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年末調整で地震保険料控除を受ける方法とは?計算方法や申告書の書き方をFPが解説!

年末調整で地震保険料控除を受ける方法とは?計算方法や申告書の書き方をFPが解説!

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竹国 弘城

竹国 弘城

RAPPORT Consulting Office 代表、1級ファイナンシャルプランニング技能士、証券外務員一種

証券会社、生損保代理店での勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。より多くの方がお金について自ら考え行動できるよう、お金に関するコンサルティング業務や執筆業務などを行う。ミニマリストでもあり、ミニマリズムとマネープランニングを融合したシンプルで豊かな暮らしを提案している。RAPPORT Consulting Office 代表。1級ファイナンシャルプランニング技能士。

この記事のポイント

  • 居住用家屋または家財を保険対象とする地震保険(共済)の保険料を控除対象とする所得控除のひとつ。
  • 2006年末までに締結した旧長期損害保険の保険料も控除対象に含まれる。
  • 年末調整で控除を受けるには給与所得者の保険料控除申告書に必要事項を記載し、保険料控除証明書とあわせて提出が必要。

この記事は約7分で読めます。

所得控除のひとつである「地震保険料控除」。この記事では年末調整で地震保険料控除を受けるにはどうすればいいのか。控除額の計算方法や必要書類の書き方について解説します。

 

地震保険料控除とは

地震保険料控除とは

地震保険料控除は、納税者が地震保険等(地震による損害を補償する損害保険契約や共済契約)の保険料を支払った場合に、所得から一定額の控除を受けられる所得控除のひとつ。自助努力による地震の備えとして、地震保険への加入を促したい政府の意向により設けられたものです。

 

地震保険料控除の対象となる保険契約

地震保険料控除の対象となるのは、地震による損害を補償する保険や共済(JA共済・県民共済等)などで、納税者本人や本人と生計を一にする配偶者その他の親族の所有する自宅や家財を保険の対象とし、火災保険(共済)に付帯されるか、一体となっている契約です。

申告者が保険(共済)の契約者(名義人)ではない、配偶者名義や親名義の保険であっても、申告者(納税者)本人が保険料を支払っていれば控除対象となります。

 

保険の対象

納税者本人や本人と生計を一にする配偶者その他の親族の所有する、次のいずれかを保険の対象とする保険契約。

  • 常時居住の用に供する家屋(自宅)
  • 生活に通常必要な家具、什器、衣服などの生活用動産(家財)

居住部分のみが対象となるため、店舗兼用住宅などでは支払った保険料のうち居住用部分にかかる保険料のみが控除対象となります。

 

契約形態

次の契約(火災保険・火災共済など)に付帯して締結される契約、またはその約と一体となって効力を有する一の契約。地震による損害を補償する単体商品を取り扱う少額短期保険もありますが、執筆時点(2019年9月)では地震保険料控除の対象とはなっていません。

1.損害保険会社又は外国損害保険会社等と締結した損害保険契約のうち一定の偶然の事故によって生ずることのある損害をてん補するもの
(注)外国損害保険会社等と国外において締結したものを除きます。

2.農業協同組合と締結した建物更生共済契約又は火災共済契約

3.農業協同組合連合会と締結した建物更生共済契約又は火災共済契約

4.農業共済組合などと締結した火災共済契約又は建物共済契約

5.漁業協同組合などと締結した建物や動産の共済期間中の耐存を共済事故とする共済契約や火災共済契約

6.火災等共済組合と締結した火災共済契約

7.消費生活協同組合連合会と締結した火災共済契約、自然災害共済契約

8.財務大臣の指定した火災共済契約、自然災害共済契約

出典:国税庁

 

地震保険料控除の対象となる保険料を支払うと保険会社から証明書が届く

地震保険料控除の対象となる損害保険料を支払った場合には、保険会社から控除対象となる保険料の金額が記載された証明書が届きます。この証明書により控除の対象になるのかどうか、対象となる金額はいくらなのかを確認できます。

確定申告を行って控除を受ける場合、この証明書を確定申告書に添付するか、申告書提出時に提示する必要があります。

初年度分の控除証明書は、通常保険証券とともに契約後すぐに届きます。2年目以降の控除証明書は、確定申告や年末調整に間に合うよう、だいたい10月頃に届きます。もし年末調整や確定申告の時期が近づいても届かない場合や、紛失してしまった場合には早めに保険会社に連絡し、再発行してもらいましょう。

 

保険証券付属の「保険料控除証明書」の例(契約年分)

保険証券付属の「保険料控除証明書」の例(契約年分)

 

保険料控除証明書の例(2年目以降)

保険料控除証明書の例(2年目以降)

 

旧長期損害保険に係る経過措置

地震保険料控除が2007(平成19)年から適用開始されたのと同時に、火災保険や傷害保険など幅広い保険種類が対象となっていた「損害保険料控除」が廃止されました。

 

経過措置として一定の要件を満たす損害保険は地震保険料控除の対象となる

損害保険料控除廃止に伴う経過処置として、以下の要件を満たす長期損害保険の保険料については、「旧長期損害保険料」として地震保険料控除の対象となっています。

  1. 2006年12月31日までに締結した契約(保険(共済)期間の始期が2007年1月1日以後のものは除く)
  2. 満期返戻金のあるもので保険(共済)期間が10年以上の契約
  3. 2007年1月1日以後に、その損害保険契約等の変更をしていないもの(*1)

*1 旧長期損害保険契約に該当する火災保険に地震保険が付帯されている場合、地震保険料のみの変更はここでの変更とはみなされず、保険料変更後も経過措置の対象となります。

 

地震保険料控除額の計算方法

地震保険料控除額の計算方法

地震保険料控除の控除額は、その年に支払った保険料の金額に応じて次のように計算します。所得税と住民税では控除額の計算や上限額が異なります

地震保険料控除の控除額(所得税)
区分 年間支払保険料合計 控除額
(1)地震保険料 5万円以下 支払金額の全額
5万円超 一律5万円
(2)旧長期損害保険料 1万円以下 支払金額の全額
1万円超2万円以下 支払金額×1/2+5,000円
2万円超 1万5,000円
(1)と(2)両方がある場合 (1)(2)それぞれの方法で計算した金額の合計(最高5万円)
地震保険料控除の控除額(住民税)
区分 年間支払保険料合計 控除額
(1)地震保険料 5万円以下 支払金額×1/2
5万円超 一律2万5,000円
(2)旧長期損害保険料 5,000円以下 支払金額の全額
5,000円超1万5,000円以下 支払金額×1/2+2,500円
1万5,000円超 1万円
(1)と(2)両方がある場合 (1)(2)それぞれの方法で計算した金額の合計(最高2万5,000円)

ひとつの契約に地震保険料と旧長期損害保険料の両方を含む保険の保険料を支払っている場合、納税者は地震保険料、旧長期損害保険料のいずれの控除を受けるかを選択しなければなりません

たとえば2006年12月31日までに締結した保険期間10年以上の火災保険(*2)に地震保険が付帯されている場合。満期返戻金のある火災保険料部分の保険料は旧長期損害保険の経過措置による控除に該当し、地震保険の保険料部分は地震保険料控に該当するため、いずれか一方を選択する必要があります。

*2 保険始期が2007年1月1日以後となるものを除く

 

 

店舗兼住宅は居住用部分の保険料のみが控除対象となる

地震保険料控除は居住部分にかかる保険料のみが対象です。そのため店舗兼住宅(併用住宅)では居住用部分の面積に応じて次のような修正が必要となります。

控除対象保険料=保険料控除証明書記載の「控除対象保険料」×(居住部分の延床面積/建物全体の延床面積)

*居住用部分がおおよそ90%以上を占めていれば、支払った保険料の全額を控除対象にできます。

 

一括払いの保険料は控除期間に対応する保険料が控除対象となる

地震保険料控除の対象となるのは、控除期間(控除を受ける年の1月1日から12月31日)の補償にかかる保険料です。保険料を一括払いした場合、まずはその年の控除期間に対応する保険料のみが控除され、翌年以降は控除期間に対応する保険料が毎年控除対象となります。

たとえば5年分の地震保険料(仮に5万円とします)を一括で支払った場合、契約した年には1年分の保険料に相当する1万円(=5万円÷5年)が控除対象となります。2年目〜5年目も同様に、年1万円ずつ控除を行います。

 

地震保険料控除は年末調整を行えば確定申告不要で適用可能

地震保険料控除は年末調整を行えば確定申告不要で適用可能

地震保険料控除を受けるには確定申告を行うのが原則です。確定申告書に地震保険料控除に関する事項を記載し、支払った保険料の金額や控除を受けられることを証明する書類(保険会社から届く保険料控除証明書等)を添付するか、申告時に提示して申告します。

年末調整を行う会社員や公務員、パート従業員の人は、年末調整で地震保険料控除を受けられ、地震保険料控除を受けるために確定申告を行う必要はありません。

保険料控除証明書は年末調整で控除を受ける場合にも原則提出が必要ですが、勤務先の団体保険に加入している場合には不要な場合もあります。

 

年末調整で地震保険料控除を受けるために必要な書類とその書き方

年末調整で地震保険料控除を受けるには、「給与所得者の保険料控除申告書」に地震保険料控除に関する事項を記載し、支払った保険料の金額や控除を受けられることを証明する書類(保険会社から届く控除証明書等)を添付して勤務先へ提出します。

 

年末調整で地震保険料控除を受けるために必要な書類

給与所得者の保険料控除申告書

給与所得者の保険料控除申告書

 

保険料控除証明書

保険料控除証明書

 

保険料控除申告書における地震保険料控除に関する事項の書き方

給与所得者の保険料控除申告書に記載する項目は以下のようなものです。

  • 契約している保険会社等の名称
  • 保険等の種類(保険の目的)
  • 保険期間
  • 保険等の契約者の氏名
  • 保険等の対象となった家屋に居住または家財を利用している者等の氏名・申告者からみた続柄
  • 地震保険料・旧長期損害保険料の区分
  • その年に支払った保険料のうち、選択した区分の金額
  • 控除額の計算結果

 

給与所得者の保険料控除申告書(地震保険料控除欄)の記載例

給与所得者の保険料控除申告書(地震保険料控除欄)の記載例

 

記入のポイント

記入の際には次のようなポイントに注意が必要です。

 

保険契約者と保険対象となっている家屋の居住者・家財の利用者との関係

保険対象となっている家屋などに住んでいる人、家財を利用している人は、申告者(納税者)本人または本人と生計を一にしている親族でなければなりません。これは地震保険料控除を受けるための要件であり、もし異なれば控除を受けられません。

 

控除額の計算

控除額の欄には、保険会社から届く保険料控除証明書に記載の金額をもとに、先述の「地震保険料控除の控除額の計算方法」に従って計算した結果を記入します。

地震保険料と旧長期損害保険料の両方がある場合、それぞれ別々に控除額を計算したものを合算して控除額を求めます。その場合の上限は5万円です。地震保険料の控除額の上限は5万円、旧長期損害保険料の控除額の上限は1万5,000円ですが、単純な合計ではない点に注意が必要です。

 

年末調整で地震保険料控除を受ける方法に関するまとめ

地震保険料控除は年末調整で控除を受けられます。控除申請に必要な情報は基本的に保険料控除証明書に記載されており、多少の計算は必要ですが、仕組みを理解できていれば難しいものではありません。

年末調整で申請し忘れた場合、控除を受けるには確定申告が必要になってしまいます。控除の対象となっている人は申請を忘れないようにしましょう。

なお、さらに年末調整に関する知識が知りたい方は以下記事をご覧ください。

 

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