- iDeCo(イデコ)加入者が亡くなった場合は死亡一時金が受け取れる。
- iDeCo(イデコ)の死亡一時金は掛け金・期間・運用成績などにより異なる。
- iDeCo(イデコ)の死亡一時金の受取人はあらかじめ指定できる。
公開日:2019年9月28日
iDeCo(イデコ)とは、長寿化・少子高齢化に伴い、不足する可能性のある「老後の資産」形成のための制度です。原則として20歳から60歳までの方が加入できます(一部要件あり)。
本記事では、iDeCo(イデコ)加入者が、加入途中で死亡した場合に一時金や相続はどのようになるのかなどにスポットを当てて記します。
※本記事内の数値や要件などは、2019年1月15日時点のものです。
目次
先ほど記しましたように、iDeCo(イデコ)は老後の資産形成のための制度で60歳まで原則としてお金を途中で引き出すことができません。
しかし、(あまり想像したくないことではありますが)人生では60歳途中までに加入者が死亡してしまうこともあるでしょう。このような場合は、どうなるのでしょうか。見てみましょう。
iDeCo(イデコ)に加入している方が引き出し可能年齢(60歳)までに死亡した場合は、死亡一時金が遺族に支払われます。一時金とは、まとめて受け取るお金のことです。ポイントとしては、年金形式で受け取ることができない、というところです。
iDeCo(イデコ)加入者が途中で死亡した場合は、死亡一時金が受け取れる
死亡一時金の金額については後述しますが、死亡一時金は次のような概要です。
確定拠出年金制度において、加入者又は運用指図者の方が死亡された場合、ご遺族の方が請求により受け取ることのできる一時金のことをいいます。
年金受給中に死亡された場合、ご遺族の方が残額を受け取ることができます。
死亡一時金の請求先は、記録関連運営管理機関となります。
ここで言う加入者とは、お金を現在出している人です。運用指図者とは、掛け金を出すのを中止していて、資産の運用だけをしている人を指しています。
一般的には、加入者のiDeCo(イデコ)口座を開いている機関(銀行や証券会社など)に連絡を取り、手続き方法を教えてもらうとスムーズです。
iDeCo(イデコ)加入者は原則として60歳以降、お金を引き出すことができますが、お金を引き出す前に亡くなった場合も、遺族が一時金を受け取ることができます。
年金として受け取り中であった場合も、残りの金額を一時金として受け取れます。
iDeCo(イデコ) 60歳以降の引き出し:生存時のお金の受け取り方法は基本的に①一時金としてまとめて受け取る ②年金として受け取るがあります。70歳までに手続きをしないと、自動的に①の一時金として支払われます。
iDeCo(イデコ)はあくまでも個人の資産形成の制度ですので、公的年金とは異なり、iDeCo(イデコ)に未加入の配偶者が死亡をしても一時金などはありません。
iDeCo(イデコ)に加入するかどうかは、あくまでも個人の意思です。
あくまでも個人的な意見ではありますが、iDeCo(イデコ)はあくまでも個人の老後の資産形成のための制度ですので、夫婦であってもそれぞれで加入をすることも検討すべきかと思います。
もちろん、節税面を考えますと、iDeCo(イデコ)への加入は収入のある方にとって所得税控除のメリットが多く発生します。
※所得税控除の効果については、以下の記事をご覧ください。
一般的に収入のない主婦・主夫にとっては「所得税の控除が私にはないから、働き手だけがiDeCo(イデコ)に加入していればそれでいいでしょう。それが税制面で一番お得でしょう」と思われるかもしれません。それは確かにその通りの一面があります。
しかし、iDeCo(イデコ)は公的年金ではありません。自分の意思で加入する(税制面で優遇されている)「個人の私有財産」です。離婚という問題が発生する可能性もありますので、夫婦でも別々に加入するという選択肢も入れておくと良いかもしれません。
もちろん、離婚をしても財産分与で話し合いの上に分け合うということもあるようです。
それでは、iDeCo(イデコ)加入者が死亡した場合の一時金と相続はどうなるのか見てみましょう。
まず、iDeCo(イデコ)の死亡一時金は、加入者により異なります。大変乱暴に言いますと、亡くなられた方の運用していた金融商品(預金タイプ・投資信託)を一度清算して現金に戻します。そして、そのお金を死亡一時金として受け取れる、という形です。
そのため、加入者の以下3つの状況によって受け取れる金額が異なります。
※1 投資信託とは、様々な金融商品がパッケージ化されている金融商品。値下がりするリスクあり。経済環境などにより値動きがある。分散投資に適している。
iDeCo(イデコ)の死亡一時金は、人それぞれで異なる
ただ、現実にはiDeCo(イデコ)に加入している配偶者の方が亡くなられた場合、遺族にとっては「iDeCo(イデコ)のことなど気にしている余裕はない」のが現実だと思います。
また、余裕が生まれても「iDeCo(イデコ)のことを知らなかった・窓口となる金融機関名が分からない」という事態も起こり得ます。
親族が亡くなった場合、手続きの一つ一つが、残された遺族にとっては大変な重労働となります。書類一枚を書くにしても、その都度、いろいろな思い出が浮かび、大変に「重い・苦しい・つらい」こともあります。
たとえば銀行の預金を下ろすだけでも、場合によっては親族のハンコがいくつも必要になったりと、肉体的にも精神的にも大変につらいことがあります。
場合によっては何カ月も何も手につかないこともあるでしょう。現在、iDeCo(イデコ)に加入している方はのこされる方のために、最低限
という旨は書面で残しておくのも愛情かと思います。口頭で伝えると忘れやすいものです。
もちろん、受取人(後述)についても記しておくとさらにスムーズだと思います。
相続は遺された遺族にとっては大変にエネルギーを使う手続きです。先ほど少し触れましたが、iDeCo(イデコ)の死亡一時金受取人を指定することができます。
あらかじめ指定したい人がいる場合は、生前に運営管理機関に対して、受取人を指定しておくことが可能です。銀行や証券会社などの運営管理機関に問い合わせ、手続きをしておきましょう。
指定受取人は、配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹の中から選びます。生前に誰にも死亡一時金受取人の指定をしていなかった場合は、決められた相続順位となります。
iDeCo(イデコ)の死亡一時金受取人は生前に指定が可能
iDeCo(イデコ)は基本的に自分の老後に備える「自分のための年金」ですが、受け取り前に本人が亡くなった後も、のこされた遺族の力になれます。ムダになりません。
また「長生きをするリスク」もあります。どちらにも備えられる制度です。
税制面でも優遇されていますので、人生100年時代においては重要な制度かもしれません。
iDeCoを始めるには口座を開設する必要があります。銀行や証券など多くで投資信託の取扱いがございますが、おすすめはSBI証券か楽天証券です。業界屈指の格安手数料や、豊富なサービス・商品ラインナップを誇るネット証券業界最大手の2社です。