- 無職でも確定申告したほうが得なことが多い。
- 無職でも確定申告の基本は同じ。
- 無職でも確定申告しないとペナルティの可能性が……。
公開日:2019年11月20日
こんにちは、婚活FP山本です。会社員なら源泉徴収や年末調整がありますから、基本的には確定申告は不要になります。一方で会社を辞めて無職になったら収入がありませんから、税金のことは関係ないように考える方も多いものです。で
も、無職だからと確定申告を怠ると、無用な損をするかもしれませんよ。そこで今回は、無職状態における確定申告の関わりと、書き方の基本についてたっぷりとお伝えします。あなたの人生に、お役立て下さいませ。
目次
まずは、そもそもの税金の基本についてお伝えします。日本では、基本的に「全ての利益」に対して所得税が発生するルールです。そして、自分で自分の税金を計算・申告して納税することになっています。つまり、本来は誰もが確定申告しなければならない訳ですね。
ただ、それではあまりに個人も税務署も大変ですから、会社員に限って年末調整という「簡易的な確定申告制度」が誕生しました。一方、人間は「サボる生き物」ですから、完全に個人任せにすると、税金の取りこぼしが発生しかねません。そこで源泉徴収という制度も誕生した訳です。
つまり、ひとまず仮払いとして源泉徴収で税金を徴収し、ちゃんと年末調整や確定申告をした人に限り、取りすぎた税金を返す……そのような設計になっています。この基本的な理屈は、最初に理解しておきましょう。
確定申告では、取りすぎた税金を返すだけでなく、(追加で)税金を納めなければならないケースもあります。そして、前者の場合は確定申告するかどうかは任意ですが、後者の場合は強制です。やらなければならない人がしなかったら、様々なペナルティが発生することもあります。
このため、どちらのケースであっても原則的に確定申告は「やった方が得」です。特に無職なら年末調整してくれる会社がない訳ですから、自分で確定申告するのが基本と心得ましょう。
次に、「無職も様々ある」という点についてお伝えします。現在は無職であっても、その状況は個々人で様々です。例えば、以下のケースは全てが同じ扱いでしょうか?
当然、全て違いますね。ちなみに個人の税金というのは、1月1日~12月31日の期間で考えます。この間での収入の有無や源泉徴収の有無で考えれば、いかがでしょうか。つまり、無職であっても収入ゼロ・利益ゼロとは限らない訳です。
あなたの場合はいかがですか?年末調整とは違って確定申告は前年分を今年申告しますが、去年一年間はどうだったかを思い返してみましょう。
税金に不安を覚える無職の方というのは、やはり「年の途中で退職した方」が一番多いです。一方で勤め中に源泉徴収されてきた税金は、「年末まで勤める前提」で計算された金額になります。
途中で退職した分だけ実際の年収は低くなっているはずですから、その分だけ実際の税金も安くなることが多いです。
つまり、年の途中で退職した無職の方が確定申告すれば、高い確率で税金を返してもらえます。会社を退職後、まだ手元に源泉徴収票があるなら、ぜひとも確定申告して税金を取り返しましょう。
今度は、無職でも確定申告をするメリットについてお伝えします。先ほどお伝えした通り、一番のメリットは「税金を返してもらえる可能性がある」というものです。特に年の途中で退職したような場合は、高い確率で返してもらえます。ぜひとも確定申告しましょう。
また確定申告というのは、純粋な所得税の計算・納税だけでなく、住民税や国民健康保険料などの金額の根拠にもなります。確定申告をしなかったら、役所が当人の収入を把握できませんから、その分だけ割高なお金を取られてしまう可能性も出てくる訳です。
一方で確定申告をするデメリットといえば、「手間がかかる」程度といえます。面倒なことを避けられる点をメリットと考える方もいますが……なるべく確定申告しましょう。
所得税と住民税(国民健康保険料も)は、いずれも「計算根拠となる情報」が同じです。このため確定申告をすると、その情報が役所に届くようになっています。
逆に確定申告をしなかったら役所にも情報が届きませんから、これが理由で不利益になる可能性がある訳です。
なお、確定申告とは別に「住民税の申告」というのもあります。確定申告していれば不要ですが、何らかの理由で確定申告できないのなら、こちらだけでも申告しましょう。
今度は、無職者の確定申告の必要性についてお伝えします。あくまで、確定申告は「原則的にしたほうが得」なのは変わりません。しかし確定申告という税金のことは、多くの方が苦手意識を持っています。ちょっとくらい損しても、できればしたくないという方もいるでしょう。
やった方が得な状態なら、やるかどうかは個人の自由です。勝手に損する分には、国も関与しません。しかし、ただでさえ無職状態なら、普通はお金に困っていることが多いです。それに確定申告は毎年のことですから、小さな損が大きく膨らむ可能性も秘めています。
そればかりか、「確定申告しなければならない状態」なら、しないことで相応のペナルティを負うかもしれません。最低限、税務署に相談・確認してから確定申告の必要性を判断しましょう。
財政悪化の影響などを受け、最近では税金や保険料への監視・徴収が年々強化されています。「こんなちょっとで?」と思えるような少額でも、差し押さえの可能性も高まっている訳です。それに、今は老後資金として2000万円が必要とも言われていますよね。
今は少しずつでも損を減らし、得を積み上げなければならない時代です。勝手な判断は、無用な損ばかりか、最終的に破滅へと繋がっているかもしれません。ただでさえ無職なら、これ以上の損は控えるよう努めましょう。
なお、アルバイト程度に働いている方は以下記事も参考にどうぞ。
ここからは、実際の確定申告の方法についてお伝えします。そもそもですが、確定申告は「自分で自分の税金額を計算」する訳です。その上で、税金を納税する、または還付してもらいます。そして税金というのは、以下の流れが計算式です。
つまり、収入から経費を差し引いた利益に対して、一定の税率をかけて税額を計算し、過不足を精算します。そして利益以降は実質的に自動計算ですから、収入と経費の申告が重要です。元会社員の場合の具体的な申告内容と計算式は、基本的に以下のようになります。
計算結果がゼロ(マイナス)なら税金が不要なので、すでに源泉徴収されているなら税金を返してもらえます。ぜひ一度、自分の場合はどうなるのか計算してみましょう。
無職というのも様々ですが、仮に「一年間、本当に収入ゼロ」であっても、所得ゼロという点以外、基本的な計算のやり方は変わりません。ちなみにそのような場合でも、先ほどお伝えした住民税などの関係もありますから、一度は確定申告しておいたほうが無難です。
なお、無職の方の中には「失業給付」を受けている方もいるでしょうが、失業給付は課税対象になる収入ではないので、確定申告する必要はありません。ぜひ、早めに再就職を果たしましょう。
今度は、無職の方の確定申告書類の書き方についてお伝えします。まず、無職の方も様々ですが、ひとまず元会社員なら書類は「確定申告書A」を使うのが普通です。ちなみに書類は、国税庁サイトの「確定申告書等作成コーナー」を利用するのが簡単でしょうね。
そして、画面の指示に沿って源泉徴収票に記載の通り、まずは給与収入を入力します。次に「〇〇控除」の欄にて、(申告できる分だけ)税金計算上の経費を申告する流れです。なお、代表的な控除には、以下のものがあります。
上記のコーナーを使えば、利益以降は自動計算です。ここまでを、しっかり入力しましょう。
なお、国民健康保険料が気になる方は以下記事も参考にどうぞ。
税金計算は、収入を上回る経費があったとしても、マイナスにはなりません。ゼロで計算は終わり、納税の必要があるかどうかを判断します。このため収入が少ないほどに、それ以上の経費申告は不要なのですが、それでも初めて確定申告するなら全てを埋めましょう。
なぜなら、次に確定申告する時への練習になりますからね。特に経費は、どんなものがいくらくらいになるのかを知っておくことは重要です。ぜひ早めに、確定申告に慣れましょう。
今度は、確定申告で添付する必要書類についてお伝えします。確定申告では、収入も経費も架空のものを申告させないために、基本的に一定の証明書が必要です。無職の方でも必要になりがちな代表的な書類としては、以下が挙げられます。
ちなみに家族については、原則的に証明書の類は不要です。代わりに確定申告する時には、本人のマイナンバーカードが必要となります。
証明書の類が無いものについては認めてもらえない可能性がありますから、無くしてしまった場合は速やかに再発行をお願いしましょう。
初めて確定申告する方の中には、「自分はどの控除が申告できるのか分からない」という方もおられます。小難しい漢字が並んでいますからね……。
一概には言えませんが、一番分かりやすいのは「生命保険料控除(証明書)」かもしれません。加入していれば、保険会社から証明書も自動的に届きますからね。届いたなら控除として使えると判断できます。
先ほどお伝えした通り、初めてなら練習にはなりますが、収入を上回る経費は基本的に無意味です。そういう意味で、ある程度は柔軟に考えて確定申告に挑みましょう。
最後に、どうしても確定申告の書き方・やり方が分からない場合の対処法をお伝えします。初めて確定申告するのであれば、無職かどうかに関わらず、一つや二つ分からない部分も出てくるのが普通です。そんな場合は、以下のどちらかの方法で対処しましょう。
なお、確定申告の期間は毎年「2月16日~3月15日」と定められています。この間の税理士は大忙しなのが普通であり、逆に税務署は確定申告のための専用コーナーを設けていることも多いです。税務署なら無料でもありますから、こちらを利用することをおすすめします。
何度か触れましたが、確定申告しなければならない人が無視すると、以下のようなペナルティを負う可能性が出てきます。
無職でお金が厳しい場合、つい納税の可能性を考えて無視する人もいますが、かえって危険です。ちゃんと話せば税務署は相談に乗ってくれますし、むしろお金が返ってくる可能性も高いのですから、確定申告だけはしっかりしましょう。
無職の状態にもよりますが、元会社員なら確定申告で得をする可能性が高いです。住民税などが安くなる可能性も十分あります。デメリットは「手間がかかる」程度です。毎年、確定申告する可能性もある訳ですから、早めに慣れていきましょう。
なお、あなたが個人事業主になるのなら以下記事も参考にどうぞ。
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