- 楽天証券のラインナップからiDeCo(イデコ)の運用商品を10個、理論的に厳選。
- 見極めポイントは、コストとインデックス型投資信託。
- カギは「市場参加者の9割はおりこうさん」ということ。
公開日:2019年8月12日
本記事では、楽天証券でiDeCo(イデコ)の運用商品を選ぶ場合、どれがおすすめ商品(理論上優れていると考えられるもの)なのかを考察します。なお、記事の数値や名称は、本記事執筆時点の内容です。また、本記事は、特定の銘柄を勧誘・斡旋・推奨するものではありません。
目次
まず、基本的なことを確認しておきましょう。iDeCo(イデコ)は「もう一つの年金」とも呼ばれます。これは、老後の資産形成のための制度です。加入するか・しないかは、個人が判断します。
そして、iDeCo(イデコ)の運用商品は大きく2タイプに分かれます。
元本割れ:買った時の値段を下回ること。いわゆる「損をする」という状態。
本記事では、2の元本割れをすることのある投資信託について、どれがおすすめ商品なのか迫ります。
ポイントとしては、iDeCo(イデコ)では税制優遇などの仕組みは共通ですが、取り扱っている運用商品は運用期間ごとに異なります。本記事では楽天証券の取扱商品について見てみます。ただ、基本的な考え方は共通ですので、楽天証券以外でiDeCo(イデコ)をされている方も、本記事のポイントと照らし合わせながら見ていただければ、良く分かるかと思います。
投資信託:複数の金融商品(株・債券など)が袋詰めにされたような金融商品。分散投資に適している。
iDeCo(イデコ)のよりくわしい概要については、以下記事をご覧ください。
さて、大変恐縮ですが、まだどれがおすすめ商品なのかには触れません。その前に知っておいていただきたいことがあるからです。
それは、金融市場の参加者のおよそ9割くらいは「おりこうさん」だと考えられる、ということです。
投資の初心者の方からすると「どういうこと?」と思われるでしょう。分かりやすく説明します。
これはつまり「株式市場や債券市場で投資をしているのは、金融機関やその専門家たち、おりこうさんが90%近くを占めている」ということです。
すなわち、「株式市場や債券市場での株式や債券の価格は、素人が適当に決めているのではなくて、賢いプロたちによって、おおよそ適正価格になっているだろう」と考えられるのです。
これを格好良く言うと、効率的市場仮説と言います。が、専門用語を覚えていなくても大丈夫です。
効率的市場仮説:現代投資理論(MPT)でも用いられる基本的な考え方の一つ
iDeCo(イデコ)はもちろん、通常の証券口座でも、どこでも、なんでも、投資をする際にはこの金融市場の参加者のおよそ9割くらいは「おりこうさん」だということがとっても大事な考え方です。
おすすめ商品(理論上優れていると考えられるもの)を見抜くうえで、欠かせないポイントです。
金融市場の参加者のおよそ9割くらいは「おりこうさん」だと考えられる
そして、これも重要なポイントですが「基本的に元本割れしない投資信託はありません」。
確かに世の中には「元本確保型」や「損失回避型」もありますが、元本割れをしにくくしていたり、元本が割れそうなときに損切りに近いことをするだけです。また、これらの「魅力的に思える金融商品」は、コストが高く資産運用の効率が悪いのでおすすめ商品とはなり得ません。
ですから、iDeCo(イデコ)とは別の税制優遇制度の「つみたてNISA(ニーサ)」には、「元本確保型」や「損失回避型」などの魅力的に思える金融商品は一切入っていません。筆者としては「現代投資理論に沿った、良い選択である」という拍手喝さいの心境です。
ただ、iDeCo(イデコ)には、ちょっと理論上おすすめできない投資信託があることがあります。それでは見てみましょう。
どんな投資信託を買っても、元本割れはあり得るし、運用成績は良くなったり悪くなったりするのが当たり前。
楽天証券のHPによりますと、執筆時点でiDeCo(イデコ)の対象商品は全32本(内、投資信託は31本)のようです。
さあ、クイズです。どれがおすすめ商品でしょうか?というと投資初心者の方は途方に暮れてしまいます。場合によっては、「名前が格好いい・ステキ」ですとか「これが良い気がする」や「(金融機関によっては)星付けやランクが良いから」という理論とまったく関係のない理由で決めてしまいかねません。
ここでは、次の見極め方を参考に見ていきます。
信託報酬が0.5%以下であること、かつインデックス型であること
より詳しい見極め方法にご興味のある方は、以下記事をご覧ください。
ここで、ポイントをおさらいしますと、コストはただのマイナス要因なのでせめて0.5%以下から選ぶこと。もちろん0.5%より低ければより良いです。
コスト:信託報酬などの各種経費のこと。信託報酬は毎日発生するので、低い方が良い。コストが高くても、運用成績とは「関連性がない」ので低い方が良い。
そして、インデックス型投資信託であることです。
インデックス型投資信託:いわゆる「市場平均」と「連動する」ことを目標とする投資信託。
さて、初心者の方からすると、「なぜ、コストの高さが運用成果と関連性がなく、いわゆる平均点であるインデックス型投資信託が良いことになるのか?」という疑問が浮かぶと思います。ここに、資産運用の大きな誤解があるのです。
その誤解とは
という誤解です。この誤解を解くカギこそが、最初にお話しした、金融市場の参加者のおよそ9割くらいは「おりこうさん」だと考えられるという「効率的市場仮説」なのです。
専門用語をできるだけ使わず、4ステップで解説します。
というものです。これがいわゆる現代投資理論の結論の一つです。
現代投資理論の結論:より正確には、市場平均と安全資産(預貯金や国債)の組み合わせがベスト。
つまり、投資をするならインデックス型投資信託が効率的、ということに理論上はなります。
それでは楽天証券取扱商品の中から、どれがおすすめ商品かを見ていきます。繰り返しですが、ポイントは次の内容です。
信託報酬が0.5%以下であること、かつインデックス型であること
それがこちらです。
三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド |
たわらノーロード 日経225 |
たわらノーロード国内債券 |
三井住友・DC日本リートインデックスファンド |
たわらノーロード先進国株式 |
楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天・バンガード・ファンド(全米株式)) |
たわらノーロード先進国債券 |
三井住友・DC外国リートインデックスファンド |
楽天・全世界株式インデックス・ファンド(楽天・バンガード・ファンド(全世界株式)) |
楽天・インデックス・バランス(DC年金) |
インデックス型の見極め方法は、商品説明の中に「この投資信託はインデックス型です(または何々の市場平均に連動することを目指す)」というような表記がありますので、それを探してください。
10種類に絞られました。
ただ、冒頭にも書きましたが、どんな投資信託でも基本的に値下がりしますし、景気によっては半値近くまで・あるいはもっと下がります。ですから、どれを選んでも損をする可能性があります。
そして、大きく下がったところで売ってしまうと、どれを選んでも当然、損をします。また、大きく下がったところで、大きく上がっているモノに買い替えると、不思議(?)なことに「高く買って安く売る」という行為を自分で行うことになり、やればやるほど損をします。なぜなら、大きく上がっているモノも、やがていつか下がる可能性があるです。これではいつまでたっても、効率的に増えませんね。
投資信託には良い・悪いはなく「理論上マシか・そうでないか」が判断のポイントです。金融商品の組み合わせ方法・運用はまた別の問題です。折に触れて別記事で詳しく触れていきたいと思います。
それでは、仮に筆者が楽天証券のラインナップの中から、iDeCo(イデコ)の運用商品を選ぶなら、どれか?を発表したいと思います。
ただ、組み合わせや比率は人それぞれで正解が異なります。現代投資理論でも、最適な資産の組み合わせは、その人が一番満足する・うれしい(効用を最大化する)もの、ということになっています。
ですから、この組み合わせは正解でもなんでもありません。あくまでも一つの参考例です。ちなみに、金融危機時には、半分くらいまで資産が減る(大損する)組み合わせでもあります。
定年間際の方がこの組み合わせにしていては、大変なことになるかもしれません。また、初心者の方がこの組み合わせにしたまま、金融危機に直面すると、慌てて売ってしまい、資産が大きく目減りしてしまうかもしれません。
さらに、この組み合わせは筆者の働き方や資産額、リスク(値動きの幅)や物事の考え方、時代、経済環境によっても変わります。さらにくどいですが、何かしらの勧誘・斡旋・推奨を意図するものではありません。
資産クラス | 名称 | 比率例① | 比率例② |
---|---|---|---|
国内株式 | たわらノーロード 日経225 | 45% | 40% |
国内債券 | たわらノーロード国内債券 | 5% | 0% |
先進国株式 | たわらノーロード先進国株式 | 45% | 60% |
先進国債券 | たわらノーロード先進国債券 | 5% | 0% |
この組み合わせの場合、金融危機時には半分、あるいは半分より資産が減る可能性があります。
本日は、iDeCo(イデコ)楽天証券のおすすめ商品を見ました。また、最後に筆者が選ぶなら?というテーマで組み合わせを紹介しました。
筆者の組み合わせを見てお分かりのように「なぜこれが良いのか?」が「分からない」と思います。分からないと、運用も定まりません。投資で重要なのは、「どれがおすすめ?」よりも「なぜそうなのか?」ということではないかと思います。
これをもっと知っていかないと、資産形成の効率が悪かったり(マシでなくなる)、金融危機時などにヘンテコなことをしてしまうものです。今後も、これらの「なぜ」について、少しずつ言及していきたいと思います。
なお、ideco(イデコ)SBI証券のおすすめ商品を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。