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ワンルームの不動産投資はリスクが高い?失敗する前に知っておきたいこと

ワンルームの不動産投資はリスクが高い?失敗する前に知っておきたいこと

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棚田 健大郎

棚田 健大郎

行政書士、国土交通大臣指定 マンション管理士、ファイナンシャルプランナー

大手人材派遣会社に正社員として入社。 主要取引先であったJASDAQ上場(当時)の株式会社エイブルへ出向。 その後ヘッドハンティングされ、完全に移籍。およそ3,000人の社員の中で、トップセールスを記録するなどして活躍。 その後管理職として複数年勤務後、独立。 行政書士、マンション管理士、ファイナンシャルプランナーなどの資格を取得し、棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

この記事のポイント

  • ワンルーム投資は一棟ものの不動産投資に比べると、価格が手頃でサラリーマンでも購入しやすく「分散投資」でリスク回避にもなる。
  • 「家賃滞納リスク」や「ランニングコストの値上がりリスク」については、事前に知っていればリスクヘッジが可能。
  • ローンを組む際にはキャッシュフローのシミュレーションが必須。借りられるだけ借りると返済が苦しくなるので注意。

この記事は約7分で読めます。

東京都心の不動産価格が値上がりを見せる中、比較的手頃に購入できるワンルーム投資がサラリーマンを中心に人気を集めています。初心者でも安心して始められると言われていますが、ネットなどを見るとワンルーム投資で失敗したという話も少なくありません。

そこで本記事では、これからワンルーム投資をやってみたいという方が成功できるよう、事前に知っておくべきメリット、デメリット、具体的な失敗事例や回避すべきリスクなどについて詳しく解説します。

なお、不動産投資の仕組みが気になる方はこちらをご覧ください。

 

 

ワンルーム投資することのメリットとは

そもそもワンルーム投資とは、不動産投資の中でもアパートやマンションを一棟丸ごと建てたり買ったりするのではなく、部屋ごとに区分された分譲マンションの一室に投資することをいいます。

ワンルーム投資することのメリットとは 図

一部屋分だけ購入するため、一棟に投資するよりも価格が非常に手頃なので地価が高騰している東京都心でも、サラリーマンがローンを組んで投資することができるのです。では、ワンルーム投資にはどんなメリットがあるのでしょうか。

 

リスク分散ができて賃貸経営が安定する

一棟10戸のアパートを建てた場合、一気に不動産投資の規模を拡大できる反面一箇所に投資物件が集中してしまうため、万が一地震や豪雨、火災などが発生すると立て直せないくらいの大打撃を受けるリスクを負うことになります。

ワンルーム投資の場合は、一部屋ごとに投資ができるので複数の地域の物件を購入することでリスク分散することが可能です。

不動産投資は災害リスクに限らず、賃貸需要の変化によって賃貸経営が大きな影響を受けるので、できるだけ分散投資する方があらゆるリスク回避につながります。

 

サラリーマンにとって節税効果が高い

サラリーマンにワンルーム投資が人気なのは、節税効果が高いことにあります。

サラリーマンのように給与所得がある人については、ワンルーム投資をすることで所得を引き下げることができるので、家賃収入という利益だけでなく所得税や住民税の節税という大きなメリットが受けられるのです。

 

不動産所得は給与所得と損益通算が可能

ワンルーム投資によって発生する家賃収入については税務上不動産所得に区分されます。不動産所得で生じた赤字については、サラリーマンの給与所得にぶつけて相殺することができるため、所得に応じて課税される所得税や住民税が節税できるのです。

具体的に言うと、サラリーマンは会社から源泉徴収されて年末に年末調整をしますが、ワンルーム投資をすると翌年の2月中旬から3月中旬までの間に、不動産所得などの確定申告をする必要があります。

不動産所得を赤字で申告すると、すでに源泉徴収されていた所得税が所得に応じて還付されるのです。

 

なぜ不動産所得が赤字なのか

ワンルーム投資をすると、建物部分の価格については減価償却費という経費として計上することができます。

不動産所得は減価償却費によって赤字になることが多いため、その赤字を使ってサラリーマンの給与所得の還付を狙うのがワンルーム投資による節税の醍醐味と言えます。

減価償却費を計上しても実際にキャッシュアウトしているわけではないため、キャッシュフロー上は黒字でお金自体は貯まっていくのです。

実際に計算をしてみると、所得税と住民税の節税効果は所得が多い人ほど効果が大きくなります。ただし、不動産投資の節税効果はあくまで一つのメリットに過ぎません。

不動産投資に失敗する人の中には、節税自体を目的にしてしまっているケースが多いのですが、節税が目的になってしまうと収益性を見失ってしまいキャッシュが手元に残らなくなってしまうので、節税そのものを目的にしないよう注意しましょう。

 

比較的利回りが安定している

一棟もののアパートやマンションとは違い、分譲マンションについては大手ゼネコンが企画して建設するため収益が上がりやすい駅前周辺など立地の良い物件が多く、また導入される設備についても最新式のものが揃っていることが多いため、賃貸物件として見た場合非常にクオリティが高いのです。

不動産投資で懸念されるのが空室リスクですが、分譲マンションのワンルームは一棟ものの物件に比べ見栄えや設備がワンランク上なので、一定の賃貸需要があり空室が生じにくく利回りが安定しやすいと言われています。

 

利回りは高ければ良いわけではない

不動産投資というと利回りの高さが何よりも重要だと考える初心者の方が多いのですが、実際は利回りの高さよりも安定性の方が成功するためには重要です。

例えば物件検索サイトで高利回りの物件を探していると、郊外の古いアパートなどが利回り10%以上で売りに出ているのをよく見かけると思います。都内のワンルーム投資の場合、利回りは4~6%程度ですから10%というと非常に高利回りです。

ただ、賃貸物件というのは常に満室経営ができるわけではありません。昔に比べ、敷金や礼金をゼロで募集する「ゼロゼロ」物件などが増えたこともあり、一人当たりの入居期間が以前よりも短くなってきています。

特にワンルームについては、2年後の更新を待たずして住み替えする人も多いため、常に空室リスクと隣り合わせと言っても過言ではありません。募集時に謳われている利回りはあくまで想定利回りであり、空室は加味されていないのです。

利回りは高ければ良いわけではない

郊外の古いアパートは満室であれば一定の利回りを維持できますが、一旦空室になるとなかなか次の入居者が決まらず、空室期間が長引いたり家賃を大幅に値下げしたりする必要性が出てくるので、予定していた利回りは維持できなくなります。

ワンルーム投資については常にある程度の需要があることが多いので、空室になったとしてもすぐに次の入居者が決まって利回りを安定して維持できるのです。

 

ワンルーム投資に潜むデメリットとは

ワンルーム投資に潜むデメリットとは

非常にメリットの大きい印象のワンルーム投資ですが、実はわかりにくいところに幾つかのデメリットが潜んでいます。

不動産会社の営業マンの多くは、ワンルーム投資のメリットは教えてくれてもデメリットについてはあまり積極的には教えてくれないケースが多いので、本記事を読んでぜひ参考にしてください。

 

 

初心者投資家を悩ませる家賃滞納リスク

初心者の方がワンルーム投資を始めてから直面しやすいリスクが家賃滞納リスクです。通常、家賃については賃貸借契約書上の約定日までに賃借人が自ら振り込んでくるはずなのですが、時には期限になっても入金がされないことがあります。

家賃滞納が発生したら、基本的には不動産投資家自身で賃借人に連絡をして督促をしなければならず、すべてを管理会社に丸投げすることはできません。

 

管理会社は滞納家賃の回収ができない

不動産投資初心者の方に家賃滞納リスクについて話をすると、「管理会社に委託するから大丈夫」と言われることがあるのですが、実は滞納家賃は管理会社では回収することができません。

そもそも家賃督促は「債権回収」の一種なので、基本的に弁護士の業務になります。親切な管理会社ですと、賃借人に電話の一本くらいは入れてくれますが、実際に回収までやることは弁護士法によって禁止されているのです。

よって、最終的には不動産投資家自身で解決しなければなりません。家賃とはいえ他人に督促した経験がない方がほとんどなので、実際に家賃滞納に直面した時に困ってしまう方が多いです。

ワンルーム投資を始めたばかりの頃はまだ戸数も少ないので、一部屋家賃滞納が発生するだけでもキャッシュフローが急激に悪化するため死活問題になります。

 

ランニングコストが値上がりするデメリット

ワンルーム投資のデメリットで一般にあまり知られていないのがランニングコストの値上がりによるデメリットです。

分譲マンションについては建物全体を維持していくために、毎月修繕積立金を各部屋の所有者から徴収して積み立てています。ところが、修繕積立金は購入時の金額から値上がりしていく傾向があることに注意が必要です。

 

修繕積立金はなぜ値上がりするのか

修繕積立金はワンルーム投資におけるランニングコストになるので、値上がりするということはすなわち利回りが悪くなることを意味しています。

そもそも修繕積立金は新築時に物件を売りやすくするために、物件を分譲したゼネコンが国の目安としている金額よりもかなり低く設定をしているのです。

 

国土交通省が目安として公表している修繕積立金の金額

国土交通省が目安として公表している修繕積立金の金額

このように最低でも㎡単価で135円位のはずが、新築のワンルームマンションの中には100円未満で設定されていることもよくあります。

例えば20㎡前後のワンルームの場合、新築時には1,000円/月くらいの非常に低い設定金額になっており、それが徐々に購入後に値上がりしていき最終的には10倍くらいにまで値上がりすることも珍しくありません。

 

修繕積立金が値上がりすると売値が下がる

修繕積立金が値上がりすると利回りが悪くなるのはもちろんのこと、それ以上に深刻なのが売値の値下がりです。将来的に物件を売却しようとした場合に、修繕積立金が高いと買主側に与える印象が悪くなり売値自体が値下がりします。

ワンルームの場合、修繕積立金が1,000円値上がりすると売値が50万円前後値下がりすると言われているため、修繕積立金の値上がりは非常に大きなデメリットです。

 

ワンルーム投資のよくある失敗事例

ワンルーム投資のよくある失敗事例

ワンルーム投資のデメリットを理解した上で成功するためには、実際の失敗事例を知ることがとても大切です。ここでは、よくあるワンルームの失敗事例について御紹介します。

 

 

無理してフルローンを組んで失敗するケース

不動産投資をしてみたいと考えた際に、最もネックになるのが自己資金です。

ある程度の貯蓄のある人であればよいのですが、一般的なサラリーマンの場合そこまで投資にまわせる自己資金がないケースが多いため、物件価格の100%のフルローンを組むケースがあります。

通常は物件価格の1割程度を頭金として出すところを頭金なしのフルローンで組むことになるため、その分ローン金額が大きくなり毎月の返済額、返済利息ともに多くなってしまいます。

つまり、同じ物件を買う場合でも頭金があるかないかで購入後にかかる返済負担が大きく変わってくるのです。

 

ローンを借りられるだけ借りると失敗する

初心者投資家の方は物件を買うことにばかり意識がいくことが多く、ローンを組んだ後の返済額や金利などについてはあまり細かく確認しないことがあります。

そのため、金融機関の審査が通ればどんどん借りてしまうため、後で返済が苦しくなって最悪の場合自己破産になってしまうことがあるのです。

融資の審査が通ると、まるで金融機関から投資にお墨付きをもらったような錯覚をしがちですが、実際はそうではなく金融機関は物件自体の担保評価も含めて審査結果を出しているに過ぎないのです。

すなわち、返済できなくなったら物件を競売にかけて回収できそうな金額まで審査を通しているだけなので、その投資が成功するかどうかはそこまで関係ありません。

無理なく返済していけるのかどうかは、あくまで不動産投資家自身でシミュレーションしておく必要があることをよく覚えておきましょう。

 

リスクを回避して成功するためにすべきこととは

リスクを回避して成功するためにすべきこととは

不動産投資には多くのメリットがある一方で、今回ご紹介したように致命的なデメリットもあります。ただ、だからと言ってワンルーム投資はやめたほうがいいということではありません。

実際、今の日本は銀行にお金を預けておいても増えるわけではないので、投資で運用していくという意識はとても良いことです。

不動産投資は株式投資やFXとは違い、比較的相場が安定しているため、購入する物件さえ判断を間違えなければ初心者でも概ね成功しやすいと言われています。

 

ワンルームの不動産投資に関するまとめ

ワンルーム投資のデメリットについては放置すると致命的なダメージを受けますが、事前に認識した上で適切な対策をとることができれば、ほとんどのリスクについては回避もしくは軽減することが可能です。

例えば家賃滞納リスクについても、事前に滞納した際の適切な督促方法を知っていればそこまで大きなリスクにはなりませんし、修繕積立金の値上がりリスクについても、あらかじめ織り込み済みで購入価格を検討すればよいのです。

不動産投資で失敗する人の多くは、こういった重要なことを「知らずに」不動産投資を始めたことが主な原因と言えます。

これからワンルーム投資を始めようと考えている方は、まずメリットよりもデメリットをよく認識した上で、どのような方法でリスクヘッジができるのかについてよく検討してから購入しましょう。

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