- 離婚したいなら、まず相手と合意して協議離婚できないかを考える。
- 離婚が決まったら、親権、養育費、財産分与などの離婚の条件を決める。
- 離婚時に取り決めした条件は、離婚協議書として書面に残しておく。
- 離婚届はあらかじめ用意しておき、夫婦が署名捺印するほか、証人2名にも署名捺印してもらっておく。
公開日:2019年6月19日
離婚は、誰もが経験するものではありません。離婚を経験する人も、人生のうちにそう何度もあるわけでもないと思います。離婚を考えたときに、「いったい何から手を付ければよいのかがよくわからない…」という人がほとんどなのではないでしょうか?
今回は、離婚の際の手続きを大まかな手順に沿ってご紹介しますので、必要書類なども含めて知っておきましょう。
目次
離婚したいと思った場合には、まず、協議離婚ができないかを考えてみます。夫婦が離婚に合意すれば、協議離婚が可能です。
離婚は1人だけの問題ではありません。相手が納得しないのに、自分の意思だけですぐに離婚できるわけではないことを意識しておきましょう。
法定離婚原因がある場合には、裁判を起こして離婚判決を得ることもできますが、裁判が終わるまでにはかなりの時間がかかります。長期化すると、精神的なダメージも大きくなります。
離婚について相手の承諾が得られそうなら、協議離婚するのがいちばんです。
夫婦仲が険悪になっていたり、家庭内別居が長く続いていたりすれば、「相手も離婚に応じてくれるだろう」と安易に考えてしまいがちです。しかし、「離婚したい」と言って相手を「うん」と言わせるのは、想像している以上に難しいことがあります。
相手にも考える時間は必要です。相手の気持ちや立場を無視して強引に離婚手続きを進めようとすれば、相手も意固地になり、離婚できるまでに余計に時間がかかってしまいます。
相手に納得してもらえるよう、じっくり時間をかけて話し合いをしましょう。
話し合いをしても相手が離婚を承諾してくれない場合、もしくは相手が話し合いを拒否して前に進まない場合には、家庭裁判所で離婚調停をする方法があります。
離婚調停をし、調停が成立すれば離婚の条件についても家庭裁判所で決まることになります。離婚の条件は、家庭裁判所で調停調書という書面にしてもらえます。
離婚に合意ができたら、離婚の条件を決めます。決めるべき離婚条件は、主に次の6つです。(1)~(3)は、子どもがいる場合には必ず取り決めすべき事項になります。(4)~(6)については、必要な場合に取り決めしましょう。
子どもがいる場合には、どちらの親が親権者になるかを決めます。親権者は離婚届に書かなければならないので、親権者を決めなければ離婚ができないことになります。
子どもと別居する親は、養育費を払う義務があります。養育費は通常は毎月払いにするので、毎月の支払額を決めます。
さらに、毎月の養育費とは別に、進学時などにまとまってかかる費用についても決めておくとよいでしょう。支払う側に一括払いできるお金がある場合には、一括払いにしてもかまいません。
子どもと別居する親は、子どもと面会交流する権利があります。面会については、必ずしも月1回などの回数を決めなければならないわけではありません。
細かく決め過ぎると、子どもの体調などで面会が実現しなかったときに揉めてしまいます。
目安としての回数や宿泊の有無などを決めておき、その都度話し合いをしながら柔軟な対応ができるようにしておきましょう。
離婚するときには、夫婦が婚姻中に築いた財産を財産分与で公平に分けます。必要に応じて、預貯金を移し替えたり、生命保険を解約したりしましょう。
不動産のように物理的に2つに分けられないものは、どちらが引き継ぐかを決め、金銭の支払いで清算します。
借金についても原則的に財産分与の対象になります。ただし、結婚生活のためではない個人的な借金は対象になりません。
住宅ローンについては、家の現在価値や残高、名義などによってどうすべきかが変わってきます。当事者だけで決めないで、専門家に相談して対処するのがおすすめです。
相手の浮気が原因で離婚する場合には、相手に慰謝料を請求できます。その他にも、暴力を受けた、生活費を渡してもらえなかった、一方的に別居されたなどの理由があれば、慰謝料請求が可能です。
逆に、自分の浮気などが原因の離婚なら、相手に請求された場合に慰謝料を払わなければなりません。
夫婦の一方または両方が会社員や公務員の場合、年金分割ができます。女性側は、年金分割をすれば、将来の年金受取額が増えるのが一般的です。
年金分割には合意分割と3号分割の2種類があります。専業主婦でなくても、合意分割をすれば年金が増えることがあります。合意分割をする場合には相手との合意が必要なので、離婚時に話し合っておきましょう。
離婚届は、役所に行ってそのまま記入して出すような書類ではありません。事前に届出用紙を入手し、記入を完成させておきましょう。
離婚届の用紙は、市役所や区役所に置いてあります。「○○市長殿」などの宛先が印刷されているところもありますが、書式は全国共通ですから、宛先を訂正すればどこでも使えます。
役所によってはホームページからダウンロードできるようになっていることがありますが、A3サイズの用紙1枚におさまるように印刷しなければなりません。
また、すべての役所でダウンロードしたものを受け付けてもらえるわけではないので、事前に確認しておきましょう。
記入例や説明を参考に、必要事項を記入します。「届出人署名押印欄」以外は、誰が書いてもかまいません。「届出人証明欄」には、夫婦がそれぞれ自分で氏名を手書きし、別々の印鑑を押します。
協議離婚で離婚届を出すときには、証人2名の署名押印も必要です。証人は、20歳以上の人なら誰でもかまいません。本籍や住所も書いてもらわなければならないので、家族や親戚、親しい友人などに頼むとよいでしょう。
離婚届を提出する役所が本籍地でない場合には、戸籍謄本を添付する必要があります。本籍地が遠方の場合には郵送で取る必要があるので、前もって用意しておきましょう。
どちらかが離婚届不受理申出(※離婚届を受理しないよう役所に申し出る手続き)をしている場合には、不受理申出の取り下げをしなければ離婚届を受け付けてもらえません。
不受理申出を出している側が離婚届を出しに行かない場合には、事前に取り下げをしておきましょう。
協議離婚する場合には、離婚時の取り決めを離婚協議書にしておきましょう。
裁判所を通じて離婚する場合と違い、協議離婚の場合はそのままでは離婚時の取り決めの書面が残りません。夫婦で離婚条件を確認し、離婚協議書を作成しておきましょう。
公証役場で離婚時の取り決めを公正証書にしておけば、より効力があります。
特に、毎月養育費を払ってもらう場合や、慰謝料を分割払いしてもらう場合には、公正証書にしておくことで執行力が付き、お金が支払われないときに強制執行が可能です。
離婚協議書は、必ず離婚前に作成しなければならないわけではありません。離婚届を出した後でも離婚協議書を作成することはできます。
たとえば、「子どもの進学に合わせて名字を変えたいので、すぐに離婚届を出したい」というようなケースもあるでしょう。そのような場合には、離婚届を先にし、離婚協議書を後にしても問題はありません。
離婚届を出せば、協議離婚が成立します。事前にいつ提出するかを決めて準備しておきましょう。
離婚届は、本籍地または住所地の役所に提出します。なお、夫婦の本籍地は同じですが、既に別居していれば住所地が別のことはあります。この場合には、どちらの住所地に出してもかまいません。
離婚届を出しに行く人は、本人確認書類として、運転免許証やパスポートなどを持参する必要があります。
離婚後に旧姓に戻らない「婚氏続称」の場合には、「離婚の際に称していた氏を称する届(戸籍法77条の2の届)」を提出します。離婚届と同時でなくても、離婚日から3か月以内なら提出できます。
離婚届を出すまでの手続きの流れは、大まかには上記のような手順になりますので、理解しておきましょう。
なお、状況によって上記のとおりにはいかないこともありますし、公正証書を作成する場合の必要書類などもケースバイケースです。
細かいところは専門家に確認しながら、臨機応変に離婚手続きを進めましょう。
親権や養育費・慰謝料など、離婚問題でお悩みの場合は法律のプロに相談することをおすすめします。でも、どうやって法律のプロを探せばよいのか戸惑う方も多いはず。。
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