- iDeCo(イデコ)のおすすめ商品の選び方のポイントは大きく2つ!
- 信託報酬が0.5%以下であること。
- 投資スタイルがインデックス型であること。
公開日:2018年10月24日
iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)を始めたいけれど、実際にカタログなどで商品のラインナップを見ると、金融機関によっては選択肢がたくさんあり、迷うことがあります。特に投資初心者の方にとっては、どれがどんな商品なのかが良く分かりません。
本記事ではiDeCo(イデコ)でのおすすめ商品を選ぶポイントをお伝えしたいと思います。
iDeCoって何?という方は、まずこちらの記事を御覧ください。
目次
iDeCo(イデコ)のおすすめ商品の見極め方は、次の2点です。
iDeCo(イデコ)では、窓口となる金融機関によって商品のラインナップが異なりますが、上記ポイントをクリアしていない商品を選択肢から外していくと、多くの場合、選択肢は10個以内になると思われます。
とはいえ、iDeCo(イデコ)はもちろん、投資自体が初心者の方にとっては、上記の2ポイントも何のことだかよくわからないと思います。
順を追って、その理由とチェックの仕方を見ていこうと思います。
信託報酬とは、投資信託(後ほど詳しく解説します)と呼ばれる金融商品にかかるコストのことです。信託報酬というと堅苦しいですが、私たちの身近な例で言いますと、美容院で髪をカットしてもらうと、美容師さんにお礼として報酬(料金)を支払いますよね。投資信託と呼ばれる金融商品の場合も、同様に「金融商品を管理してもらうお礼に払う報酬」だと考えてください。
そして日常生活と同じく、iDeCo(イデコ)ではもちろん、通常の投資でもコストを下げることが必要です。
ちなみに投資でのコストとは「私たちが負担する売り手の経費」のことです。
私たち投資家側にとってコストはただのお荷物(マイナス材料)でしかありませんので、安い方が良いのです。個人で例えるなら「同じ技量の美容師さんなら、できるだけ料金が安い方が嬉しい」のと同じ意味合いです。
iDeCo(イデコ)では大きく2種類の商品があります。
まず元本保証タイプについて見てみましょう。
元本保証タイプは、基本的に損をしない預貯金みたいな金融商品です。こちらの場合は、一般的にコストはかかりません。
一例として「ろうきん」という金融機関の商品名を見てみましょう。ろうきんでは「ろうきん確定拠出年金定期預金(1年・5年・10年)」があります。
定期預金の商品名 | 運用金利 |
---|---|
ろうきん確定拠出年金定期預金 1年 | 0.02% |
ろうきん確定拠出年金定期預金 5年 | 0.04% |
ろうきん確定拠出年金定期預金 10年 | 0.05% |
※運用金利は作成時のものです将来の金利を保証・示唆するものではありません。
※確定拠出年金は金融機関によって取り扱う金融商品が異なります。
この商品だけでの運用がおすすめ商品になる人(向いている人)は、次のような方です。
現実に統計上は多くの方がこちらの元本保証の(預金)タイプを選択しています。ただ、これが必ずしもすべての人におすすめ商品になるとは、限らないのです。確かに、上記のように「損をしたくない・減ると困る」人にとってはおすすめ商品ですが、iDeCo(イデコ)の本質は「老後のための資産形成」です。
その為iDeCo(イデコ)では、原則として60歳まで引き出すことができません。
低金利の時代において、元本保証の(預金)タイプを選択して、預貯金と同じ低い利回りを得るのなら、銀行で積み立て預金をするのと運用上は同じ効果です(節税メリットはもちろんiDeCo(イデコ)の方があります)。そうであるならば、銀行預金の方が60歳にならなくてもいつでも出せるのですから、自由度(流動性)がより高いと考えることができます。
iDeCo(イデコ)を利用するなら、低金利の銀行預金にない「増える可能性(減る可能性もある)と運用益の非課税」というメリットを最大限に利用することも考えることが、本当のおすすめ商品を見抜くポイントになるのかもしれません。
損をしたくない人にとっては元本保証タイプがおすすめ商品
先ほど紹介したもう一つのタイプ、リスク商品タイプについて見てみましょう。
これは、元のお金よりも減ってしまう(元本割れ)可能性もあるリスク商品と呼ばれる「投資信託」へと積み立てながら投資ができるものを指しています。もちろん、増える可能性もあります。
この「投資信託」と呼ばれる金融商品は、ちょっとむつかしい印象ですが、ザックリ言いますと、大きな風呂敷袋みたいなものです。
投資信託とは、いろいろな金融商品をたくさん入れることのできる大きな風呂敷みたいなもの
この風呂敷の中に、株式だけをたくさん入れれば株式主体の投資信託の出来上がりです。ですから、株式主体の投資信託を選択すれば、自然とたくさんの株式に分散投資をしたのと同じことになります。
また、債券だけをたくさん入れた、債券主体の投資信託もあります。さらに、一つの風呂敷の中に、株式や債券をたくさん入れて、バランス型の投資信託にしたものもあるのです。風呂敷に入れられる金融商品は、日本国内の株式と債券などだけではありません。世界中の先進国や新興国といった40か国以上の国にも手軽に分散投資ができるのです。
さて、iDeCo(イデコ)のおすすめ商品を見抜くポイントの一つ目
これは、前述の「減る・増える可能性のある投資信託」に大きく関係しています。
※繰り返しですが、元本保証の(預金)タイプには手数料がかからないことが一般的です。
投資信託は「たくさんの株式や債券の入った大きな風呂敷みたいなもの」ですから、管理する人達が必要になります。当然ですが、その人たちはボランティア活動ではありません。そのため、投資信託を保有している間は、常にコスト(私たちが負担する売り手の経費)が発生します。
これが信託報酬と呼ばれます。信託報酬は毎日発生します。ですから、安い方が良いのです(売り手にとっては、当然高い方が嬉しいですが、投資家側は低い方が嬉しいです)。
コストが高いからと言って、良いことは何もありません。
お買い物に行くときに、同じ100円の商品を買うなら、バス代が安い(またはバス代がかからない)お店で買うのが良いのと同じ理屈です。
iDeCo(イデコ)でのおすすめ商品選びに迷っているなら、チェック方法は簡単です。商品説明に書いてある信託報酬が0.5%より高い投資信託をすべてラインナップから外してください。
信託報酬が高いものがあるのは、売り手にとっての利益になるから載せてあるだけです。個人投資家にとってメリットにはなりません。そのため、iDeCo(イデコ)より新しい制度の「つみたてNISA」では、あらかじめ信託報酬が0.5%以上のものは「入れられない」ようになっています。
信託報酬が0.5%以下のものだけを残しますと、多くの投資信託がインデックス型と呼ばれる投資信託(またはインデックス型のバランス型)になったと思います。
投資信託にはアクティブ型とインデックス型がありますが、長期投資をするならインデックス型が理論上優れています。
そしてiDeCo(イデコ)では長期投資が前提ですから、インデックス型を選ぶのが合理的です。
投資信託を大きく分けると、次の二つに大別されます。
インデックス型とは、いわば「平均点と連動することを目標とする」ものです。特徴としては、(風呂敷の中身の)特別な分析や入れ替えをしないので「コストが安い」です。
一方のアクティブ型は「平均点を超えることを目標とする」ものです。こちらは、特別な分析や入れ替えをするので「コストが高い」傾向にあります。
投資スタイル | 目標 | コスト | |
---|---|---|---|
投資信託 | インデックス型 | 平均点に連動 | 安い傾向 |
アクティブ型 | 平均点を超えたい | 高い傾向 |
こう見ると「それなら(平均点を超えることを目標とする)アクティブ型を選んだ方がよさそう」な気がすると思いますが、理論上はそうなりません。なぜでしょうか。
それは、アクティブ型の平均点こそがインデックス型(平均点)に酷似するからです。
・アクティブ型の平均点≒インデックス型(平均点)
「平均点」と聞くと「頑張れば超えられそう」なイメージを持ちますが、現代では優秀な管理者やAI、自動プログラムなどが市場を見張っており、平均点は大変に賢い(効率的)である、と考えられます。
イメージとしては、普通のクラスのテストの平均点ではなく、天才ばかりがいるクラスのテストの平均点が近いでしょうか。
そのため、長期で「平均点」を超えられる投資信託は理論上存在しにくいと考えられます(短期間では存在します)。また、事前に「今年はこの投資信託が平均点を超える」ということは誰にも分かりません。そして、統計的に見ると投資信託全体では平均点を下回る投資信託は毎年、およそ10分の7と言われています。
つまり、平均点はアクティブ型の平均点自身であり、そこから高いコストを引くと、平均点をどうしても下回りやすくなってしまうのです。
初めて聞く人には、矛盾しているように感じるかもしれませんが、これが現在(そして将来)の市場平均に起こっていることだと考えられます。
以上の理由から、長期間保有するなら、コストの高いアクティブ型ではなくて、コストの安いインデックス型(またはインデックス型のバランス型)がおすすめ商品として選択肢に挙がります。
これが、ポイント2「インデックス型であること」の理由です。
見極め方法は簡単です、商品説明の中に「この投資信託はインデックス型です(または何々の市場平均に連動することを目指す)」というような表記がありますので、それを探してください。
また、金融商品によってはさらに分かりやすく、商品名に「インデックス」という文言がついています。
長期投資であればあるほど、理論上はコストの差が大きな運用成果の差になってきますので、知っておきたい重要なポイントです。
高いコストを引くと、どうしてもコストの安いインデックス型が有利になりやすい。つまり、アクティブ型が優れているほど長期では「インデックス型>アクティブ型」になりやすいと考えられる。
ちなみに、コストの安いインデックス型(またはインデックス型のバランス型)を選ぶ際は、組み合わせも将来の期待リターンとリスクを決める上で重要ですので、別途記事でじっくりと解説したいと思いますが、基本的には「リスクを背負える人なら株式主体のインデックス型をメインにするべき」とだけここでは触れておきます。
ここで、一例として「ろうきん」のリスク商品一覧を見てみたいと思います。
投資対象 | 対象資産 | 商品名 | 信託報酬
年率・税込み |
---|---|---|---|
インデックス | 国内債券 | DCダイワ日本債券インデックス | 0.27% |
国内株式 | DCダイワ日本株式インデックス | 0.27% | |
外国債券 | DCダイワ外国債券インデックス | 0.2484% | |
外国株式 | 野村DC外国株式インデックスファンド・MSCI-KOKUSAI | 0.2376% | |
インデックスのバランス型 | 株式40% | DIAMバランス・ファンド<DC年金>1 安定型 | 0.2808% |
株式60% | DIAMバランス・ファンド<DC年金>2 安定・成長型 | 0.3132% | |
株式80% | DIAMバランス・ファンド<DC年金>3 成長型 | 0.3456% |
※数字や名称は作成時のものです。
上記を見てみますと、非常に優れたラインナップだと感じます。専門的にいうと、現代投資理論と呼ばれるものを色濃く反映していると思います。
ポイントは、
上記ポイントがなぜ重要なのかは、(バランス型であっても株式を主体にする理由以外)ここまで述べたことでお分かりいただけるかと思います。
※どの組み合わせにするか(なぜリスクを背負える人が、株式を主体にするのが理論上重要なのか)に関しては、運用成果を左右する大変重要なテーマですので、別記事でじっくり解説したいと思います。
ちなみに金融機関によっては、ちょっとわかりにくい次のようなケースも散見されます。
ということがあります。
個人が投資信託を買う時(iDeCo(イデコ)以外でも同様)に気を付けないといけないのは、
という点です。
売り手と私たちではコスト(私たちが負担する売り手の経費)という面で、どこまで行っても利益が相反していますので、しっかりと商品選びでは主導権を握りたいところです。そして、それを判断するのは、一人ひとりの投資家(あなた)です。
それでは、本記事のiDeCo(イデコ)おすすめ商品選び方のまとめです。
おさらいですが、すべての人にリスク商品である投資信託が向いているわけではありません。出したお金(元本)を減らしたくない人・減ると困る人にとっては、元本保証の(預金)タイプがおすすめ商品になり得ます。
また、リスク(損得をする幅)を事前に把握しておかないと、思いがけずに資産価値が1年間で半分程度(あるいはそれ以上に)下がることがあります。人によってはパニックに陥り(とても安い時期に)売ってしまうことも考えられますので、組み合わせや投資全般に関する基本的な考え方・知識も大変重要です。
資産運用の責任は、すべて運用する人の自己責任になりますので、商品選びも焦らずに、じっくりと考えて決めましょう。
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