- 専業主婦が離婚するときには自立できる手段を見つけることが最優先。
- 慰謝料や財産分与が請求できるなら忘れずに請求する。
- 養育費について合意できれば公正証書を作成し、合意できない場合には調停を申し立てる。
- 住居費を抑えたいなら公営住宅入居も検討する。
公開日:2019年6月9日
専業主婦の人は、経済的には夫に頼って生活しているはずですから、離婚後自立して生活していく方法を考えておかなければなりません。シングルマザーの貧困が取り沙汰されていますが、離婚して生活に困らないためには、しっかりした準備が必要です。
本記事では、専業主婦が離婚したい際に知っておきたいポイントをまとめていますので、参考にしてください。
目次
専業主婦が離婚するとき、お金の問題は重要です。準備が不十分なまま離婚すれば、悲惨なことになります。離婚後に継続的に収入を得られる手段を確保し、離婚時に夫からもらえるお金は忘れずに受け取っておきましょう。
離婚するとなると、その後は夫の収入に頼って生活するわけにはいきません。子供がいる場合でも、夫から受け取れる養育費は子供の生活費のみですから、自分の生活費は自分で稼ぐ必要があります。
母子家庭には児童扶養手当も支給されますが、養育費と手当を合わせても、それだけで生活が成り立つことはないのが普通です。専業主婦の人も、離婚後は仕事を見つけて働かなければなりません。
結婚と同時に仕事を辞めた人も、仕事を探して再就職する必要があります。
離婚して母子家庭になった場合、条件を満たしていれば、児童扶養手当(母子手当)を受給できます。児童扶養手当の金額は一律ではなく、前年度の収入を基準に支給金額が決まります。
専業主婦だった人は前年度の収入がゼロですから、子供が1人の場合1か月あたり約4万2,000円、2人目がいれば約1万円加算、3人目以降がいれば1人につき約6,000円が加算されます。
しかし、働いて収入が増えると、次年度から手当の金額は減ることになります。
また、児童扶養手当支給の基準になる収入には、元夫からの養育費の8割も加算されます。養育費をたくさんもらっていると、児童扶養手当の金額は少なくなるということです。
児童扶養手当を受給するには、役所に毎年現況届を提出しなければなりません。また、5年以上継続して受給していると、自立に向けて努力していることや病気で働けないことを証明しなければ、支給額を減らされてしまいます。
働けるのに働かず、手当だけもらい続けるということはできないのです。
離婚後の生活設計を考えるとき、児童扶養手当をアテにしすぎるのは危険です。児童扶養手当は、働いて十分な収入が得られるようになるまでの間、足りない生活費を補充してくれるものと考えましょう。
仕事を探しても、すぐに見つかるとは限りません。離婚を考えたら、早い段階から仕事探しを始めましょう。
子供を抱えて働くとなると、保育園や学校の都合がありますから、勤務時間にも制約が出てきます。希望する条件の職場が見つかっても、実際に働いてみたら合わないこともあるでしょう。
離婚後、急に仕事を辞めなければならなくなったら困るはずです。離婚前に仕事を探し、その職場でやっていける目途が立ってから離婚した方がよいでしょう。
離婚するときに、夫から慰謝料を払ってもらえないかも考えてみましょう。一方的に離婚原因を作った側に対しては、慰謝料を請求できます。
たとえば、夫の浮気が原因で離婚に至った場合、夫に対して慰謝料を請求できます。慰謝料の相場は200~300万円程度ですから、離婚後の生活の元手として役立てることが可能です。
夫に慰謝料を請求したい場合でも、離婚後3年を経過してしまうと時効になってしまいます。慰謝料をもらうのであれば、早めに請求しましょう。
離婚するときには、財産分与という形で、婚姻期間中築いた財産を分けることができます。財産分与では、専業主婦でも2分の1の割合で財産を取得できるのが原則です。
たとえば、夫名義になっている預貯金でも、結婚している間に貯めたものであれば、半分を分けてもらうよう請求できます。財産分与を請求できる期間は離婚後2年間と限定されているため、権利があるものについては忘れずに請求しましょう。
夫が会社員や公務員の人は、年金分割の手続きもしておきましょう。年金分割は、婚姻期間中の厚生年金保険料の納付実績を分ける制度です。
離婚時に夫の納付実績を分けてもらうことで、将来の年金受取額が増えることになります。年金分割を希望する場合には、離婚後2年以内に年金事務所で手続きが必要です。
専業主婦の場合、平成20年4月1日以降の納付実績については「3号分割」となり、自分1人で年金分割の手続きができます。一方、平成20年3月31日以前の納付実績については、夫の同意を得て「合意分割」の手続きをしなければ分けてもらえません。
子供がいるなら、夫に養育費を請求できます。離婚するときには、養育費についての取り決めもしておきましょう。
専業主婦であっても、親権を取ることはできます。親権者を決めるとき、収入の多い少ないは関係ありません。収入の少ない側が親権者になっても、他方が養育費を払って補えば問題ないと考えられるからです。
養育費を決めるときには、裁判所で使われている養育費算定表を参考にします。
たとえば、夫が会社員で年収400万円、妻が年収0円、子供の年齢は全て14歳以下と仮定した場合、養育費の相場は子供の人数によって次のように変わります。
離婚時に養育費について約束しても、きちんと払ってもらえるとは限りません。協議離婚の場合には、養育費の取り決めを公正証書にしておきましょう。公正証書があれば、差押えして養育費を回収しやすくなります。
夫が納得いく額の養育費を払ってくれない場合には、離婚調停を申し立て、裁判所で解決する方法があります。調停が成立すれば裁判所で調停調書を作ってもらえるので、それに基づき差押えが可能です。
離婚すれば、通常はそれまで住んでいた家を出て行かなければなりません。離婚するなら、住む場所を確保しておきましょう。
結婚している間に購入した家やマンションがある場合、離婚後もそこに住み続けたいと思うことも多いでしょう。住宅ローンが残っていない場合、夫と話し合って合意すれば、財産分与で家をもらうことも可能です。
一方、住宅ローンが残っている場合には、家の名義変更は原則的にできません。住宅ローンの残っている夫名義の家に妻が住み続けることにはリスクがあります。離婚するときには、新しい住まいを探した方が安心です。
生活費の中で、大きな割合を占めるのが住居費です。住居費を抑えるためには、都道府県営住宅、市営住宅、町営住宅などの公営住宅に入るのがおすすめです。
自治体によって、シングルマザーは公営住宅に優先的に入居できる扱いがされているところも多くなっています。離婚調停になっている場合には、裁判所発行の証明書を提出することにより、離婚成立前でも優遇してもらえることがあります。
離婚後、民間の賃貸住宅を借りて住む場合には、保証人も用意しておく必要があります。保証料を払って保証会社に依頼すれば、常に保証人なしで賃貸住宅を借りられるわけではありません。
まず保証会社の審査に通らなければなりませんし、保証会社と連帯保証人の両方が必要になる物件が大半です。親が生きていても、高齢の場合には保証人になれないことがあります。親戚や知人など、保証人を頼める人がいないかどうか考えておきましょう。
専業主婦が離婚するときには、経済的不安を解消するために、準備にしっかり時間をかけましょう。養育費や慰謝料、財産分与について知識をもっておくことも必要ですが、まずは自身の自立が最優先です。
離婚後の生活設計について十分考えた上で、離婚を進めるようにしましょう。
親権や養育費・慰謝料など、離婚問題でお悩みの場合は法律のプロに相談することをおすすめします。でも、どうやって法律のプロを探せばよいのか戸惑う方も多いはず。。
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