみましょう。20歳では、20年後の40歳までにがんにかかる確率は男性0.8%、女性0.2%。ということは、男性は125人に1人、女性は50人に1人です。

この数字を見ると、20代もがんは他人ごとではなさそうであると感じられますね。

将来どれくらいの確率でがんにかかるか(男性)
現在の年齢 10年後 20年後 30年後 40年後 50年後 60年後 70年後 80年後 生涯
20歳 0.2% 0.8% 2% 7% 20% 41% 62%
30歳 0.6% 2% 7% 20% 41% 62%
40歳 1% 7% 20% 41% 63%
50歳 5% 19% 40% 63%
60歳 15% 38% 63%
70歳 29% 60%
80歳 53%
将来どれくらいの確率でがんにかかるか(女性)
現在の年齢 10年後 20年後 30年後 40年後 50年後 60年後 70年後 80年後 生涯
20歳 0.3% 2% 5% 10% 18% 29% 47%
30歳 1% 5% 10% 18% 29% 47%
40歳 3% 9% 17% 28% 46%
50歳 6% 14% 25% 44%
60歳 9% 21% 41%
70歳 14% 36%
80歳 28%

 

実質自己負担額平均額は21万円!

がんのことが話題になると、よく心配されるのが「お金」の問題です。この「お金の問題」の1つに医療費等がんにかかる支出の増加があります。では、がんにかかるとどのくらいのお金がかかるのでしょうか?

がんにかかる費用について厚労省研究チームが、がん治療によりかかる医療費の自己負担平均額は年間92万円、高額療養費や医療費還付等の償還・給付額を差し引いた、がん患者の実質的な自己負担額は平均21万円であったことを公表しています。

自己負担額の内訳は、入院費、外来費、健康食品・民間療法、民間保険料等、償還・給付金には民間の保険給付金も含まれます。どのようながんにかかるかによっても医療費は異なります。同調査から部位別の自己負担額と償還・給付金から実質自己負担額をまとめてみます。

自己負担額 償還・給付金 実質自己負担額
大腸がん 126万円 98万円 28万円
肺がん 108万円 75万円 33万円
乳がん 66万円 44万円 22万円
胃がん 102万円 65万円 37万円
前立腺がん 97万円 40万円 57万円

今回ご紹介したデータには、自己負担額に民間保険会社への保険料が含まれていますが、償還・給付金に民間の保険会社からの給付金受取額も含まれています。民間の保険に加入していない場合には実質の自己負担額が増える可能性もあるでしょう。

これらの金額は治療方法や加入する公的医療保険、民間保険等により異なってきますが、大まかな目安として「がんになればいくら必要?」と考える場合、まずは100万円といったイメージがいいいかと思います。

では、もしも今「がん」と診断されたとします。20代では特に貯蓄はまだまだこれからという方も多いでしょう。そのような場合、おそらく良い医療を受けて健康になって社会復帰したい、元気な生活を取り戻したいとの思いになるかと思います。

手元に十分な貯蓄があれば、例えば今回の100万円を例にすると余裕で負担できるかもしれません。

しかし、手元に蓄えがない、金銭的に援助してもらえる家族もいないといった場合には、保険料という費用をかけてでも、もしもの時にはお金が入ってくる仕組みを作るということは有効な手段となります。その一つが、がん保険です。

 

20代でがん保険に加入するメリット

20代でがん保険に加入するメリット

実際20代でどれくらいの人ががん保険に加入しているのでしょうか?20代でがん保険に加入するメリットについてお話ししていきます。

 

 

20歳代のがん保険加入率は男性22.0%、女性67.3%

まずはがん保険の加入状況を確認してみましょう。生命保険文化センター「2019年度 生活保障に関する調査」からまとめてみました。20歳代は男女とも20%台と他の年代と比較して、明らかにがん保険加入率が少ない状況です。

まだ20歳代ですと独身も多いですし、若いから大丈夫と思っていたり、検討中だったり、がん保険自体必要なのか?とのお気持ちを持つ方が多いという結果の表れなのかもしれませんね。

年齢層 全体 20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代
加入率(男性) 43.2% 22.0% 54.3% 62.6% 68.3% 68.8%
加入率(女性) 42.2% 28.9% 46.5% 49.2% 43.1% 39.0%

しかし、少しでも心配なら、20代でもがん保険の検討が早すぎることはありません。次にがん保険に加入するメリットをご紹介いたします。

 

メリット①健康上の理由で加入できない確率が低い

がん保険含め、生命保険は保険料を払えば誰でも加入できるわけではなく、健康状態やこれまでの病歴などによっては保険会社に契約を断られることもあります

一般的には年齢が高くなるほど病気やケガのリスクが高くなり、何かしらの投薬歴や病歴を持つ可能性も高くなります。健康が心配だからと思う年齢になった時に、保険に入ろうとしても加入できないといったことはよくある話です。

少しでも、もしもがんになったらお金が心配と思った時には、「健康なうちであること」も20代でがん保険に加入するメリットだと押さえておきましょう。

 

メリット②毎月の保険料負担が安い

がん保険含め、生命保険の保険料は年齢によって変わります。これは年齢が高いほど病気や死亡のリスクが高くなるため、通常は年齢が高いほど保険料は高くなります。

ただ、病気になって給付金を受け取る確率の低い若い時に保険料を払うのも損という考え方もできますよね。しかし、そこで前述の「保険は健康なうち」問題が出てきます。

あくまでも保険料はもしもの時の備えのための経費です。病気になって受け取ることができるから得、受け取れないから損という考え方では決めるものではありません。

もしも今がんになったらお金で困るかもと思った時には、月額保険料の負担度もメリットとして考えていただきたいと思います。

 

がん保険選びのチェックポイント

がん保険選びのチェックポイント

 

 

がん保険のおさらい

がん保険は支払事由が「がん」に限定されている保険です。がんは通常の医療保険も給付金支払の対象となりますが、一般的には1回の入院で受け取ることができる入院給付金日数に60日や120日といった上限が設定されています。

しかし、がん保険は入院給付金や手術給付金の支払に日数や回数に制限が設けられていません。その点が通常の医療保険との大きな違いになります。

また、がん保険の主力商品として「がん診断給付金」があります。名前の通り、がんと診断された時に100万円や300万円といったまとまったお金を一時金で受け取ることができる仕組みになっています。

最近では通院でのがん治療が増えてきていることから、抗がん剤治療給付金や、ホルモン剤治療給付金も主力の保障となってきています。

他にも、がん治療で生じた頭髪の脱毛によるかつら・ウィッグ等の購入費のための「外見ケア特約」といったもの等、保険会社により取扱保障内容は大きく異なります。

パンフレット等で内容をしっかり確認し、複数の保険会社を比較検討することはがん保険選びの重要ポイントとなります。

また、多くのがん保険は通常の医療保険と異なり、契約から保障開始までの90日間(3か月間)の免責期間が設けられていて、契約後免責期間内にがんと診断された場合には契約が消滅し、保障が受けられない仕組みとなっていますのでご注意ください。

 

がん保険選びの重要チェック項目

普段のお買い物では慎重に品定めをして、多くの方が買うか?買わないかを決定されているかと思います。安さを優先して購入を決める、少し高いけれど内容を重視して購入するといった具合にです。

しかし、がん保険に限った話ではなく保険選び全体に言えることですが、なぜか保険となると、「よく分からないから勧められるまま」内容を理解しないで選んでしまっている方が本当に多いです。

保険も無駄なく効率的に必要なものを選んでいただきたいので、保険選びのチェックポイントをご紹介いたします。内容をしっかり把握するために参考にしてみてくださいね。

 

①支払条件?どのような時に受け取ることができるかをしっかり把握しましょう

がん保険といえば一般的に、がんで入院した場合に支払い日数制限のない「がん入院給付金」、がんの手術をした場合に支払回数制限のない「手術給付金」がセットされたものや、がんと診断された場合に一時金としてまとまったお金が受け取れる「がん診断給付金」といったものがイメージしやすいかと思います。

また、がん入院の退院後通院した場合に支払われる「がん通院給付金」などもあります。

これらは、保険会社によって仕組みは異なりますが、様々な組み合わせが可能となっていることがほとんどで、「がん診断給付金だけにする、通院給付金は付けない」といった選択ができるようになっています。

支払い条件を把握していないと、いざ給付金を請求するという時になって、付けているつもりが付いておらず、受け取れると思っていたお金が受け取れなかったといったも起こるかもしれません。

商品によっては、がん診断給付金は一回限りで終わりのもの、複数回受け取れるものもあります。さらには上皮内がんは支払い対象となっているもの、なっていないもの等様々です。

給付金請求時にこんなはずじゃなかったとならないように、しっかり内容を把握して選ぶようにしましょう。とは言いながらも、最近はがん保険だけでも種類は様々でどれを選べばいいのか難しいのも確かです。

保険の相談窓口等を利用して、専門家のアドバイスなども上手く活用してみるのもいいでしょう。

 

②無理のない保険料で

がんの罹患率から、20代もがんになるかもしれないと考えることは他人事ではないというお話をしました。しかし、人は病気になった時のことばかり考えていても生きてはいけません。

健康で元気に長生きできた時のことも考えて備えておかなければならないということです。

がんを含め病気になった時の備えとして内容が充実しすぎになり、高い保険料の支払いのため、将来長生きをした時に使えるお金が残せないような保険選びは禁物です。安心を買っているはずの保険なのに、また別の問題へ発展することにもなりかねません。

20代の方には、将来のためにまずは最低でも収入の1割を残した後、生活を圧迫させずに継続して払えるだけの保険料を目安に内容を吟味していただくのが分かりやすいかと思います。

 

③保障はいつまで続くのかを確認。定期型?終身型?

いつまで保障が継続するタイプなのかもしっかりチェックしておきましょう。保険の期間には定期型終身型の2つのタイプがあり、がん保険も同じです。

定期型は契約から10年間や20年間、または60歳までといった一定期間で保障が終わるタイプです。保障期間満了を迎えると、満了時の健康状態は問われずに自動更新できるタイプもありますが、更新は更新時の年齢で保険料が再計算されますので、通常は更新後の保険料は高くなります

終身型は保障が一生涯続くタイプです。20代で将来がんになった時のことが心配だけど、今は保険料を払う余裕があまりないという方は、安い保険料で保障を確保することができる定期タイプから選ぶというのもありでしょう。

ムリな保険料負担でなければ、若いうちに安い保険料かつ終身タイプで一生涯のがん保障を確保することをおすすめします。

 

④支払はいつまでにするのかもしっかり把握

保険は、選択方法は保険会社により異なりますが、保険料を支払う期間も選ぶことができます。同じ内容であれば、支払期間が長ければ長いほど月額保険料は高くなります。

支払期間を長くすると毎月の支払う月額保険料は短期払いに比べて安くなるメリットはありますが、元気に長生きをしてしまうと、個人差はありますが総支払保険料で比較した場合に、短期払いを選択したほうが有利だったなんて結果になるデメリットがあります。

長生きを想定して短期払いにするか?そうない場合を想定して長期払いにするか?そこは筆者も正直なところ答えは持っておらず、難しい判断になるかと思います。

ただ筆者のおすすめは、毎月の月額保険料高くなりますが、お財布に無理がなければで短期で支払いを終えてしまうスタイルです。そうすることで、辛い思いをした時に助けてくれるための保険料費用を契約時に確定させることができます。

保険料負担はこれで終わり!とすることで管理のしやすさからもおススメしています。

 

女性は女性専用のがん保険がいいの?

乳がんや子宮がん等、女性特有のがんの治療目的で所定の手術を受けたときなどに保障内容が手厚くなっているタイプのがん保険もあります。女性からは筆者も質問をいただくことが多いのですが、あまりおすすめはしていません。

特に心配といった場合には、今加入している保険の補強的な役目を期待して選択することはいいかとは思いますが、やはり給付対象を絞り込んでいないタイプが分かりやすいと思いますので、女性疾病とわざわざ限定されていないタイプのものを1つしっかり押さえておくだけで十分でしょう。

 

20代のがん保険の選び方に関するまとめ

20代の方ですと、まだ医療保険も入っていないという方も多いかと思います。まだ貯蓄もほとんどできていないという場合には、なおさら、もしもの事態に備えである保険がない状態はキケン!と言っていいかもしれません。

医療保険が先?がん保険が先?と迷われている場合には、がん以外の病気やケガも保障対象になっている医療保険を確保することから検討してみてください。医療保険はがんも保障対象となっています。

そして、やっぱりがんになったら心配と思った時には、がん保険で医療保険を補強するという順番で検討いただければと思います。

保険は最低限の保障を確保出来ればOKが基本。そこが確保できれば、将来も安心してお金が使えるよう貯蓄に回すことを忘れずに、病気でも元気でもお金に困らない備えをしていただきたいと思います。

 

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