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収益物件を購入して家賃収入を得ることを不動産投資と言いますが、そもそも収益物件とはどのような物件のことを意味しているかご存知でしょうか。
数ある不動産の中でも収益物件に該当する物件には、他の不動産とは違ったメリット、デメリットがあります。
そこで本記事では、不動産投資を始める前に知っておくべき収益物件の基本知識について解説します。
一般的に収益物件というと、アパート、マンション、ビルなどの賃貸物件というイメージがありますが、正確にいうと収益を生み出す不動産のことを収益物件といいます。
収益とは基本的に家賃収入を意味しており、不動産を他人に賃貸することで家賃収入が得られる不動産のことを収益物件といい、収益物件に投資することを不動産投資というのです。
不動産の中には一戸建てなどのマイホームも含まれますが、自己使用を目的として建てられている不動産については収益を生み出さないため収益物件とはいいません。
ただし、一戸建て全てが収益物件ではないということではありません。
例えば、一戸建てマイホームを購入して自分で住んでいたところ、転勤命令が出て住めなくなったためローンを組んでいる金融機関に許可を得て他人に賃貸することがありますが、この場合一戸建てであっても家賃収入が発生するため収益物件になります。
収益物件とは原則的には収益を目的として建てられたアパートやマンションを意味していますが、自己使用目的で建てた不動産だとしても、借り手がついて収益を生み出せるのであれば収益物件に該当するのです。
つまり、収益物件とは物件そのものの特徴だけによってカテゴライズされるものではなく、不動産を運用する人のやり方や工夫次第で収益物件になるのです。
不動産投資で収益物件を所有することには、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
先日金融庁が発表した報告書で、老後の生活資金としておよそ2,000万円が不足すると記載されていたこともあり、年金だけでは満足な生活が送れない可能性が浮き彫りとなりました。
そもそも、金融庁がこのような報告書を発表した目的は、兼ねてから不安視されていた年金問題をぶり返したかったわけではなく、貯蓄を美徳とする日本人に対してもっと金融リテラシーを高めて投資マインドを持つよう促すことだったのです。
不動産投資によって収益物件を所有すれば、毎月家賃収入という定収入を確保することができます。
当初はアパートローンを組んで購入するため家賃収入の多くはローンの返済に充てることになりますが、老後に近づいた頃にローンが完済すればあとは家賃収入だけが手元に残るため、不足する老後の生活資金の十分な補填として活用できるのです。
株式投資やFXも投資として一定の人気がありますが、安定的に収益を出し続けるためにはそれなりのノウハウや知識が必要です。
プロの株式トレーダーと言われる人たちは、日夜さまざまな情報を大量に収集し数分単位の値動きを見逃さないよう目を光らせており、一般人が気軽に入り込める世界ではありません。
証券会社に口座を開設するだけで株式投資すること自体は可能ですが、初心者がする株式投資は投資というよりも実際はギャンブル性の方が強いのです。
一方で不動産投資については、投資する物件選定については熟慮が必要ですが、収益物件を購入した後の賃貸経営については管理会社に委託できるため実務的なノウハウはほとんど必要ありません。
利回りとは年間収入に対する投資額のことで、不動産投資でいうと年間家賃収入に対する収益物件の購入価格になります。
物件の収益性を判断する上で重要な指標となる利回りですが、不動産投資においては利回りが他の投資に比べて安定しやすいというメリットがあるのです。
家賃については短期的に大きく値下がりすることはほとんどないため、長期的に安定した収益を生み出してくれます。
ところが株式投資やFXについては、日々価格が変動しており激しく乱高下することも日常的なので、長期的に安定した利回りを維持し続けることは熟練の投資家でも至難の技です。
そのため、株式投資やFXはプロと初心者の力の差が結果に大きく出てしまうのですが、不動産投資についてはそこまで結果に差がつかないので、投資初心者の方についてはできるだけ不動産投資から始めた方が有利と言えます。
収益物件を所有すると大きなメリットがあることがお分かりいただけたかと思います。
ただし、投資である以上はメリットばかりではありません。
収益物件を所有するにあたっては、最低限次のようなデメリットがあることも知っておくことが重要です。
収益物件を購入した後の賃貸経営については管理会社に委託できるため、投資家自身にノウハウはほとんど必要ありません。
ただし、いくら管理会社が優秀だとしても次の2つのリスクについてだけは、常に消えないためその都度対策が必要になります。
収益物件は常に満室とは限りません。
むしろ一棟20戸のアパートだとすると、最近では1割程度が空室でも不思議ではないのです。
収益物件で空室が発生すると、その間はその部屋からの収入はゼロになるため収益が一気に落ち込むことになります。
一棟アパートであれば空室が発生したとしても、他の部屋の家賃でどうにか補填して経営していくことができますが、マンションの一室に投資する区分マンション投資の場合は空室が発生すると収益が一気にゼロになってしまいます。
すぐに次の入居者が決まればよいのですが、立地や築年数によっては数ヶ月空室になることもあるため、その間の収益の落ち込みが大きなリスクとなります。
不動産投資において投資家にとって一番の悩みの種となるのが家賃滞納です。
賃貸経営におけるほとんどの業務は管理会社に委託できますが、家賃滞納が発生した際の督促については原則として委託ができず、投資家自身で対応しなければなりません。
管理会社の中には督促を委託業務に含めているケースもありますが、本格的に督促して家賃を回収するとなると債権回収業務にあたり弁護士法に抵触する恐れがあるため、基本的には当事者である投資家自身で賃借人から回収する必要があります。
家賃滞納は1ヶ月分程度であれば電話で督促するだけでも入金になる可能性がありますが、3ヶ月以上滞納が続くと自力での回収はほぼ不可能になってきます。
諦めて退去してもらおうとしても、本人自ら退去してくれないと建物明渡請求訴訟による裁判手続きを経なければならず、かなりの労力とコストを奪われることになるのです。
不動産投資が他の投資と大きく違うのは、不動産という物的資産に投資するということです。
物的資産を保有するということはメリットでもある一方で、収益物件の場合は災害リスクという大きなリスクを負うことになります。
東日本大震災をきっかけに日本の地震におけるリスクを考えた人は多いのではないでしょうか。
日本の新耐震基準では震度6強〜7程度の地震で倒壊、崩壊しない構造となっていますが、他人に賃貸できないほどに損傷する可能性は十分に考えられます。
万が一大地震が収益物件に直撃した場合でも、残りのローン返済は続くことになるため、他人に貸せない状況に陥ってしまうと家賃収入が得られず返済が難しくなる可能性があるのです。
最近は地震保険に加入する不動産投資家の方が増えていますが、地震保険で保証されるのは火災保険の補償額の30~50%が上限になるため、損害の全額を保険で補填することはほぼ不可能といえます。
最近被害が増えているのが集中豪雨や台風による水害リスクです。
収益物件が多い都市部については土砂災害などのリスクはあまりありませんが、平坦な場所については水害の被害が多く見られます。
2019年の台風19号でも多くの収益物件が床上浸水の被害に見舞われ、復旧に多くの費用がかかることとなりました。
また、2階以上の部屋についても室内の浸水被害はなかったものの、1階部分の機械室が浸水したことによってエレベータが停止したり、給水ポンプが停止して水が出なくなったりといった被害が発生し、入居者に家賃を返金する事態に発展したマンションもあります。
地震や水害などのリスクをできる限り回避するためには、収益物件の選び方として次のポイントについて確認することが重要です。
耐震基準には旧耐震基準と新耐震基準があり、1981年6月1日以降に建築確認を受けた建物については新耐震基準で確認されているため地震によるリスクが非常に低くなります。
建築基準法が改正になる前の旧耐震基準で建てられた収益物件については、耐震改修工事をしていない限りあまり投資しないほうがよいでしょう。
自然災害リスクは防ぎようのない部分がありますので、できるだけ浸水リスクの低い立地を見極めることが重要になってきます。
そこで自治体の作成しているハザードマップなどを確認することで、浸水リスクの低い立地の物件を選ぶとよいでしょう。
今回は、不動産投資を始める前に知っておくべき収益物件の特徴やポイントについて解説してきました。
収益物件を保有するということは、老後の生活資金に不安がある日本において非常に大きなメリットがありますが、一方で地震や水害といったリスクがあることも忘れてはいけません。
メリットとデメリットを理解した上で物件探しをすることが、何よりのリスクヘッジとなるでしょう。