- iDeCo(イデコ) でのおすすめ商品とは「運用成績が悪くならないもの」という意味ではない点に気を付ける。
- おすすめの金融商品でも「高く買って、安く売る」を繰り返していては資産が目減りしていくことは避けられない。
- SBI証券のiDeCo(イデコ)口座 での おすすめ商品は多いので、逆に迷いやすい点に注意。
公開日:2019年8月26日
本記事では、iDeCo(イデコ)口座をSBI証券で開くとしたら、どれがおすすめの商品なのか?を見抜く方法について考察します。名称や本数は執筆時点の内容です。また「筆者の考える理論上のおすすめ商品」と「現在の筆者なら、この商品をこの割合で積み立てる」という運用商品の組み合わせ(ポートフォリオ)を載せています。
ポートフォリオ:運用商品の組み合わせのこと。ちなみに国内・海外の株式・債券などの「資産クラス」の組み合わせはアセットアロケーションと呼ばれる。
目次
※本記事の指すSBI証券のiDeCo(イデコ)おすすめ商品とは 「理論上、合理的・効率的だと考えられる投資信託」のことです。また、おすすめ商品とは「元本割れをしない投資信託」ではありません。基本的に投資信託は値動きがあります。どのような投資信託でも元本割れを起こす可能性があります。
投資信託:場合によっては数千以上の株式・債券などの入っているパッケージ化されている金融商品。分散投資に適しているが、組み合わせによって、将来得られるであろう見返り(期待リターン)や想定される値動きの幅(リスク)が変化する。
値動きは金融商品ごとによって異なりますし、未来がどうなるかは誰にもわかりません。株価などの金融商品の値動きはランダム・ウォーカーだと考えられるからです。
ランダム・ウォーカー:何もない原っぱを酔っぱらいがフラフラと歩いている様子。株価などには法則性はなく、チャート分析(テクニカル分析)などで株価などの値動きの法則が分かるというのは迷信です。そのため、どの投資信託を買えば短期的に儲かるかなども誰にも明確には分かりません。
おすすめ商品とは「今後も運用成績が安定している投資信託」ではありません。どのような投資信託でも運用成績が良くなったり悪くなったりするものです。
悪くなるたびに売却をして、調子の良いものに乗り換えていると、常に「高く買って・安く売る」を自己実現してしまいます。こうすると、どんどん資産額が減っていきます。ヘンテコな投資になってしまいます。しかし、誰もが陥りがちです。「おすすめ商品」にとらわれ過ぎず、どのような運用が合理的なのかをしっかりと理解することも重要です。
執筆時時点でSBI証券のHPを見ると、どうやら全部で83本の投資信託があることが確認できます。
ただ、今後の法改正で、数は減ることが予想されます。あくまでも執筆時点の内容です。
ろうきんという金融機関の投資信託の品ぞろえが7本に対してSBI証券は約12倍の83本という品ぞろえの豊富さですね。しかし、初心者の方には、多すぎる選択肢は「選択できなくなる・戸惑う」という「決定回避の法則」を招いてしまいがちです。
個人的には、選択肢は5本程度を初期設定にすることが親切かと思います。
金融商品の種類の多さは、金融機関を選ぶ際のポイントにはほとんどなり得ない。マシなモノがあるか・ないかが重要。たいてい「ある」。
それでは、筆者の考えるおすすめ商品はどれかを見てみましょう。見分けるポイントは2つです。
なぜこの見分け方が重要なのか?どうして理論上はそうなるのか?についてはこちらの関連記事をご覧ください。
それでは、上記の関連記事をふまえた見極めポイントで選びます。すると、おすすめ商品はこれらになりました。
SBI-SBI TOPIX100・インデックスファンド<DC年金> |
野村-野村DC・JPX日経400ファンド |
三井住友-三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド |
三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX) |
ニッセイ-<購入・換金手数料なし>ニッセイ日経平均インデックスファンド |
ニッセイ-DCニッセイ日経225インデックスファンドA |
ニッセイ-ニッセイ日経225インデックスファンド |
SBI-EXE-i先進国株式ファンド |
ニッセイ-<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド |
ニッセイ-DCニッセイ外国株式インデックス |
三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 先進国株式インデックス |
三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本) |
SBI-EXE-iグローバル中小型株式ファンド |
SBI-SBI・全世界株式インデックス・ファンド (愛称:雪だるま(全世界株式)) |
大和-iFree NYダウ・インデックス |
三菱UFJ国際-eMAXIS Slim米国株式(S&P500) |
SBI-EXE-i新興国株式ファンド |
三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 新興国株式インデックス |
日興-インデックスファンド海外株式ヘッジあり(DC専用) |
三菱UFJ国際-三菱UFJ 国内債券インデックスファンド(確定拠出年金) |
三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 国内債券インデックス |
野村-野村外国債券インデックスファンド(確定拠出年金向け) |
三井住友-三井住友・DC外国債券インデックスファンド |
三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 先進国債券インデックス |
SBI-EXE-i先進国債券ファンド |
大和-iFree 新興国債券インデックス |
日興-インデックスファンド海外債券ヘッジあり(DC専用) |
ニッセイ-<購入・換金手数料なし>ニッセイJリートインデックスファンド |
ニッセイ-DCニッセイJ-REITインデックスファンドA |
三井住友-三井住友・DC外国リートインデックスファンド |
SBI-EXE-iグローバルREITファンド |
日興-DCインデックスバランス(株式20) |
SBI-SBIグローバル・バランス・ファンド |
日興-DCインデックスバランス(株式40) |
大和-iFree 8資産バランス |
日興-DCインデックスバランス(株式60) |
三菱UFJ国際-eMAXIS Slim バランス(8資産均等型) |
日興-DCインデックスバランス(株式80) |
38本になりました。とても多く、まだ選ぶのに一苦労しそうです。ただ、上記が理論上のおすすめ商品だと考えられます。
それでは、上記の中から筆者が選ぶなら、この組み合わせ(ポートフォリオ)でこの割合で積み立てる、というものを発表します。
この組み合わせは、現時点での筆者のリスク許容度・年齢・働き方・世界の経済情勢・金利・考え方などによるものです。つまり、筆者にとっては適切ですが、他の人にとっては不適切であることもあります。また、上記要素の変化により内容は変わります。株式の比率が高いので、金融危機時には半分、あるいはそれよりも減ることが予想されます。
例えば、現在50歳の方が、この組み合わせにして、60歳時に金融危機が発生した場合、いざお金を引き出そうとした時には、ひょっとしたら、出したお金が半分以下に目減りしているかもしれない、「とても困る!」という組み合わせです。
ただ、いまの筆者にはこれが適切だと考えます。
資産クラス | 名称 | 比率例① | 比率例② |
---|---|---|---|
国内株式 | ニッセイ-<購入・換金手数料なし>ニッセイ日経平均インデックスファンド | 40% | 35% |
国内債券 | 三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 国内債券インデックス | 0% | 5% |
外国株式 | ニッセイ-<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド | 60% | 55% |
外国債券 | 三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 先進国債券インデックス | 0% | 5% |
本記事では、SBI証券の品ぞろえから理論上合理的であると考えられる「おすすめ商品」を考察しました。
金融機関によっては、選択肢が豊富にありすぎてしまい逆に迷いがちです。また、マシな金融商品が多すぎると、よくある困った事態として「分散投資が重要」というのを過剰に扱いすぎて、毎月の積立対象を十数~数十種類にも分けてしまうことがあります。
これは必ずしも悪いことではないのですが、結果としては「運用商品の組み合わせ(ポートフォリオ)全体で、どのくらいの見返り(期待リターン)と値動きの幅(リスク)を抱えているのか?が良く分からないことになってしまいます。
投資対象である投資信託は、きちんと選べば2~4種類程度でも「数千以上の株式や債券」に分散投資ができます。また、その方が管理や期待リターン・リスク(値動きの幅)に関しても把握がしやすいです。雑な言い方をしますとバランス型投資信託なら、1種類でも(それがその人に合っているなら)良いです。
シンプルさも選び方(&組み合わせ&運用)の重要なポイントかと思います。