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離婚協議書を公正証書にする作り方や費用を徹底解説!養育費を確保したいなら必須!

離婚協議書を公正証書にする作り方や費用を徹底解説!養育費を確保したいなら必須!

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森本 由紀

森本 由紀

行政書士、AFP(日本FP協会認定)、離婚カウンセラー。行政書士ゆらこ事務所・離婚カウンセリングYurakoOffice代表。法律事務所勤務を経て、2012年に行政書士として独立。メイン業務は協議離婚のサポート。養育費、財産分与など離婚の際のお金の問題や離婚後の生活設計に関するアドバイスなど、離婚する人の悩みを解決するためトータルなサポートを行っています。法人設立や相続に関する業務にも力を入れています。

この記事のポイント

  • 離婚公正証書は公証役場で公証人に作成してもらう。
  • 養育費の取り決めを公正証書にしておけば、支払いがなかったときにすぐに強制執行の手続きができる。
  • 離婚公正証書の作成費用は2~5万円程度。

協議離婚するときには、離婚協議書を作成しておくと安心です。養育費など金銭の支払いがある場合には、支払確保のために、離婚協議書を公正証書にしておきましょう。本記事では、離婚協議書を公正証書にする作り方、必要書類、費用などについて詳しく説明します。

 

離婚公正証書を作成した方がよいケースとは?

離婚公正証書とは、離婚協議書を公正証書の形で作成したものです。公正証書には、通常の契約書や合意書にはない効力があります。

 

協議離婚するなら離婚協議書を作成

離婚協議書とは、協議離婚する際に夫婦間で取り決めした事項を記載した合意書です。

調停離婚など裁判所を通じて離婚する場合と違って、協議離婚は離婚届を出すだけでできるので、取り決め事項の書面が残りません。口約束で別れてしまうと後々トラブルになることがあるので、離婚協議書を作って残しておきましょう

 

公正証書とは?離婚協議書と公正証書の違い

離婚協議書は、公正証書にすることもできます。公正証書とは、公証人に依頼して作成してもらう文書です。公証人とは、公証役場で文書の認証などの業務を行っている公務員になります。

公正証書を作成するときには、当事者が公証役場に出頭し、公証人に本人確認や意思確認を受けます。契約書や合意書を公正証書の形で作成すれば、偽造などを疑われる可能性もきわめて低くなるということです。

離婚公正証書は、離婚協議書に比べて証明力が高くなります。離婚の際に合意した条件を離婚公正証書にしておけば、「そんな約束はしていない」という言い訳ができなくなってしまいますから、相手に約束を守らせる上でも効果的です

 

養育費の確保には公正証書が有効

離婚協議書を公正証書にした方がよいのは、離婚後に養育費などのお金の支払い義務が残るケースです。というのも、公正証書には、強制執行認諾約款を付けることができるからです。

強制執行認諾約款とは、「本証書に記載の金銭債務の履行をしないときは、強制執行を受けることを認諾する」といった条項です。公正証書に強制執行認諾約款を入れておけば、裁判などを経ることなく、公正証書にもとづき強制執行ができます

慰謝料などは離婚時に一括払いすることも多いですが、養育費はほとんどの場合、長期間にわたって支払いを続けることになります。途中で支払いがされなくなるリスクも高いですから、公正証書を作成し、強制執行に備えるのが安心です。

 

離婚公正証書作成の流れ

協議離婚で公正証書を作成するまでの大まかな流れは、次のようになります。

 

1. 離婚条件の合意

夫婦で離婚協議をし、離婚の条件及び公正証書作成について合意をします。

 

2. 公証役場に依頼

公証役場は全国に約300か所ありますが、どこに依頼してもかまいません。公証役場がどこにあるかは、日本公証人連合会のホームページで検索できます。

公証役場一覧(日本公証人連合会)

 

3. 事前打ち合わせ・作成日時の決定

離婚公正証書に記載する内容について、公証人と事前に打ち合わせをします。また、公証役場に行って公正証書を作成する日時を決定します。

 

4. 公正証書作成

あらかじめ予約した日時に夫婦で公証役場に行き、内容を確認の上、公正証書の原本に署名押印します。

 

離婚公正証書の必要書類

公証役場で離婚公正証書を作成してもらう際には、次のような必要書類を提出しなければなりません。

 

戸籍謄本

離婚前の夫婦は同じ戸籍に入っているので1通でかまいません。離婚届を出した後に公正証書を作成する場合には、戸籍は別になっているため、それぞれの戸籍謄本が必要です。

 

身分証明書・認印

公正証書作成時には、本人確認のため、身分証明書の提示が求められます。運転免許証があれば、免許証を出しましょう。

免許証がない場合には、顔写真入りのパスポートやマイナンバーカードなどを提示します。身分証明書がなければ、印鑑証明書と実印をセットにして本人確認してもらいます。

なお、公正証書作成当日には、認印も持参する必要があります。

 

代理人が出頭する場合の必要書類

当事者本人が公証役場に出頭できない場合には、代理人が出頭することも可能です。ただし、1人が夫婦双方の代理人を兼ねることはできません

代理人が出頭する場合には、委任状、本人の印鑑証明書、代理人の身分証明書が必要です。

 

その他の資料

公正証書の内容によって、資料の提出を求められることがあります。

たとえば、不動産の財産分与がある場合には、登記事項証明書と固定資産評価証明書(または固定資産税納税通知書の課税明細)が必要です。公正証書で年金分割の合意をする場合には、年金分割のための情報通知書や基礎年金番号がわかる書類を提出します。

 

離婚公正証書の作成費用

公正証書を作成するには、費用がかかります。公正証書作成費用の目安を知っておきましょう。

 

公証役場で公証人手数料がかかる

公証役場で公正証書を作成してもらうときには、公証人手数料を支払う必要があります。公証人手数料の主なものは、公正証書作成手数料です。その他に、正本・謄本作成費用(用紙代)や送達費用(公正証書の送付手続きにかかる費用)などが加算されます。

 

公正証書作成手数料

目的物の価額(公正証書に記載した支払金額や財産額など)によって変わります。

目的物の価額 手数料
100万円以下 5,000円
100万円超200万円以下 7,000円
200万円超500万円以下 11,000円
500万円超1,000万円以下 17,000円
1,000万円超3,000万円以下 23,000円
3,000万円超5,000万円以下 29,000円

(以降略)

公正証書作成手数料は、養育費、慰謝料、財産分与などの種類別に計算し、合計します。養育費については、10年を超える場合には10年で計算します。

 

離婚公正証書の公証人手数料は2~5万円程度

離婚公正証書作成時に支払う公証人手数料は、一般には2~5万円程度です。公正証書作成を行政書士、司法書士、弁護士等の専門家に依頼した場合には、別途専門家の報酬が発生します。

 

離婚公正証書の内容と文例

離婚公正証書には、主に、次のような事項を記載します。なお、通常は夫を「甲」、妻を「乙」、子を「丙」「丁」などとします。

 

離婚の合意

離婚の合意をすること及び離婚届の提出方法などを記載します。

  • 甲及び乙は協議離婚することとし、本証書作成後、甲又は乙において速やかに離婚届を提出する。

 

養育費

養育費の金額、支払期間、支払方法を記載します。振込の場合には、振込手数料の負担についても書きます。

  • 甲は乙に対し、丙の養育費として、○○年○月から○○年○月まで、毎月末日限り、1か月当たり金○万円ずつを、乙の指定する金融機関口座に振り込む方法により支払う。振込手数料は、甲の負担とする。

 

財産分与

財産分与がある場合には、内容を記載します。不動産の名義変更が必要になるケースでは、登記費用の負担についても書いておきます。

  • 甲は乙に対し、本件離婚に伴う財産分与として、甲所有の下記土地・建物を分与することとし、財産分与を原因とする所有権移転登記手続きをする。ただし、登記手続費用は甲の負担とする。

 

慰謝料

慰謝料の支払いがあるときには、支払方法等を記載します。分割払いの場合には、強制執行に備えるため、期限の利益喪失条項を入れておきます。

  • 甲は乙に対し、本件離婚に伴う慰謝料として、金○○円を支払う義務があることを認め、これを下記のとおり分割して支払う。(中略)
  • 甲が前項の分割金の支払を怠り、その遅滞額が金○万円に達したときは、甲は乙からの通知催告を要せず、当然に期限の利益を喪失し、直ちに乙に対し、既払金を除く前項給付金全額を一時に支払う。

 

面会交流

子供がいる場合には、別居する親との面会交流についても定めておきます。

  • 乙は甲に対し、甲が丙と月1回程度面会交流することを認める。面会交流の具体的な日時、場所、方法等については、甲と乙が、丙の意思を尊重し、かつ、丙の福祉に十分配慮して協議決定するものとする。

 

清算条項

公正証書に記載した以外の債権・債務がないことを明確にする清算条項を入れておくことができます。清算条項を入れた場合には、双方とも、追加の請求などはできなくなります

  • 甲乙は、本件離婚に関し、以上をもって円満に解決したことを確認し、今後財産分与、慰謝料等名目の如何を問わず相互に財産的請求をしない。また、甲乙は、本証書に定めるほか相互になんらの債権債務がないことを確認する。

 

まとめ:離婚公正証書は必ず作成しよう

協議離婚で養育費の支払いがある場合には、公正証書を作成しておきましょう。公正証書作成には手間や費用がかかりますが、支払いを確保するには有効な手段です。

公正証書作成は、行政書士等の専門家に依頼できます。専門家に依頼した場合には、公正証書原案の作成や必要書類の取り寄せ、公証人との打ち合わせなどを任せられます。

 

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