マネタス

個人事業主向けの助成金はある?3つの補助金制度&条件をFPが解説

個人事業主向けの助成金はある?3つの補助金制度&条件をFPが解説

カテゴリー:

著者名

棚田 健大郎

棚田 健大郎

行政書士、国土交通大臣指定 マンション管理士、ファイナンシャルプランナー

大手人材派遣会社に正社員として入社。 主要取引先であったJASDAQ上場(当時)の株式会社エイブルへ出向。 その後ヘッドハンティングされ、完全に移籍。およそ3,000人の社員の中で、トップセールスを記録するなどして活躍。 その後管理職として複数年勤務後、独立。 行政書士、マンション管理士、ファイナンシャルプランナーなどの資格を取得し、棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

この記事のポイント

  • 個人事業主でも利用できる補助金や助成金制度は複数あるのでぜひ活用すべき。
  • 補助金や助成金は返済が不要なので、個人事業主にとって優良な資金調達方法になる。
  • 補助金や助成金を利用すると必ず結果報告が求められる。

この記事は約7分で読めます。

個人事業主として事業を始めるにあたり、一つの課題となるのが事業資金の調達です。企業であれば銀行融資を利用したり、株式を発行して資金調達したりすることが可能ですが、個人事業主となるとなかなかそうはいきません。

そこで今回は、資金調達を検討している個人事業主の方向けに利用できる補助金や助成金制度の種類について解説したいと思います。

 

補助金を活用するメリット

補助金を活用するメリット

補助金というと中小企業の法人が対象というイメージがあるかもしれませんが、要件をよく見ていくと意外と個人事業主が利用できるものもあります。

個人事業主は株式を発行することができないので、最初のうちは特に資金調達に苦労するでしょう。そんな時に補助金がもらえたら、スムーズに事業を開始できます。

 

補助金は新規、独立開業資金になる

補助金の一番のメリットは、何と言っても返済が不要という点でしょう。銀行融資を受けると当然返済していかなければなりませんが、補助金については返済が不要なのでもらった分だけ事業活動を有利に進められます。

特に営業が開始していない独立開業当初については、当面の運転資金として非常に重宝すること間違いないでしょう。リスクを負わずに資金調達できるところが、補助金最大の魅力といえるでしょう。

 

補助金と助成金の違い

補助金制度について調べていくと、同じような内容で助成金というものが出てくることがあります。

補助金と助成金、どちらも返還不要の資金を出してくれるという意味では同じですが、助成金は要件を満たしていれば原則として支給されるのに対し、補助金については事前に予算が決まっているため、予算を使い果たした場合は条件に該当していても支給を受けられません。

 

補助金の種類と条件

補助金の種類と条件

個人事業主が利用できる補助金や助成金には様々なものがあり、種類によって条件も異なります。また、補助金制度は時限的なものも多いので、利用できるものが毎年同じとは限りません。ここでは、よくある補助金制度の種類と条件について比較してみました。

 

 

創業事業承継補助金

事業を創業する際に利用できる補助金制度で、毎年一定の予算の枠内で複数の経営者に支給されています。具体的な金額は以下の通りです。

  • 外部資金調達がない場合:50万円以上100万円以内
  • 外部資金調達がある場合:50万円以上200万円以内

募集要項には中小企業者と記載されていますが、これに個人事業主も含まれています。

創業事業承継補助金

 

従業員数の条件

補助金の中には支給条件に従業員数が関係していることがよくあります。これは補助金や助成金制度が、比較的小規模零細企業や事業者を対象としていることから、雇用している従業員数が一定以下であることを支給条件とするケースが多いからです。

従業員数の条件は業種によって基準が違うことが多く、一般的には製造業は従業員数が多く、サービス業や小売業は少なめの設定になる傾向があります。

 

海外で起業すると受けられない

最近はインターネットさえあればどこでも起業できるので、海外で事業を始める人も少なくありません。ただし、創業事業承継補助金は国内に住んでいて日本で事業を行う人を対象としているので、海外に居住している場合や、海外で事業を起こす場合については利用できません。

 

小規模事業者助成金

個人事業主など小規模な事業者が利用できる助成金で、創業してからの事業の発展や維持をするために利用することを目的としています。

そもそもこの助成金には、国内の小規模事業をさらに発展させて社会貢献や雇用維持につなげようという狙いがあるので、助成金の支給要件に経営者の年齢も関係してきます。

具体的には代表者が60歳以上である場合は、承継診断票を提出した上で後継者候補が中心となる事業計画書などが必要になります。支給される助成金の詳細は以下の通りです。

対象:日本の小規模事業者全般
補助率:補助対象経費の3分の2以内
補助上限額:50万円(500万円:複数の事業者で連携して行う共同事業の場合のみ)

 

テレワーク助成金

コロナウイルスの流行によって一躍話題沸騰したのがテレワーク助成金です。

テレワーク助成金

テレワークとは職場という場所にこだわらず、在宅などでも勤務を可能とする勤務形態のことで、コロナウイルス対策の一環として多くの企業が一気にテレワークの導入と実施へと舵を切りました。

そこで注目されたのが、東京都などが実施している事業継続緊急対策助成金、通称テレワーク助成金です。

助成金の上限:250万円
助成率:100%

 

助成金の対象となる費用

テレワーク助成金最大の特徴は、助成対象となる費用の広さにあります。テレワーク助成金は、主に次のような費用を対象に助成金が支給されます。

 

機器購入費用

テレワークを実施するために必要となる、パソコンやタブレット、スマホ、外付けハードディスク、ルーター、ウイルス対策ソフト、サーバ、ビジネスチャットなど非常に幅広い範囲で認められます。

中でも珍しいのがパソコンやタブレットの購入です。他の助成金では、パソコン本体やタブレットなどの購入費用そのものの購入費用に対して助成金が出るということは非常に少ない傾向にあります。

個人事業主の中には、パソコンなどの設備機器が十分揃っていないところも多いと思いますので、これを機会にテレワーク補助金を活用するとよいでしょう。

 

リース費用

テレワークのための設備購入費用はもちろんの事、それらのリース費用についても同じく助成金の対象となります。

社内ネットワークを構築するとなると、かなりまとまったお金が必要になりますので、助成金の上限金額である250万円満額まで使いこなせればかなりの負担軽減となります。

 

クラウドサービスなど

テレワークをするにあたって絶対に必要になってくるのが、クラウドサービスの導入です。

これまで会社のデータベースは社内のサーバなどで管理していましたが、最近ではグーグルドライブなどネット上の共有サーバにデータを保存して、外出先からもアクセスできるようにする会社が増えてきました。

クラウドサービスを上手に活用することで、社内会議や打ち合わせが円滑になるだけではなく、取引先の担当者とクラウドデータを共有することで、より密に連絡が取り合えるとともにお互いの信頼関係の構築に大きく貢献できます。

 

個人事業主は雇用人数に注意

テレワーク補助金は個人事業主でも利用することが可能ですが、注意しなければならないのが従業員の人数です。テレワーク補助金の対象となるのは、常時雇用者が2名以上かつ、申請時点で6ヶ月以上は雇用している事業者に限られます。

個人事業者の中には、自分一人で起業しているケースや、自分と配偶者だけで営んでいるようなケースも多いので、2名以上という条件は意外とハードルが高いです。もしも個人でネット通販を自分一人でやっているような場合については、助成金の支給対象から外れます。

 

補助金、助成金支給までの流れと注意点

補助金、助成金支給までの流れと注意点

このように個人事業主にとって非常に利用価値の高い補助金、助成金ですが、利用するにあたって注意すべきことがあります。それは報告義務です。補助金や助成金は申請書を提出するだけで、すぐに支給されるような甘いものではありません。

返済不要ということもあり、利用したい方がとても多いので不正受給を防止して効果を高めることを目的に、補助金支給後の定期報告や結果報告などが義務化されています。例えばテレワーク助成金の場合、助成金を受け取るためには次のようなステップを踏まなければなりません。

  1. 業者への見積もり依頼
  2. 助成金申請書の提出
  3. 審査
  4. 設備導入
  5. 上限額の通知
  6. 助成金支給

 

 

ステップ1:業者への見積もり依頼

助成金を申請するためには、助成してもらう対象となるテレワークの導入費用の見積もりが必要になります。そこで、テレワークを導入するための費用の見積もりを業者に依頼し見積書を手に入れます。

 

ステップ2:助成金申請書の提出

見積書の内容を踏まえて、助成金申請書を作成します。申請書を作成する際のポイントは、事実を間違いなく記載するということです。実は助成金からみのご相談が最近増えているのですが、皆さん一様にこのように聞いてこられます。

  • 「どうすれば助成金を貰いやすくできますか」

要するに、助成金の対象者に選定されるためには、どのように事業計画書や申請書をかけばよいのでしょうかという問題です。

基本的に助成金は要件に適合していれば助成を受けられるのですが、テレワーク助成金のように実際に支出する費用に対して助成金が出るものについては、申請の段階で100万円の見積書を提出したとしても、50万円までしか認められないというケースが出てきます。

 

ステップ3:審査

どこまでがテレワーク助成金の適用範囲なのかという問題なのですが、業者によっては今回の助成金制度を利用して、テレワークとは直接関係のない設備投資についても見積書に盛り込んでくるケースがあるのです。

申請する会社としても、できるだけ助成を受けられる金額を増やしたいので、平たく言うと「うまく誤魔化せそうな申請書や見積書の書き方を知りたい」ということなのですが、当然のことながら嘘は絶対にいけません。

これは法的な観点からも不正受給に該当します。また、補助金や助成金は不正受給を防ぐために、必ず結果報告の提出が必要になっています。つまり、申請書通りにものを買って事業を行っているのかどうかまで、追って確認をしてくるということです。

 

ステップ4:上限額の通知

申請した金額に対して、助成金が認められる限度額の通知がされます。ただこの段階ではまだ助成金は入金されません。あくまで、支給される上限額が明確になるだけなので、それを受けて実際に設備を導入するかを決断します。

 

ステップ5:設備導入

実費でテレワーク設備を導入して、その結果を報告書として提出します。見積書と内容が変わってくると、事前に通知されている上限額を下回る可能性がありますので注意が必要です。

 

ステップ6:助成金支給

結果報告書を提出して、予定通りの導入がされていることが確認されると助成金が振り込まれてきます。助成金によっては前払いのものもありますが、基本的には先に事業主側で支出することになるものが多い傾向です。

 

助成金、補助金を利用する際の効果報告の注意点

助成金や補助金には様々なものがあり、支給要件もものによって大きく異なります。中でも、オフィスインフラ関係の助成金、補助金制度には注意が必要です。例えばIT導入補助金が最近話題となっていて、補助額が上限450万円と高額なため利用希望者が多いようです。

テレワークのように導入後簡単な報告をすれば済むのであればよいのですが、IT導入補助金の効果報告は細かな指標まで示して効果を報告しなければならないので、報告書の作成にかなりの労力を費やすことになります。

そのため、自営業で従業員が少ない場合は補助金が逆に負担になってしまうこともあるのです。補助金や助成金を申請する際には、後でどのような結果報告が求められるのかについて、よく調べておくことをおすすめします。

 

助成金とハローワークの関係

助成金とハローワークの関係

助成金を検索すると支給要件の中にハローワークの利用が盛り込まれているケースをよく見かけます。

そもそも助成金や補助金は、受給する個人事業主や企業があらゆる法令を遵守していることが前提となっていますが、それ以外にもできるだけ公的機関のサービスを利用することが条件に盛り込まれているケースがあります。

ハローワークもその一例で、ハローワークを通じで人を雇用することが助成金支給の条件になっていることがあるのです。例えば次の助成金については、ハローワークの利用が条件となっています。

  • 特定就職困難者雇用開発助成金
  • 地域雇用開発助成金
  • 障害者職場定着支援奨励金
  • トライアル雇用奨励金

これらの助成金等はハローワークを利用して雇用した場合に利用が可能で、申請窓口もハローワークになっています。個人事業主の方でも他の要件に該当すれば利用できますので、今後求人を検討している方はハローワークを利用するのも一つの手です。

 

個人事業主向けの助成金に関するまとめ

個人事業主にとって補助金や助成金は効果的な資金調達方法なので、要件に当てはまるものは積極的に利用することをおすすめします。ただし、利用した後は必ず結果報告を求められますので、どこまでの報告義務があるのかも含めて確認することが大切です。

すでに導入を検討しているものに補助金が使える可能性があるかもしれませんので、ぜひ一度調べてみてはいかがでしょうか。

個人事業主に関する以下記事もおすすめ☆