- iDeCo(イデコ)とは「もう一つの年金」。
- 法改正されたポイントを踏まえてのiDeCo(イデコ)の特徴とは?
- iDeCo(イデコ)に関する、知っておきたいメリット&デメリット。
公開日:2019年11月3日
iDeCo(イデコ)とはわかりやすく言うと「もう一つの年金」です。
本記事では、平成29年1月・平成30年1月の法改正を踏まえての、iDeCo(イデコ)の仕組みやメリット、デメリットについて理解しておきたいポイントをわかりやすく紹介していきます。
目次
iDeCoは、「個人型確定拠出年金」のことを指しています。また、個人型確定拠出年金を英語表記にするとindividual-type Defined Contribution pension planとなり、略すとiDeCoになります。
かみ砕くと次のような内容です。
iDeCo(イデコ)とは「会社員でない人でも入れる、老後の資産形成のための制度で、毎月出すお金は自分で(上限の範囲内で)決められます。ですが、将来受け取れるお金は決まっていません。将来受け取れるお金は、加入者それぞれの運用次第で変化します」というものです。
日本の従来の年金制度は、積み立て形式ではありません。簡単に言うと、おみこし形式(賦課方式)です。
おみこしの上に乗っているのがシニアの方で、おみこしを支えているのが現役世代の方です。このおみこし形式ですと、現役世代が多く、シニア世代が少ない時代では、わりと手厚い年金を受給することができました。
ですが、今後長寿化・少子高齢化が進んだ場合、担ぎ手が減り、おみこしの上の人が増えることが予想されます。そうなると、仕組み上、どうしても年金の受給額が減少することが考えられます。
また、従来の資産形成は「貯蓄で資産形成をする」が主流でした。しかし、現在のように預貯金の金利が大変に低い状態では、従来通りに預貯金だけで資産形成をしていては、老後の資金に困る人が出ることも考えられます。
この低金利は、今後も続く可能性があります。そこで現在では「貯蓄から資産形成へ」という流れが強まってきています。
「自分のための自分による積み立て形式の年金」それがiDeCo(イデコ)です。
では、iDeCo(イデコ)には、どんな人が加入できるのでしょうか。
平成29年1月の確定拠出年金法の改正に伴い、基本的に20歳以上60歳未満のほぼ全ての方が加入できるようになっています。
加入区分 | 加入対象者 | 加入できない人 |
---|---|---|
国民年金の第1号被保険者 | 日本国内に居住している20歳以上、60歳未満の自営業者・フリーランス・学生など | 農業者年金の被保険者 国民年金の保険料納付を免除(一部免除を含む)されている方(ただし、 障害基礎年金を受給されている方等は加入可能) |
国民年金の第2号被保険者 | 60歳未満の厚生年金の被保険者
(サラリーマン・公務員) |
勤め先の企業で、企業型確定拠出年金に加入している方
(ただし、企業型確定拠出年金規約で個人型同時加入を認めている場合は加入可能) |
国民年金の第3号被保険者 | 20歳以上60歳未満の厚生年金に加入している被扶養配偶者 | - |
平成29年1月から、専業主婦(主夫)、公務員などの共済加入者もiDeCo(イデコ)に入れるようになりました。
同時に企業年金加入者もiDeCo(イデコ)に入れるようになりましたが、企業型確定拠出年金の加入者については、企業年金規約でiDeCo(イデコ)に加入できることを定めている場合のみ加入できます。
会社員の方で自分が対象かどうか不明な方は、会社に確認をしてみましょう。
iDeCo(イデコ)は老後のための資金形成ですので、基本的に60歳まで掛け金を出すことができます。その後、基本的に70歳までの間に
のどちらかかを選択できます(金融機関によっては併用できます)。
加入を検討する際は、事前に把握しておきたいことがあります。
iDeCo(イデコ)に加入するには、iDeCo(イデコ)を取り扱っている金融機関を通じて加入の届け出をする必要があります。
身近な金融機関(一例:ろうきん、取り扱い銀行)や、証券会社でもiDeCo(イデコ)を取り扱っています。
加入前に検討したい大きなポイントは、次の2つです。
iDeCo(イデコ)は加入区分(一例:自営業者・会社員・専業主婦(主夫)など)によって、年間の出せるお金の限度額(拠出限度額)が異なります。
共通のポイントとしては、次の3点です。
加入区分 | 拠出限度額 | |
---|---|---|
第1号被保険者
自営業者など |
月額6.8万円
(年額81.6万円) (国民年金基金または国民年金付加保険料との合算枠) |
|
第2号被保険者
会社員 公務員など |
会社に企業年金がない会社員 | 月額2.3万円
(年額27.6万円) |
企業型確定拠出年金に加入している会社員 | 月額2.0万円
(年額24万円) |
|
確定給付企業年金と企業型確定拠出年金に加入している会社員 | 月額1.2万円
(年額14.4万円) |
|
確定給付企業年金のみに加入している会社員 | ||
公務員など | ||
第3号被保険者
専業主婦・主夫 |
月額2.3万円
(年額27.6万円) |
一般的に、投資で得た利益にはおよそ2割の税金がかかります。しかし、iDeCo(イデコ)を利用すればこのおよそ2割の税金部分が非課税になります。
iDeCo(イデコ)には、税制面で優遇されているポイントが大きく3つあります。
ただ、人によって効果は異なりますので、一概に何万円お得になる、とは言えません。例えば所得控除についても、その人の年収や掛け金によって大きく変わってきます。運用益の非課税に関しても、未来のことなので不透明です。
それでは、iDeCo(イデコ)での運用がうまく行った場合に、どのくらいの効果が見込めるのか、検証してみましょう。
まず節税額です。
この条件でのシミュレーションでは、節税額は、40年間の合計で7,019,693円です。
つまりiDeCo(イデコ)で行うと、このシミュレーションでは、7,019,693円節税になるというわけです。
次に、いくらお金を出して、いくらになったのかを見てみましょう。
この場合は、40年間でお金が合計で35,095,464円になっています。
上記はあくまでもシミュレーション上の一例であり、未来を保証するものではありません。また、節税額などはその方の加入区分や年収などでも変化します。
iDeCo(イデコ)の運用商品には、元本保証タイプの商品もあれば、リスク商品と呼ばれる、元本が変動する商品もあります。
上記の金融商品を組み合わせて、手軽に分散投資をすることもできますが、注意点もあります。
iDeCo(イデコ)では運用中に毎月積み立てている商品や割合を変更したり、売却したりすることができます。ただ、基本的に老後の資産を形成する制度のため、原則として60歳までお金を引き出すことができません。
例えば、ケガや病気などで働けなくなった時の生活費や、災害発生による家のリフォーム費用などの予想外の出費が必要な場面でも、資産がiDeCo(イデコ)だけに集中していると、原則60歳になるまで、iDeCo(イデコ)からお金を引き出すことができないので困ることが想定されます。
なお、老後の資産形成にiDeCo(イデコ)がおすすめの理由は以下記事から詳しく知ることができます。
どのような運用商品を選ぶかにもよりますが、リスクのある商品の場合、価格は変動します。例えば、株式主体の投資信託の場合、大きな金融危機が発生した場合、1年間で価格が半分以下になることも考えられます。
運用に関しては、iDeCo(イデコ)といえども、税制優遇や60歳まで引き出せない、などの特徴を除いては、一般的な資産運用(投資)とリスクやリターン、コスト、分散、取り崩し方などに関する考え方は基本的に同様です。
従来は、預貯金だけで資産形成・運用ができる時代もありました。しかし、低金利、そして長寿化・少子高齢化する社会の中では、従来の預貯金だけでなくiDeCo(イデコ)を含めて、トータルで資産形成を考える必要性も出てきました。
今後は、税制優遇制度のiDeCo(イデコ)を利用して、資産形成をすることが重要かもしれません。
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