- 引越しをする際は住民票の移動は必要です。
- 単身赴任の場合はメリット・デメリットや転勤のスパンなど考えておく事も重要。
- 引越しに伴う煩雑な手続きは特にありません。
公開日:2019年12月17日
転職や転勤、結婚などで引越した場合の住民税はどうなるのか?という疑問にお答えする今回の記事。先々引越す可能性のある方は是非ご一読下さい。
始めに住民税について解説しておきます。住民税の納税は6月からスタートして翌年5月までとなり、1年かけて納める事になります。この納税方法はサラリーマンやパート、アルバイトの方々に適用される特別徴収と呼ばれる方法です。
毎月のお給料から天引きされる事で住民税の支払い忘れが無いので特別意識する事が無いかもしれません。
個人事業主の方は普通徴収と呼ばれる方法で納める事になり、6月には納付書という振込書が自宅に届きます。納付書は6月、8月、10月、1月の4回に分かれており、4分割で支払うか、一括で全額納める事も可能です。
サラリーマンであっても個人事業主であっても納めるタイミングは同じという事になります。
住民税は昨年の所得を元に計算される事になります。イメージ図をご覧ください。
上記の図の様に今年1年間で稼いだお給料から様々な控除を差し引き、課税所得を計算し納税額が決まる事になります。
ではこの金額をいつ納めるのかというと、翌年の6月から納める事になります。支払いは収入があった翌年まで発生すると憶えておくと良いでしょう。
住民税の支払い対象者は一定以上の収入があった方が対象となり、納めるその年の1月1日時点で住民票が置いてある自治体に納税をする事になります。
また住民税は都道府県民税と市区町村民税に分かれている為、お住いの都道府県と市区町村に対して納めなければなりません。今回は引越した場合に関する解説ですので、いくつかケースを出して解説していきましょう。
では下記の条件で他県や隣町等に引越したパターンを図解で解説していきます。
この場合では1月1日時点でA県B市という自治体に住民票を置いてある為、隣のC市に引越したとしても6月からの納税はA県B市に納める事になります。
この場合他県のD県に移るとします。すると1月1日時点ではD県F市に住民票を置く事になりますので県民税はD県、市民税はF市に納める事になります。
頻繁に引越すケースは想定していませんが、上記の様に1月1日を基準に考えればどこに納めるのかは分かりやすいので、困る事はさほど無いでしょう。
ここからは引越しをした際の住民税に関する手続きについて解説していきます。
転勤や転職等引越しに関する事由は様々ありますが、必ずやらなければならない事は、お住いの自治体から引越す際は転出届を出し、新しい入居先の自治体に転入届を出さなければなりません。
この手続きが完了していなければ、あらゆる書類や手続きは前住所の自治体で行わなければならなくなりますので、必ずやっておきましょう。
この転入届を出せば前住所の自治体と連携を取る事が可能になり、住民税などのデータを引き継ぐ事が完了します。会社員の方であれば勤務先はそのまま、住所のみ変更になりますので、会社に対して住所が変わった旨伝え、役所への転入、転出届を出します。
少なくとも、役所への書類を提出しない事には始まりませんので忘れる事が無いようにしておきましょう。
個人事業をやってらっしゃる方も会社員と同じく住民票を移す為の転出、転入届では必須になります。もちろん県内での移動であっても必要になりますので、住民票を移す事はしっかりやっておきましょう。
でなければ、納付書が届きませんし、届かなければ場合によって悪質と見なされ、大変なことになります。
会社員の方には単身赴任で引越す方もいらっしゃるかと思います。この場合の住民税はどう手続きをするのかを解説します。
単身赴任で本来の住居を空け、週末等に返ってくる方もいるでしょう。この場合住民税に関して言えば、住民票のある自治体に納税する事になりますので、住民票を移すか移さないかという判断になります。
厳密に言うと住民票は主だった生活の拠点に置くことが法律では定められています。しかし、また転勤になるかもしれないと考えるのであれば、移さずに元の自治体で納税する事も可能ではあります。
では住民票を移した場合のメリット・デメリットから解説します。
これは住民税に限った話になりますが、住民税には所得割と均等割という2種類の課税があります。
所得割は前年度の所得に応じて課税されますので、住所が変わったとしても所得に変わりは殆ど無いと思われますので、大きな変更は無いでしょう。しかし、均等割に関しては一律で課税され、自治体によっては金額の開きもあります。
例えば均等割が最も高い地域(以下①)は宮城県全域、神奈川県横浜市が6,200円の均等割額となっており、最も低い地域(以下②)は北海道、青森、埼玉、千葉、東京、新潟、福井、徳島、香川、沖縄の5,000円となります。
つまり、①以外の地域から①へ転入する場合は均等割額が上がり、①から②へ移る場合または①以外に移る場合は均等割が下がるという事になります。
住民票を移した場合、契約している会社へ住所変更の手続きなどを行わなければなりません。例えば生命保険やクレジットカード等重要な書類が届く様にしておきたい方は移す事は必須になるでしょう。
また、お子様がいらっしゃるご家庭では児童手当などの申請も行わなければなりません。これは引越したからと言って自動ではありませんので、注意が必要です。以上の様に移す事で手間というデメリットが生じる場合もありますね。
次に移さない場合のメリット・デメリットについて解説しておきます。
例えば運転免許証の更新が身近ではないでしょうか。運転免許証は今は身分証明としては必須になりますが、かなり離れた他県へ単身赴任した場合を想定すると、免許更新が受けられない場合もあります。
優良運転者であれば、他県での更新が認められていますが、そうでない方は、住民票の置いてある所轄自治体での更新になりますので、多忙な方は帰省する事がデメリットになるでしょう。
上記のメリット・デメリットをご覧になって皆さんがどうお感じになったかという事ですが、私が思っている事を書きます。引越すと均等割額が上がるか下がるかという点について、年額最大1,200円の差になりますよね。
しかし、所得割に関しては差は殆ど出る事はありません。余程役職が付いて、大幅な給料アップであれば一時的に所得割は高くなりますが、その額も続く事になります。
結果住民税に関しては、引越しても、引越さなくても、また住民票を移しても、移さなくても金額に大差はありませんので、その他のメリット・デメリットをしっかりと考える必要はあると思います。
ご家族全員で移る場合を除き、単身赴任での転勤のスパンが3〜4年の方等はひょっとすると移しておいた方が免許更新などし易いでしょう。
今回は引越しに伴う住民税に関する解説でした。会社員の方でも個人事業主の方でも基本的には住民票を移すか移さないかという点だけです。
特に会社員の方は転勤が付きまとう職種でもありますので、メリット・デメリットを自分の生活に照らし合わせて考えて頂ければと思います。