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早めにやり過ぎても損する?繰上返済と住宅ローン控除を最大限活かす方法をご紹介☆

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田中祐介

田中祐介

大学卒業後、大手金融機関にて融資業務を担当。その後外資系生命保険会社にスカウトされ転職。 主にライフプランニングを中心に活動。以後、保険代理店へと移籍。移籍後は数多くの企業と提携し 個人向けマネーセミナーを開催中。金融業界で経験した知識、経験を基に「お金」にまつわる幅広い知識を 「いかに分かり易くお伝えするか?」をモットーに日々活動しています。

この記事のポイント

  • 繰上返済と住宅ローン控除を最大限活かすポイントは「借入金利」
  • 借入金利1%以上であれば、毎年コツコツ繰上返済を実施する方がお得になる
  • 借入金利1%以下なら、住宅ローン控除期間終了後に一括して繰上返済する方がお得になる

これまで住宅ローンに関する金利や返済方法等をご紹介して参りました。今回はご相談の多い質問である「繰上返済と住宅ローン控除を最大限活かす方法」についてお話をしていきたいと思います。借りている方も、これから借りる方も是非参考にされて下さいね。

 

始めにおさらいします

まず初めに、「繰上返済」と「住宅ローン控除」に関しておさらいしておきたいと思います。

過去記事をご覧頂ければ、より詳細に書いていますので、そちらも合せてご覧いただければと思います。

ここでは簡潔に要点だけをご説明しておきますね。

 

住宅ローン控除とは?

「住宅ローンの年末残高」の1%にあたる金額が、10年間に渡り、納める所得税より差し引かれて戻ってくるという、非常に有難い制度です。

「還付」という言葉で表現すると分かり易いと思います。物件にもよりますが、一般住宅の場合は最大400万円、長期優良住宅であれば最大500万円の控除が受けられます。

つまり残高が大きければ、大きいほど控除額も大きくなる訳ですね。

 

繰上返済とは?

毎月の返済とは別に、ある程度まとまったお金を返済する方法です。こうする事で「返済期間」が短くなったり、あるいは毎月の「返済額」が少なくなったりする効果を得る事ができ、早く返済を終える手段として活用されます。

つまり、返済する方の負担軽減に繋がる制度ですね。

なるべく早く返したい人、やり繰り上手で纏まった資金作りが得意な方は積極的に行っているようです。

 

2つの制度を見比べた、ある疑問

先程おさらいしましたが、「ん?ちょっと待てよ?」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。どちらの制度も返済の負担を軽減できるものである事は間違いありません。

しかし、それぞれの特徴を見て見ると次の様な解釈に辿り着きます。

「繰上返済して、残高が減るのは嬉しいんだけど、減った残高分控除額の恩恵が受けられなくなる!!」

 

冒頭でご説明した相談内容の中で多いご質問事項でもあります。

筆者の所に住宅関連のご相談でやって来る方が疑問に思っている事ですので、この記事をご覧になっている方も少なくとも、同じ疑問をお持ちになった事はあるのではないでしょうか?

確かに、返済は早く済ませたい。しかし、還付は最大限受けたい。一体どうすれば最大限メリットを享受できるのか?

そんな方の為に、今回は具体的な数字を使用して比較検証を行いますので、是非とも参考にして頂ければと思います。

 

比較検証してみました

ここからは、数パターンでの比較検証を行います。まず比較する為の条件をまとめておきますね。

設定条件

  • 借入金額 3,000万円
  • 返済期間 35年
  • 返済方法 元利均等方式
  • ボーナス返済無
  • 繰上返済に関しては期間短縮型を利用
  • 繰上返済手数料は無いものとする
  • ローン開始年月 2019年1月よりスタート

では、上記条件で、金利別にシミュレーションしてみます。

こちらのツールを利用して行いますね。

http://loan.mikage.to/loan/

 

全期間固定金利「1.45%」の場合

まず繰上返済を全く行わなければ次のようになります。

  • 毎月の返済額 91,122円
  • 返済総額 38,271,162円
  • 住宅ローン控除額の累計額 2,618,980円

3,000万円借りて、総返済額を見ますと、結構な利息負担額ですね。これは負担を軽くしたいですよね。

ではここで、毎年100万円ずつ10年間繰上返済するケースと、控除の関係を考えて10年後に1,000万円を一気に繰上返済した場合を比較してみます。

 

毎年100万円を10年間に渡り繰上返済した場合

毎年の支払いの12ヶ月目に100万円ずつ繰上返済した場合、次のようになります。

  • 毎月の返済額 91,122円
  • 総返済額 34,327,988円
  • 軽減額 3,943,174円
  • 住宅ローン控除額の累計 2,046,273円
  • 返済期間 22年6カ月
  • 短縮期間 12年6カ月

ご覧のように軽減額がかな大きく効果はかなりあるのではないでしょうか。期間も12年6カ月も短縮されて効果を実感し易いですね。

これを損と受け取るのか、お得と考えるのかは次のシミュレーションと比較してみてからにしましょう。

 

1,000万円を控除終了後に一括で繰上返済した場合

では上記の様なパターンだと、どうなんでしょうか?

  • 毎月の返済額 91,122円
  • 総返済額 35,129,953円
  • 軽減額 3,141,209円
  • 住宅ローン控除額の累計 2,618,980円
  • 返済期間 23年
  • 短縮期間 12年

こちらの返済方法でも軽減効果は大きいですよね。短縮期間も近しい効果を得る事が出来ました。

控除額は何もしないケースと同様ですね。

 

ではどちらがお得と言えるのか?まずここまでの検証結果を比較しやすい様に図にまとめてみましたので、こちらをご覧下さい。

全期間固定金利「1.45%」比較図

図に記載の右端をご確認頂ければと思いますが、お得になる金額は10年間に渡ってコツコツ繰上返済すると最も効果が出ている事が分かります。

金利が1.45%の場合ですと、毎年コツコツと繰上返済した方がお得であるという事が分かりました。

確かに控除の金額だけ見れば10年後に一括の方がお得な様にも感じるかもしれませんが、総返済額(負担額)を考えると、コツコツ繰上返済に軍配が上がりましたね。

 

変動金利型「0.7%」の場合

ではここで、変動金利型で借入をしている場合で同じようにシミュレーションしてみたいと思います。ここで追加条件として、計算をし易くする為、敢えて35年間は金利変動を受け付けないものとさせて頂きます。

では先程と同じように、全く繰上返済しなかったものとした場合ですが、次のようになります。

  • 毎月の返済額 80,556円
  • 総返済額 33,833,413円
  • 住宅ローン控除の累計額 2,573,564円

全期間固定型の金利と比べるとやはり負担額は軽くて済みますね。

 

毎年100万円を10年間に渡り繰上返済した場合

先程のシミュレーションと全く同じタイミングで100万円を10年間に渡ってコツコツ繰上返済した場合、次の結果となりました。

  • 毎月の返済額 80,556円
  • 総返済額 32,066,820円
  • 軽減額 1,766,593円
  • 住宅ローン控除の累計額 2,013,771円
  • 返済期間 23年1ヶ月
  • 短縮期間 11年11カ月

金利が低い為、固定金利型ほどの数字のインパクトは有りませんが、軽減効果はやはり大きいと思います。

ではこの結果を比較する為、先程と同じ条件で試算してみましょう。

 

1,000万円を控除終了後に一括で繰上返済した場合

  • 毎月の返済額 80,556円
  • 総返済額 32,413,581円
  • 軽減額 1,419,832円
  • 住宅ローン控除の累計額 2,573,564円
  • 返済期間 23年3カ月
  • 短縮期間 11年9カ月

こうやって見るとやはり効果は大きいかと思います。軽減額は先程よりも低いですね。しかし控除累計額はこの返済方法が大きいですね。

 

同じく図にまとめてみましたので、ご覧ください。

変動金利型「0.7%」比較図

先程の図でもご説明しましたが、右端のお得になった額をご覧下さい。

金利が0.7%で試算した結果、ローン控除期間終了後にまとめて繰上返済した方がお得になる事が分かりました。

この様に比較検証すると、どちらがお得なのかが分かります。一概に軽減額が高いからとか、控除額が大きいからといった比較も良いのかもしれませんが、長期に渡る返済でもありますので、じっくりと考えたい所ですね。

 

まとめ

今回は具体的な事例を交えて比較検証してみましたが、いかがでしたでしょうか?

繰上返済と住宅ローン控除との関係をより最大限活かす方法としては、金利によってお得になるケースが異なる事がお分かり頂けたのではないでしょうか。

一つの目安で言いますと金利が1%以上か以下なのかで違ってきますので、繰上返済を行う際は、借入を行った際の金利に応じて、毎年実施するのか、10年後に一括するのかを決めて頂ければと思います。

また、今回のシミュレーションでは実際の数字を記載しましたが、お得な方法に囚われ過ぎて家計の負担になっては本末転倒ですので、事前に他のライフイベントもこなせるかどうかしっかりライフプランを立てておきましょう。