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iDeCoのメリット・デメリットとは?知っておきたい仕組みをFPが解説!

iDeCoのメリット・デメリットとは?知っておきたい仕組みをFPが解説!

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吉見 浩一

吉見 浩一

CFP、FP1級、TOEIC975点

「お得」が好きなFPライターです。大手電機メーカーおよび施設運営会社勤務を経て、2018年よりフリーのライターに。会社勤務中に、ファイナンシャルプランナー(FP)資格取得に取り組み、CFPおよびFP1級を取得。現在はクレジットカードやローンに関する記事を連載しています。

この記事のポイント

  • iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出型年金のことで、老後資金を自分で作るためのお得な制度のこと。
  • iDeCoには、税金上のいろいろな優遇が受けられるなどのメリットがある。
  • 逆に、60歳まで引き出せないなどのデメリットもある。
  • iDeCoには、さまざまな手数料がかかるので注意する。

あなたは、将来に備えてiDeCoを活用してみようかと検討しておられるのでしょうか?iDeCoのことがよくわからず、「結局損をしてしまうのではないか?」「手数料が高いのでは?」と不安になっているかもしれません。

でも、iDeCoは「デメリットをよく理解した上で取り組めば、それを上回るメリットを享受できる制度」なんです!この記事では、iDeCoの仕組みやメリット・デメリットについて説明していきます。

 

iDeCoって一体何?その仕組みについて

iDeCoって一体何?その仕組みについて

そもそも、iDeCoとは一体なんでしょうか?よく耳にはしますが、一般にはあまり意味が浸透していません。専門用語でいうと、「個人型確定拠出年金」のことなのですが、いきなりそう言われてもチンプンカンプンですね。

まずは「老後資金を自分で作るための、いろいろとお得なことがある制度」だとざっくりと理解しておきましょう。ということで、iDeCoについて日本の年金制度全体のことから以下で説明してまいります。

 

日本の年金制度

現在、日本の年金制度は大きく三つに分けることができます。これを、「三階建ての年金」などと呼んだりもします。ただし、国民全員が三階分全てを受けられるというわけではなく、働き方によって加入できる(受けられる)年金は変わってきます。

まず、一階部分として、ニ十歳から六十歳までのすべての国民が加入する「国民年金」があります。二階部分は会社員や公務員が加入する「厚生年金」です。この二つの年金は国が運営しているので「公的年金」とも言われます。会社にお勤めの方は支払っている意識が薄いかもしれませんが、実はこの二つは給料から天引きされています。

三階部分は働き方によっていろいろ異なりますが、大きくいうと企業に勤める方が加入する「企業年金」と、ほぼすべての方が任意で加入できる「私的年金」があります。そして、この私的年金のことを「個人型確定拠出年金=iDeCo」というのです。

図にすると、下記になります。

年金の種類
三階部分 企業年金、私的年金(個人型確定拠出年金=iDeCo)
二階部分 厚生年金
一階部分 国民年金

 

確定拠出年金とは

それでは、確定拠出年金とは、一体どのような性質を持つ年金のことなのでしょうか? 以下で、それと対比される確定給付型年金と比較して見てみることにしましょう。

実は、かつての日本の年金は確定給付型が中心でした。これは、将来受け取れる年金額があらかじめ決まっているタイプの年金ということです。ところが、積み立てられる年金の原資の運用リスクを運用元が負う、ということがだんだん難しくなってきます。例えば、低金利などによって支払える年金額が不足する、などということが起きてきました。

そこで、受け取れる年金額は決まっていないが、積み立てる金額は決まっている、もしくは自分で決めるタイプの年金がでてきました。これを、確定拠出型年金といいます。公的年金はまだ確定給付型年金ですが、企業年金の一部や私的年金では確定拠出型年金となっています。iDeCoは確定拠出型年金の代表的なものです。

 

iDeCoは個人型確定拠出型年金

iDeCoは、「個人型」確定拠出型年金です。この個人型、とはどういうことでしょうか?

iDeCoにおいては、積立金が個人別に管理されていて、転職などによっても移動が可能です。これを個人型といいます。これと対比される企業型の場合には、転職をした場合、いったん積み立てがリセットされてしまいます。現代では終身雇用が崩れつつあるので、個人型の方が便利だと言えるでしょう。

 

iDeCoのメリットについて

iDeCoのメリットについて

iDeCoとは個人型確定拠出年金であり、その仕組みについては説明いたしました。では、そんなiDeCoにはどんなメリットがあるのでしょうか? 具体的にはどのような「お得」があるのでしょうか? それは、おおよそ下記の四点となります。

  1. 掛け金が全額「所得控除」の対象となる
  2. 運用中に発生した利益に税金がかからない
  3. 運用資産をを受け取り時に「退職所得控除」「公的年金等控除」が受けられる
  4. 月5,000円からと低額で始められる

以下でそれぞれについて見ていきましょう。

 

 

1.掛け金が全額「所得控除」の対象となる

iDeCoで積み立てた掛け金の全額は所得控除といって、その年に儲けた金額から掛け金を差し引いて税金が計算されます。すると、その分支払う所得税・住民税が軽くなっていきます。掛け金そのものが税金から引かれるのではなく、税金の計算のもとになる所得が少なく見積もられる、ということですので間違えないようにしましょう。

ということで、年末調整や確定申告によって、所得や掛け金に応じて納めた税金が戻ってくることになります。これはお得ですね。

 

2.運用中に発生した利益に税金がかからない

iDeCoでは運用期間中に得られた利益に税金がかからないことになっています。通常は、投資信託で得られた売却益や分配金、定期預金の利息には20.315%(=所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)の税金がかかってしまうのですが、これがiDeCoだと0になるわけです。これも大変お得です。

 

3.運用資産の受け取り時に「退職所得控除」「公的年金等控除」が受けられる

そして、いざ年金の受け取りが始まり、これまで積み立てた運用資産を受け取る際にも節税のお得があります。運用した資産は60~70歳までの間に、「一時金」「年金」「一時金と年金の両方」の3つのいずれかの形式で受け取りますが、いずれの場合でも、税金の優遇が受けられます。

一時金の形式で受け取れば「退職所得控除」が、年金の形式で受け取れば「公的年金等控除」が受けられますので、所得税が軽くなります。

 

4.月5,000円からと低額で始められる

「自分は年収が少ないから、とても投資なんて」と思う人もいるかもしれませんが、iDeCoの掛け金は毎月5000円からとなっていますので、低所得の方でも気軽に始めることができます。毎月少しずつでもコツコツと積上げていけば、最終的には老後に大いに役立つことになります。

 

iDeCoのデメリットについて

iDeCoのデメリットについて

それでは、逆にiDeCoのデメリットとしてはどのようなものがあるのでしょうか? 先ほど述べました通り、iDeCoには多くのお得がありますが、次に挙げるデメリットについて、よく認識したうえで取り組まないと思わぬ落とし穴にはまることがあります。

  1. 60歳まで運用中の資産を引き出せない
  2. 株式には投資できない
  3. 口座開設・維持に手数料がかかる
  4. 元本割れリスクがある

どういうことなのか、以下で見ていくことにしましょう。

 

1.60歳まで運用中の資産を引き出せない

iDeCoの最大のデメリットが、「60歳になるまで積み立てた資産を引き出せない」ということです。また、途中で解約することも原則的には認められていません。途中で自分に何があっても、60歳までは手が付けられないわけです。

これをもって、「iDeCoには手を出さない方がいい」と言っているyoutube動画を以前見たことがあります。ただし、こういう役立ち系youtubeの動画を見る時には、常に「誰に向けた動画なのか」を意識しておく必要があります。この動画の場合、明らかに配信者本人を含む、たえず資産を組み替える投資上級者向けに言っています。

なので、一般の人は「絶対に手を付けない」資金をiDeCoに投入すればいいでしょう。

 

2.株式には投資できない

投資で大きなリターンを狙っている人には残念かもしれませんが、iDeCoは一般の株式に投資することはできません。株には投資信託を通じて投資することになります。したがって、株主優待を得ることもできません。しかし、iDeCoは老後資産の積み立てですので、あまり投機的なことは考えない方がいいでしょう。

 

3.口座開設・維持に手数料がかかる

やはり金融機関の利益のため、iDeCoでは口座開設・維持に、それぞれどうしても手数料がかかってしまいます。手数料の詳細については後述しますが、iDeCoは長期間の投資になりますので、トータルでかかる手数料の額は無視できません。口座にかかる手数料を意識して銀行や証券会社を選ぶ必要があります。

 

4.元本割れリスク

iDeCoを投資信託で行うとすると、世界経済や景気の状況によって、どうしても価格の上下があり、最悪の場合元本割れをしてしまうリスクがあります。iDeCoは個人型確定拠出年金であり、自分の才覚で商品を選択するわけですから、失敗したら責任も自分で追わなければなりません。なので、事前によく勉強・調査をして商品選びをする必要があります。

 

デメリットを減らすには定期預金を使う

「手数料がかかる」「元本割れリスクがある」などと、自分のお金が減る話ばかりを聞くと、何かiDeCoに取り組む気がなくなりますね。でも、この二つのデメリットを少なくする方法はあります。それは、「iDeCoに定期預金を使う」というものです。

定期預金を使えば、元本は投資した金額を下回ることは決してありません。ただし、利息が手数料を上回らないと、損をしてしまうことになります。手数料についても、iDeCoを年払いにすれば少なくすることができます。どうしてもデメリットを受けたくない場合には、定期預金の利用を検討しましょう。

 

iDeCoにかかる手数料とは

iDeCoにかかる手数料とは

最後に、iDeCoにかかる手数料について押さえておきましょう。iDeCoには、色んな場面に応じてさまざまな手数料がかかってきます。iDeCoに加入してから「知らなかった!」とならないように、事前にしっかり確認しておきましょう(金額は2019年9月現在)。

 

 

iDeCoを始める際

最初にかかる手数料は、国民年金基金連合会への加入時の事務手数料2,777円です。どの金融機関を選んでも金額は一律で、最初の掛金から差し引かれます。また、金融機関によっては、加入時の手数料が別途かかる場合もありますので注意が必要です。

おすすめの金融機関はSBI証券です。業界屈指の格安手数料や、豊富なサービス・商品ラインナップを誇るネット証券業界最大手です。

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iDeCoの加入中

毎月の拠出時には、国民年金基金連合会に103円を、iDeCoの資産を管理する信託銀行に64円を管理手数料として支払います。また、金融機関(運営管理機関)も「運営管理機関手数料」をとっています。

金融機関によりサービスの内容はさまざまであるため、金額も異なり、無料から300円台となっています。できるだけ運営管理機関手数料の少ない金融機関を選びましょう。

 

運用商品にかかる手数料

選択した運用商品自体にかかる手数料もあります。大きく分けて、運用会社に払う信託報酬と、投資信託にかかる信託財産留保額があります。これは通常の投資信託を購入する場合と同じです。

 

iDeCoの給付時

給付金を受け取る際、信託銀行等が行う給付の事務にかかる手数料で、1回の給付につき432円かかります。一時金で一括で受け取れば支払いは1回で済みますが、年金にした場合には受け取りのたびに432円かかります。

以上をまとめると下表となります(2019年9月現在)。

場面 支払先 金額 支払方法
iDeCo開始時 国民年金基金連合会 2,777円 初回掛金より徴収
iDeCo加入中 国民年金基金連合会 103円 毎月の掛金より徴収
iDeCo加入中 信託銀行(事務委託先金融機関) 64円 毎月の掛金より徴収
iDeCo加入中 金融機関(運営管理機関) 金融機関で異なる 毎月の掛金より徴収
運用商品 信託報酬 運用会社 投資信託により異なる 毎月運用資産から徴収
運用商品 信託財産留保額 投資信託 投資信託により異なる 売却時に基準価額から控除
iDeCo給付時 信託銀行 432円 給付金より徴収

これだけ色々な手数料を取られますので、iDeCoをやるにはやはり少額よりも一定規模の金額で始めた方が、手数料の引かれる割合的には有利になります。また、金融機関や投資信託によっては手数料が異なる場合もありますので、できるだけ手数料の安い金融機関や投資信託を選んだ方が、お得になります。

 

iDeCoの仕組みやメリット・デメリットに関するまとめ

iDeCoの仕組みやメリット・デメリットについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?

確かに、iDeCoには60歳まで引き出せない、手数料がかかるなどデメリットもあります。ですが、事前にデメリットについて理解してある程度対策を打ち、自分で投資商品についての知識を深めて上手に運用すれば、メリットを生かしてきっとあなたの老後の心強いささえとなってくれるでしょう。ぜひiDeCoの利用を検討ください。

この記事が、あなたの参考になることを願っております。

 

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