- 負担にならない家賃の目安は「手取りの3割以内」。
- 節約を目指すなら「手取りの2割以内」。
- 住む地域によって家賃の差は大きい。
- 火災保険料など家賃以外に必要な住居費も調べておくとよい。
公開日:2020年8月24日
家を選ぶ際、何を基準にしますか?「交通の便がよい」「静かな環境である」「駐車場併設」など、ご家庭によってさまざまな要望があるかと思います。
交通の便などの環境面の要望も大切ですが、実際にどの程度の金額なら家計に負担なく家賃を捻出していけるのか、ここも大事なポイントとなります。
そこで本記事では、「手取り収入と家賃の関係性」についてまとめます。
家賃の相場と部屋探しのポイントについては、こちらもご参照ください。
目次
家賃の目安を考えるにあたって、ぜひ覚えていただきたいのは「手取り」と「額面」の違いです。一見すると、どちらも「給与」のことなので、あまり関係ないように感じる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、この2つは大きな違いがあり、家賃を考える際はぜひ「手取り」で検討してください。
「額面」とは、総支給額のことです。職務手当や夜勤手当、残業手当などもすべて含めた金額を「額面」と言います。
一方「手取り」とは、額面(総支給額)から、さまざまな税金や社会保険関係などをすべて控除した後の金額のことです。
簡単に言うと、「支払うべきものをすべて支払った後に、実際に自由に使えるお金」のことを手取りといいます。
扶養家族の有無によっても変わりますが、だいたい額面から1〜2割前後は差し引かれる場合が多いでしょう。例えば、額面で20万円の方の場合、手取り収入は16〜18万円前後が目安となります。
家賃の相場は、お住まいの地域によってかなり差があります。
全国の不動産業者が多く登録している「公益社団法人・宅地建物取引業協会(通称・宅建協会)」のホームページでは、全国の地域別、物件別の家賃平均相場を知ることができます。こちらを参考に、主要都市の家賃相場についてジャンル別に確認していきましょう。
ここまで、東京、大阪、福岡の賃貸価格の目安をまとめました。同じワンルームやファミリー向け物件といっても、その家賃にはかなりの地域差があるということをお分かりいただけたのではないでしょうか。
例えばワンルームマンションの場合、東京では約13万円の家賃であるのに対し、福岡では5万円弱で済みます。その差は8万円です。
家賃の高い東京から、家賃の安い福岡に引っ越す場合はよいですが、逆の場合は大変です。場合によっては、もう一度その地域の相場を調べて家計全体を見直す必要もあります。
一般的に、都市部のほうが交通の便がよくマイカーを保有しなくてよいと考えれば、家賃が多少高くても納得できる場合もあるでしょう。
逆に、郊外に住む場合は、バスや電車の本数が少ないなどの理由から、一人一台はマイカーが必要な地域もあるかもしれません。
これらのことを総合的に考え、住まいを検討する場合は、家賃だけで選ぶのではなく、住環境の付加価値も含めて探すことをお勧めします。
ファミリーで住む物件を探す場合は、お子さんが通う学校など教育施設の場所も物件探しのポイントとなります。病院や図書館などの生活関連施設が近くにあるかどうかという点も重要です。
住居の場所は暮らしに直結しますので、ご自身(ご家族)でいくつか希望の条件をピックアップしておくとよいでしょう。
前述のとおり、家賃は地域差がかなり大きいため、まずはその地域ごとの適正価格を調べることをお勧めします。そのうえで、ご自身の家計の中から、実際に毎月捻出できる家賃を決めていきましょう。
当然「自分が捻出できる額」も人それぞれ違います。一般的には、給与や年収などの所得に応じて、だいたいの家賃の目安を決めていく方法があります。以下、具体的にご紹介していきます。
家賃と年収のバランスについては、こちらの記事もご参照ください。
「家賃の目安は月給の3分の1くらい」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
お金のコンサルティングや不動産業界では、「収入における家賃の占める割合の目安は3割(3分の1)以内である」とお客様に案内することがよくあります。
家賃が手取り収入の3割以内であれば、家計のうちほかの支出に影響を与えることなく払い続けられる金額であるとされています。
一概に「家賃は○万円以内にしましょう!」といっても、なんの目安にもなりません。各ご家庭の世帯収入が違うため、その収入に応じて、割合で換算して目安とすることがスムーズでしょう。
例えば手取り30万円の方では、その3割である9万円以内の家賃で検討すれば妥当と言えます。手取りが50万円の方であれば、15万円以下の家賃で探すとよいということがわかります。
可能であれば、家賃は手取り収入の2割以内に抑えたいところです。家賃を2割以内に抑えることができれば、その分ほかの生活費や預貯金として使うことができます。
もちろん、お住まいの地域の家賃相場は大きく影響しますので無理はできません。しかし、家賃は固定費として毎月必ず出ていくお金です。一度定住すると、よほどのことがない限り頻繁に引っ越すということも考えられません。
つまり、長期間に渡ってその家賃を払い続けるということです。月にたった数千円の差額であっても、長期間の積み重ねは決してあなどれません。
家賃の理想は「手取りの2割」、「多くても3割以内」に抑えましょう。
住みたい地域の家賃相場がそもそも高額で、ご自身の手取り収入の3割以上は確実に超えてしまうという場合はどうしたらよいのでしょうか。
まず、どれくらいまでなら家賃として許容範囲なのかを具体的に割り出しましょう。家賃に回すお金が多くなるということは、ほかの生活費を融通する必要があります。
この際、家賃だけを調整するのではなく、家計全体を再度見直すことで少し負担を減らすことが可能です。
家賃が高額になってしまう場合、家計の中からいくらまでなら家賃として捻出できそうか検討してみましょう。1万円以内の予算オーバーであれば、ほかの支出を削ってなんとかカバーできそうですよね。
しかし、1万円以上のオーバーで、ほかの支出を削ってもどうにもならないと判断する場合は、手の届く価格帯のエリアへ入居先を変更することも視野に入れましょう。
家計全体の見直しをはかることで、家賃に回すお金を工夫することは可能です。①でも書きましたが、どうしても捻出できない場合は住むエリアを変えるなども必要です。
しかし、仕事や学校の都合で住むエリアが限定される場合は、手取り収入のうちほかの支出を削ることも必要といえるでしょう。
家計の見直しについて、世帯別にまとめている記事はこちらです。参考までにご一読ください。
手取り収入に対する理想の家賃で生活していくために、いくつか注意しておいた方がよいポイントをご紹介します。
手取り収入に対する家賃についてまとめてきましたが、意外と落とし穴なのが「家賃以外に毎月かかる支出」です。家賃以外に毎月かかる支出として、主に以下のものがあります。
入居を決める段階で、家賃以外にどのような費用を毎月定期的に支払わなければいけないのか尋ねておくほうが安心です。家計管理の観点からアドバイスすると、家賃とその他諸費用に関しては、それぞれ別々に把握するほうがよいでしょう。支払先が違う支出に関しては、少し面倒であっても分けておくほうがお金の管理がしやすいです。
賃貸物件の場合、不動産会社(大家さん)指定の損害保険会社の火災保険に加入することが入居の条件である場合も多くあります。年間保険料として一年に一度、数千円程度を支払う場合がほとんどです。
さほど負担にならない額とはいえ、住居費として必ずかかる費用ですので、あらかじめ支出予定に組み込んでおくとよいでしょう。
会社員や公務員などの給与所得者の方では、福利厚生の一環として家賃補助制度がある場合があります。よくある家賃補助のスタイルとして以下のものがあります。
職場の家賃補助は、あくまでもお勤めされている間のみ利用できる制度です。つまり、転職や退職後は利用できないということです。
このような理由から、物件を探すときは家賃補助を差し引いた額で探すのは控えたほうがよいでしょう。家賃補助がなくても「手取り収入の3割以内あるいは2割」までの範囲で入居しておくと安心です。
従業員数の多い企業では、社宅や寮などを保有している場合もあります。これらは利益目的ではなく、自社社員向けの福利厚生の一環として運営されていますので、地域の相場よりも随分安く入居することができます。
手取り収入に対する理想の家賃は、節約の面を考えると「手取りの2割以内」です。家計に対して負担のない額の目安は「手取りの3割以内」です。
ただし、家賃は地域差が大きく、同じ間取りでも都心部と地方の差は約3倍になることもあります。また、月々の家賃以外にも発生する関連費用もあらかじめ把握しておきましょう。
まずは引っ越す地域の家賃相場を調べ、それらを目安にご自身の家計に照らし合わせて検討することをお勧めします。
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