- iDeCo(個人型確定拠出年金)の最低掛け金額は毎月5,000円。
- iDeCoにおける掛け金の平均額は16,222円。
- iDeCoで資産形成を考えると、掛け金は最大限出した方が合理的。
公開日:2019年8月19日
本記事ではiDeCoを行う場合に「毎月の掛け金はいくらがおすすめなのか?」について考察します。また、企業年金連合会の公表しているiDeCoに「みんなが出している掛け金の平均金額」も検証してみましょう。意外な発見があるかもしれません。
iDeCoに関する基礎知識については以下記事から詳しく知ることができます。
目次
iDeCo(イデコ)とは個人型確定拠出年金の愛称です。基本的に毎月定額の掛け金を出して、自分が選択した金融商品を定期的に購入していきます。
個人型の確定拠出年金という名称からもわかりますが、個人が自分の意志で加入します。掛け金(出すお金)だけが事前にわかって(確定して)いる「もう一つの年金」です。
※基本的に毎月お金を出していきますが、手続きを行うことで、年に数回などまとめてお金を出すことも可能です。年単位拠出と言います。
つまり、受け取れる金額は「加入者が選択した金融商品次第で大きく変わってしまう」ということです。
iDeCoで将来受け取れるお金はあらかじめ決まっていない。
また、iDeCoでは出せるお金も働き方によって異なります。詳しくはこの後確認してみましょう。先に掛け金の最低金額から確認します。毎月の掛け金の最低金額は五千円です。
サラリーマン・自営業者・専業主婦でも、iDeCoの最低掛け金は毎月五千円。
iDeCoは個人型の確定拠出年金ですので、加入は本人の意思で行います。そして加入後は前述のように、最低月額五千円(~加入者上限まで)の掛け金を出していきます。
しかし個人の事情により掛け金を出すことが難しくなることも考えられます。どうしても毎月五千円の最低掛け金を出すことができない場合は、iDeCoの「加入者資格」を喪失する手続きを取ります。こうすることで、掛け金をストップすることができます。
iDeCoの最低掛け金は五千円だが、ストップすることができる。
注意しておきたいのが、掛け金をストップしても「原則として60歳になるまではお金を引き出すことはできない」ということです。あくまでもiDeCoは老後のための「もう一つの年金」的な位置づけですので、すぐに引き出せないのです。
掛け金をストップした人は「運用指図者」と呼ばれる状態になります。「運用指図者」とは、それ以上掛け金を出さずに、これまでに出したお金の運用をする人を指します。
掛け金はストップできるが、原則として60歳までお金は引き出せない。
それではここからiDeCoの掛け金の「限度額」と「平均」について見てまいります。先に限度額から見てみましょう。
こちらがiDeCoの掛け金の上限一覧です。
加入者区分 | 月額の掛け金(上限) |
---|---|
自営業者(第1号被保険者) | 6.8万円 |
会社員・公務員など(第2号被保険者) | 1.2万円~2.3万円 |
専業主婦(主夫)(第3号被保険者) | 2.3万円 |
※図表は筆者作成
個人の加入者区分によって掛け金の上限は異なる。
※なぜ加入者区分によって掛け金の上限が違うのかや、会社員・公務員のより詳しい掛け金の一覧、まとめて掛け金を支払う年単位拠出につきましては、前回の記事をご覧いただければ幸いです。
上記のように、月額の掛け金は加入者区分によって異なります。最低掛け金は五千円からでしたが、そこから千円単位で(それぞれの上限まで)自由に設定することができます。
掛け金は最低五千円から、千円単位で上限まで設定可能。
上記のように掛け金の上限は異なります。それを踏まえたうえで、iDeCoの掛け金平均を見てみましょう。国民年金連合会の公表している資料では次のようになっています。
加入者区分 | 加入者の掛け金額平均(毎月定額拠出) |
---|---|
自営業者(第1号被保険者) | 27,270円 |
会社員・公務員など(第2号被保険者)企業年金なし | 16,210円 |
会社員・公務員など(第2号被保険者)企業年金あり | 10,620円 |
会社員・公務員など(第2号被保険者)共済組合員 | 11,117円 |
専業主婦(主夫)(第3号被保険者) | 16,170円 |
全体平均 | 16,222円 |
※図表は筆者作成
全体平均では16,222円となりました。ただ、会社員によっては上限が1.2万円までなので、お金を出したくても出せない、という現状も伺えます。そのような場合には、つみたてニーサとの併用を考えることも重要だと思います。
iDeCo掛け金の平均は16,222円だが、人によっては限度額が邪魔して、より多くのお金を出したくても出せないケースもある。
一方、未加入者の希望する掛け金の平均は以下のようになっています。
加入者区分 | 加入者の希望額掛け金額平均 |
---|---|
自営業者(第1号被保険者) | 男性15,800円
女性17,900円 |
会社員 | 男性9,700~12,600円
女性9,200~11,300円 |
公務員など | 男性10,500円
女性10,200円 |
専業主婦(第3号被保険者) | 女性10,500円 |
未加入者の方の希望を見てみると、だいたい1万円から1万5千円程度の掛け金を考えていることが伺えます。
筆者は個人的に、先ほどの平均的な掛け金額を見て率直に「少ない」と感じました。その理由は、掛け金の上限と比較した場合に低いからです。特に自営業者が低いです。
前回の記事で詳しく解説しましたが、自営業者の平均の年金受給額は5万円です。これは会社員と違い、厚生年金に加入していないからです。一方iDeCoの掛け金の上限が自営業者は6.8万円と高く設定されています。
会社員の上限が1.2万円のケースもある中で、6.8万円というのは大変大きな意味のあることではないでしょうか。
また、自営業者のみならず、サラリーマンも専業主婦・主夫も最大限にiDeCoを利用することを考えてみることが必要ではないかと筆者は感じています。当たり前ですが、毎月最大限にお金を出していれば老後の資産が大きくなることが予想されます。
以下はiDeCoにおける「運用利率が平均5%(年率)の場合の40年後の資産総額のシミュレーション一例」(未来を保証するものではありません)です。
掛け金(月額) | 出したお金の総額 | 増えた金額 | 資産総額 |
---|---|---|---|
68,000円 | 3千264万円 | 7千112万円 | 1億376万円 |
23,000円 | 1千104万円 | 2千405万円 | 3千509万円 |
12,000円 | 576万円 | 1千255万円 | 1千831万円 |
※図表は筆者作成
上図のようになりました。上の一例では、いずれも「同じ期間」「同じ運用利率」です。異なるのは投資額だけです。同じ期間・同じ制度で資産形成をするのであれば、できるだけ金額は大きい方が良いのは自明の理ではないでしょうか。
そのため、限度額の低い会社員や公務員の場合は、つみたてニーサとの併用を真剣に検討することも大切です。
同じ期間・同じ投資対象なら、計算上は金額が大きい方がお金は大きくなると考えられる(未来を保証するものではない)。
また、iDeCoには所得控除というつみたてニーサにはないメリットもついています。簡単に言うと、「税金が戻ってきてお得」という制度です。
このお得なメリットを最大限に使う方法は、掛け金を最大にすることです。下記は一例ですが、人によっては次のように税金が戻ってくることがあります。
加入者区分 | 毎月の掛け金 | 40年間での所得控除による節税額の合計金額 |
---|---|---|
自営業者 | 68,000円 | 979万円
(平均課税所得400万円の場合) |
会社員(企業年金あり) | 12,000円 | 115万円
(平均年収500万円の場合) |
※図表は筆者作成
所得控除があるから、iDeCoの掛け金は上限まで出すのがやっぱりお得。
iDeCo(個人型確定拠出年金)では、個人の意思で掛け金を千円単位で変更できます。最低金額は五千円からですが、上限は個人の加入者区分によって異なります。全体の平均を見ると16,222円という数字が浮かび上がってきました。
ただ「資産を形成する」というシンプルな目的だけで考えてみると、毎月の掛け金は各個人の出せる限度額いっぱいまで出すことが合理的であると筆者は考えています。
iDeCo(個人型確定拠出年金)でも企業型確定拠出年金でも、つみたてニーサでも、現役時代に利用できる制度は最大限に利用するべきではないでしょうか。本記事が読者の方の合理的な資産形成の一助になれば幸いです。
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