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知らないと損!投資で確定申告が必要な場合と不要な場合の違いをFPが解説します

知らないと損!投資で確定申告が必要な場合と不要な場合の違いをFPが解説します

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大川 敦士

大川 敦士

おおかわ1級FP技能士事務所代表、日本FP協会認定CFP®、1級ファイナンシャルプランニング技能士

大学卒業後、大手証券会社にて株式や投資信託等の販売営業に従事。2016年に退職し、FP事務所を開業。現在は、老後資金対策や介護と仕事の両立等の個別相談を中心に活動中。

この記事のポイント

  • 確定申告とは未払い分の税金がある場合には追加の支払いを行い、過払い分の税金がある場合には還付金を受け取るための手続き。
  • 「源泉徴収あり」の特定口座の場合は確定申告が不要。
  • 「源泉徴収なし」の特定口座や一般口座の場合は原則、確定申告が必要。
  • 損失の繰越には確定申告が必要。
  • 複数の金融機関で取引している人は確定申告した方が良い場合もある。

医療費控除や住宅ローン控除等で確定申告を経験している人も多いのではないでしょうか。実は投資で利益が発生した場合も基本的には確定申告が必要になります。

ただし、例外的に手続きが不要になる場合もあり、それぞれの状況に応じて判断することが重要です。

また、万が一、確定申告が必要にもかかわらず申告を怠ってしまうと加算税や延滞税のペナルティが発生する可能性もあり、投資を行う上で確定申告に関する知識は必要不可欠と言えるでしょう。

そこで今回は、投資に関わる確定申告の基本的な内容について解説します。

 

確定申告の基礎知識

確定申告の基礎知識

確定申告とは、未払い分の税金がある場合には追加の支払いを行い、過払い分の税金がある場合には還付金を受け取るための手続きです。

確定申告を行うことで税金が少なくなることもあり、上手に利用すれば効果的に節税することもできます。

まずは、確定申告の基本的な内容を紹介します。

確定申告を行ったことがある人にとっては当たり前の内容かもしれませんが、重要な内容ばかりなのでこの機会に再確認しておきましょう。

 

対象期間

確定申告の対象となる期間は、前年の1月1日〜12月31日までです。

 

手続きできる場所と期間

原則として、住民票のある自治体の税務署で行うことになっています。

また、e-Taxを利用して申告することもできます。

申告期間は基本的に2月16日から3月15日となっていますが、2018年分の場合は2019年の2月18日(月)から3月15日(金)までです

期日直前は混み合うこともあり、できるだけ早めに申告すると良いでしょう。

 

確定申告が必要にも関わらず怠るとペナルティが発生する?

確定申告が必要にもかかわらず怠ってしまうと、加算税や延滞税のペナルティが発生する可能性があります

ただし、自主的に申告すればペナルティが軽減される場合もあり、申告漏れが発覚した場合はできるだけ早く税務署に問い合わせることが重要です。

ペナルティの具体的な内容としては、決められた期日までに確定申告を行わずに税務署から指摘を受けた場合には無申告加算税が加算されます。

さらに、納めるべき期日を超えた分の利息として延滞税が加算されます。

 

投資で確定申告が不要な場合

投資で確定申告が不要な場合

ここからは、投資において確定申告が不要な場合を紹介します。これから投資を始める人には、聞き慣れない用語が多いですが、重要度の高い内容なのでできるだけ正しく理解しておきましょう。

 

①「特定口座」の「源泉徴収あり」で取引した場合

株式や投資信託を購入するためには金融機関の口座が必要ですが、実はこの口座には一般口座と特定口座があります

さらに、特定口座には「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2つがあり、「源泉徴収あり」の特定口座を利用した場合は、金融機関が税金の計算・納税を代行してくれるので確定申告が不要になります。

 

②年間の給与所得が2,000万円以下で投資等の利益が20万円以下の場合

1年間の給与所得が2,000万円以下で給与以外の所得が20万円以下だった場合は、確定申告が不要になります。

給与以外の所得が対象なので、投資が20万円以下でも副業等の収入を合算すると20万を超える場合には注意が必要です。

 

③NISA口座で取引した場合

NISA口座の利益は制度上のメリットで非課税となっているので、利益が発生しても確定申告は不要です。

 

④損益が確定していない場合

損益が確定するまでは確定申告は不要です。

例えば、100万円で購入した株式が120万円になっていても売却して利益を確定するまでは確定申告は不要です。

 

投資で確定申告が必要な場合

投資で確定申告が必要な場合

次に、投資において確定申告が必要な場合を紹介します。ここでは最低限知っておきたい内容をピックアップして紹介します。

結論からお伝えすると以下2点の場合、確定申告が必要です。

  1. 特定口座の源泉徴収なしを利用している
  2. 一般口座を利用している

 

 

①「特定口座」の「源泉徴収なし」で利益が出た場合

「源泉徴収あり」の特定口座の場合とは異なり、「源泉徴収なし」の特定口座の場合は確定申告が必要です。

「源泉徴収なし」の特定口座の場合には、金融機関から「年間取引報告書」が郵送されるので、それを使って確定申告することになります。

具体的には、年間損益がプラスの場合は税金を支払い、マイナスの場合は株式の配当金や投資信託の分配金等と損益通算して税金の還付を受けます。

 

②「一般口座」で利益が出た場合

一般口座で取引したものは確定申告をする必要があります。

多くの場合、株式や投資信託の取引は特定口座を利用しますが、例外的に一般口座で取引している場合には注意が必要です。

また、FX投資等は一般口座での取引となっているので確定申告が必要となります。

具体的な手続きについては、一般口座の場合には特定口座のように年間報告書は送られてこないので、自分自身で損益を計算する必要があります。

取引履歴の詳細については、ホームページの取引履歴や取引の都度送られてくる売買報告書で確認すると良いでしょう。

ただし、取引数が多くなると手続きも煩雑になるため、投資初心者や忙しい人はできるだけ特定口座を利用した方が良いでしょう。

 

確定申告した方が良い場合

確定申告した方が良い場合

次に、確定申告した方が良い場合を紹介します。知らないと損する場合もあるのでしっかりと確認しておきましょう。

 

①損失を翌年以降に繰り越す場合

投資で損失が発生してしまった場合は確定申告の必要はありませんが、確定申告することで損失を翌年以降3年間繰り越すことができます。

損失を繰り越せば、翌年以降に利益が発生した時に損益通算することができ、税金を抑えることができるため長期的な投資を考えている人には非常に有効な制度と言えるでしょう。

例えば、100万円で購入した株式を50万円で売却した場合、この時点では50万円の損失が確定しますが、翌年に株式投資等で30万円の利益が発生すれば前年の50万円と損益通算できるため税金はかかりません。

さらに残りの20万円分を翌年に繰り越すこともでき、税制面で非常に優れた制度です。

ただし、損失の繰り越しは毎年手続きが必要になる点には注意が必要です。

 

②複数の金融機関の「源泉徴収あり」の特定口座で取引している場合

複数の金融機関に「源泉徴収あり」の特定口座がある場合で、「利益の発生した口座」と「損失が発生した口座」がある場合は確定申告することでそれぞれの利益と損失を合算することができます。

例えば、A社で50万円の利益・B社で30万円の損失があった場合、本来であれば差額の20万円に対して課税されるべきです。しかし、実際にはA社の特定口座では50万円に対して課税されます。

A社にはB社で発生した30万円の損失が通知されないためです。

そこで、確定申告することでA社とB社の損益を合算して正しい税金を計算することができます。

つまり、この場合であればA社の特定口座で支払っていた税金の一部が還付されます。

 

投資と確定申告に関するまとめ:これから投資する人は「源泉徴収あり」の特定口座がベター

金融機関の口座には一般口座と特定口座があり、特定口座には「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」があります。

これから投資を始める人は、特段の事情がない限り、「源泉徴収あり」の特定口座を選択すると良いでしょう

「源泉徴収あり」の特定口座であれば、金融機関が税金の計算・納税を代行してくれるため、非常に便利です。

ただし、年間損益がマイナスになる場合や複数の金融機関で取引する場合等は確定申告を行った方が良い場合もあります。

確定申告の必要性について、判断に迷う場合は取引先の金融機関や税務署に確認すると良いでしょう。

また、知らず知らずの間にペナルティの対象になってしまうことがないよう細心の注意を払うようにしましょう。

 

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