- 平成29年1月から公務員もiDeCo (イデコ)に加入可能に。
- 公務員にもiDeCo (イデコ)に入ることで掛け金の所得控除・運用益の非課税・受け取り時の控除のメリットがある。
- 公務員がiDeCo (イデコ)をしたい時に知っておきたい注意点とデメリット(掛け金・所得控除額の上限)について。
公開日:2019年9月30日
平成29年1月から、公務員などの共済加入者もiDeCo(イデコ)に加入できるようになりました。iDeCo(イデコ)とは、老後に向けた「自分のための自分で行う年金」です。別名、個人型確定拠出年金と言いますが、愛称をiDeCo(イデコ)と呼びます。
本記事では、公務員におけるiDeCo(イデコ)のメリットなどの知っておきたいポイントについて見てみましょう。
iDeCo(イデコ)って何?という方はこちらの記事をご覧ください。
目次
iDeCo(イデコ)では、老後のための資産形成を行うことができます。
そして、iDeCo(イデコ)に加入すると大きく3つのメリットが受け取れます。これは、会社員でも公務員でも、自営業者でも同じように発生するメリットです。
この3つです。詳しく見てみましょう。
毎月(またはまとめて)出すお金を掛け金と言います。
通常の証券会社や銀行などの口座で、投資信託を買ったり預貯金をしても、所得控除になりません。ですが、iDeCo(イデコ)口座に出したお金は全額所得控除になります。
ものすごく乱暴に言いますと「iDeCo(イデコ)で投資信託や貯蓄をすると、公務員であっても、払いすぎた税金が戻ってきて、お得になる」ということです。
これは投資初心者の方にはピンときませんね。
投資で利益を出すと、基本的に2割も税金として納めないといけません。でも、iDeCo(イデコ)口座内で投資の利益が生じても、非課税なんです。つまりお得です。
さらに自動的に利益が再投資されます。これは、雪だるま式にお金が増える(複利効果)可能性が高まることを意味しています。ただ、投資信託を購入した場合には、当然ながら元本割れ(損をする)のリスクも常に存在します。
原則としてiDeCo(イデコ)では60歳以降からしかお金を受け取ることができません。
受け取り方法には
があります。どちらか(または金融機関によっては併用可)を選びます。
の対象となります。やはりお得です。
公務員でもiDeCo(イデコ)のメリットがあることが分かりました。それでは、現実的には、どれくらいの節税メリットがあるのでしょうか。一例を見てみましょう。※あくまでもシミュレーション上の一例であり、未来を保証するものではありません。
公務員20歳の場合 | 40年間(60歳まで)の所得控除による節税額 | 運用利率5%の場合の運用益の非課税(40年間) |
---|---|---|
毎月の掛金12,000円(限度額) | 1,152,000円の節税 | 2,510,448円(通常はこれが税金として手元から消える) |
シミュレーションはあくまでも一例ですが、この数字を見る限りでは、税制面においては公務員でもiDeCo(イデコ)に加入するメリットがありそうです。この場合のシミュレーションでは、合計で366万円ほど税制面で有利ですね。
※その他のシミュレーション一例に関しては関連記事をご覧ください。
iDeCo(イデコ)には、前述のような税制上のメリットがあります。では、デメリットもあるのでしょうか。
結論から言いますと、これから記す2ポイントは正確にはデメリットとは言えません。ただ、パッと見はデメリットとして感じやすい、というものです。
順に見てみましょう。
すでに述べましたが、現在では公務員もiDeCo(イデコ)に加入できます。そして、iDeCo(イデコ)では働き方によって、掛け金(出せるお金)の限度(範囲)が異なっています。※基本的に60歳まで拠出(お金を出すこと)が可能。
公務員の場合は、次のようになっています。
※以前はiDeCo(イデコ)に出すお金は毎月積み立て方式でした。しかし、平成30年1月より、加入者が年1回以上、自分で決めた月(例えばボーナスのある月など)にまとめて掛け金を出すことができるようになりました。公務員の場合は、上記の範囲内でiDeCo(イデコ)にお金を出すことができます。
ちなみに、自営業者・フリーランスの方などは
これだけ見ると「公務員はiDeCo(イデコ)に出せるお金が低くって、デメリットだ」と思われるかもしれません。上記の範囲内でiDeCo(イデコ)にお金を出せます。
ただ、公務員の場合は、厚生年金という手厚い年金がすでについていますので、それらを考慮して、iDeCo(イデコ)の掛け金限度額が小さくなっている、という一面も考えられます。※自営業者・フリーランスは厚生年金に加入できません。
そのため、むしろ考え方としては自営業者の方こそ、iDeCo(イデコ)の所得控除や資産形成・運用を最大限に使わないと、会社員や公務員の方と比べた場合に不利であり、デメリットである、と考えることもできます。
もう一つ、デメリットとして感じやすいのが所得控除の限度額が低い、ということです。
公務員の場合は、年額14.4万円まで掛け金を出すことができます。そして掛け金は全額所得控除できます。つまり、公務員はiDeCo(イデコ)での所得控除は限度額が14.4万円ということです。
これも、自営業者の所得控除額81.6万円と比べると、低く感じます。しかし、それでも節税になる(お得になる)のは間違いありませんので、デメリットとは言い難いものがあります。
これも、デメリットではありませんが、原則として、60歳まで引き出せませんので、いつでも使える資金を銀行などにある程度(例えば半年分の生活費)を準備しておくのは公務員においても重要だと考えられます。
iDeCo(イデコ)の概要を説明しましたが、よくある質問についても見てみましょう。
公務員でもiDeCo(イデコ)を開始する時には、自分で窓口となる金融機関を選ばなければなりません。ご興味のある方は、下記関連記事をご覧ください。大まかなポイントが分かります。
結論から言うと「公務員だから向いている金融商品」はありません。
どの年齢・職種においても理論的に考えた場合は、合理的な金融商品は共通である、という考え方にたどり着くと考えられます(現代投資理論:MPTにおいて、ただし、比率は年数などに影響を受ける)。
それをふまえた上でのおすすめ商品に関する記事はこちらをご覧ください。また、おすすめの金融機関のヒントになる一文も掲載されています。
公務員がiDeCo(イデコ)に掛け金を出しても、年末調整や確定申告などで掛け金を申告しなければ、節税になりません。つまり、お金が返ってきません。
公務員の場合、どのような人にどのような手続きが必要なのか見てみましょう。
※ここでは公務員の場合の、iDeCo(イデコ)の掛け金に関する記述です。その他の各種控除など、人によって異なりますので、個別具体的な相談は、税務署などで確認して下さい。
職場でのお給料からiDeCo(イデコ)の掛け金が天引きされている場合は、iDeCo(イデコ)の掛け金に関しては年末調整も確定申告も不要です。
上記以外の場合の年末調整・確定申告の方法については、以下の関連ページをご覧ください。
公務員でもiDeCo(イデコ)に加入できます。また、各種の節税のメリットもあります。
iDeCo(イデコ)は老後のために自分で備える仕組みですので、公務員の場合でも、きちんと考えて取り組みたいものです。
iDeCoを始めるには口座を開設する必要があります。銀行や証券など多くで投資信託の取扱いがございますが、おすすめはSBI証券か楽天証券です。業界屈指の格安手数料や、豊富なサービス・商品ラインナップを誇るネット証券業界最大手の2社です。