- 親権は財産管理権と身上監護権に分かれる。
- 子供が小さいほど親権者は母親とされる可能性が高い。
- 父親であっても状況により親権を獲得することはできる。
- 離婚原因と親権とは関係ない。
- 親権と監護権を分けてもかまわない。
公開日:2019年3月17日
離婚時に子供の親権をどちらにするかで争いになってしまうことがあります。離婚しても子供のそばにいたいので、何としてでも親権を獲得したいという人は多いのではないでしょうか?
本記事では、子供の親権を獲得するために知っておきたいポイントをまとめています。親権は子供のことを第一に考えて決めるものということを理解した上で、親権を取るためにできることを知っておきましょう。
目次
夫婦の間に未成年の子がいる場合、離婚するときは夫婦の一方を親権者に指定しなければなりません。親権とは、そもそもどういった権利なのでしょうか?
親権とは、未成年の子を養育監護し、未成年の子の財産管理をし、未成年の子を代理して法律行為をする権利または義務のことです。結婚している間は、夫婦双方が共同親権者としてこれらの権利義務を行使します。
離婚すると、夫婦が共同で親権を行使するのが困難になるため、どちらか一方を親権者と定める必要があります。
親権は、大きく財産管理権と身上監護権の2つに分かれます。
子供名義の財産を管理したり、子供が契約を行うときに法定代理人となったりする権利義務です。
子供の養育や教育を行う権利義務です。身上監護権として、民法には具体的に、居所指定権、懲戒権、職業許可権といったものが定められています。
離婚時には、特に争いがなければ、親権は話し合いだけで決めることができます。親権で争いになったら、裁判所で決着をつけることになります。
協議離婚する場合には、夫婦間の話し合いで親権者を決めます。協議離婚は役所に離婚届を提出するだけで成立し、親権者についても離婚届に書くだけです。
親権者を夫婦間の話し合いで決められるのは離婚時のみになります。離婚後に親権者を変更する場合には、家庭裁判所での手続きが必要です。
離婚時に親権で争いがあれば、協議離婚はできないので、家庭裁判所に離婚調停を申し立てる必要があります。離婚調停で親権者をどちらにするかで合意できれば、調停離婚が成立します。
離婚調停で合意できない場合、親権者を決めて離婚するには、訴訟(裁判)を起こさなければなりません。裁判では最終的に裁判官が親権者を決めます。
なお、離婚調停不成立となった場合、審判で裁判官が親権者の指定をして離婚の決定を出すこともあります。
子供の親権者をどちらにするかを決める場合、裁判所では、様々な要素を考慮して総合的に判断します。具体的には、以下のようなポイントが重視されます。
親権については、現在子供を養育している側が引き続き監護すべきという考え方があります。虐待などがあるケースを除き、子供と一緒に住んで世話をしている方が親権者になることが多くなります。
子供の年齢が小さいほど、母親の養育監護が優先されます。子供を母乳で育てている場合などは、母親を引き離すのは子供の成育にとって良くないのは明らかでしょう。乳児の親権は母親になるのが通常です。
子供が大きい場合、子供自身の意思を重視します。基本的に、15歳以上なら子供本人の意思を尊重すべきとされています。ただし、15歳未満でも子供の意向を確認することはあります。概ね10歳以上の子供については、本人の意向も重視されると考えた方がよいでしょう。
兄弟姉妹はできるだけ同じ人間が監護するべきと考えられています。複数の子がいる場合、親権者が父親と母親に分けられることはあまりありません。
ただし、子供の年齢が大きい場合や、既に父親側と母親側に分かれて住んでいるような場合には、親権者を分けることもあります。
親権者となる側が、相手方と子供との面会交流を積極的に認めていることも重視されます。親権を取ったら相手方とは会わせたくないという側は、親権を取りにくくなります。
どうしても親権を取りたいという場合には、どのような方法があるでしょうか?親権争いを有利に進める方法について考えてみましょう。
親権争いになったら、「自分は親権が取れないのではないか」と心配になるかもしれません。親権争いの懸念事項としては、以下のようなことが挙げられます。
離婚時に子供の親権者となるのは、圧倒的に父親よりも母親が多くなります。父親というだけで、親権争いでは不利になってしまうのが現実です。
しかし、父親は絶対に親権者になれないというわけでは決してありません。父親側の環境によっては、父親が親権者になれる可能性も十分あります。
自分の浮気で離婚に至った場合、親権が取れないのではないかと不安になることもあるでしょう。どちらが子供の親権者になるかということは、離婚の原因がどちらにあるかとは関係ありません。
親権者を決めるときには、子供の利益や子供の福祉の観点から判断されます。子供を養育する上で支障がない限り、有責配偶者であっても親権者になることができます。
専業主婦が離婚する際、親権を獲得できるのか不安に思う人は多いのではないでしょうか。
子供の親権者を決めるときに、働いているかどうは特には考慮されません。親権者となった側の収入が少ない場合、他方が養育費を多く払えば解決するからです。つまり、専業主婦であっても親権者になることはできます。
親権は監護権(身上監護権)を含むものですが、監護権を分離して他方に帰属させることも可能です。親権と監護権を分離させることで、親権を取りやすくなることがあります。特に、父親側が親権を取りたい場合、親権と監護権を分けるのは有効な方法の1つと言えるでしょう。
父親が親権者、母親が監護権者となれば、子供と一緒に生活して子供の面倒を見るのは母親ですが、子供の財産管理は父親が行うことになります。この場合、子供の法定代理人は親権者である父親なので、子供の学校関係の書類などには父親が印鑑を押さなければなりません。
弁護士に依頼することで、親権を獲得できる可能性が高まることがあります。弁護士は、過去の裁判例を調べ、似たようなケースにおける裁判所の判断を根拠に、調停委員や裁判官に話をしてくれます。
自分の力だけでは、親権を取るために十分な主張がなかなかできないことがあります。法律のプロである弁護士に依頼すれば、親権獲得に有利になるように話を進めてくれますので、非常に心強いはずです。
親権を獲得できなかった場合でも、親としての権利や義務はあります。親としてできることやすべきことを確認しておきましょう。
親権を獲得できなくても、親である以上、子供との面会交流権はあります。親権を取れなかった場合には、面会交流権を積極的に主張することで、子供とのつながりを維持することを考えましょう。
面会交流について決めていなければ、親権者に子供を会わせてもらえないといったことにもなりかねません。面会交流については、回数や方法などをできるだけ具体的に決めておいた方が安心です。
宿泊を伴う面会や、学校行事への参加についても決めておき、約束を守ってもらえるようにしましょう。
親権が取れなくても、子供の親であることには変わりありません。親である以上、子供を扶養する義務はあります。養育費を支払うことを約束し、経済的な面で子供を支えましょう。
親権を獲得したら、相手には子供を会わせなくていいわけではありません。両方の親とかかわりながら生活していくのが子供にとって最も理想的な環境です。
離婚後も、子育てにはお互いの協力が必要になります。親権者でない側も、子供に対してできることはあります。
単にどちらが親権者になるかといったことではなく、子育てにおいて双方がどのような役割分担をするかといった観点から考えるようにしましょう。
親権や養育費・慰謝料など、離婚問題でお悩みの場合は法律のプロに相談することをおすすめします。でも、どうやって法律のプロを探せばよいのか戸惑う方も多いはず。。
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