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年収400万円の家賃の目安は?《一人暮らし・家族別》適正な相場をFPが解説

年収400万円の家賃の目安は?《一人暮らし・家族別》適正な相場をFPが解説

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竹国 弘城

竹国 弘城

RAPPORT Consulting Office 代表、1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP(R)、証券外務員一種

証券会社、生損保代理店での勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。より多くの方がお金について自ら考え行動できるよう、お金に関するコンサルティング業務や執筆業務などを行う。ミニマリストでもあり、ミニマリズムとマネープランニングを融合したシンプルで豊かな暮らしを提案している。RAPPORT Consulting Office 代表。1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP(R)。

この記事のポイント

  • 年収400万円・独身一人暮らし世帯の家賃の適正額は月6万円弱。
  • 年収400万円・4人家族世帯の家賃の適正額は月7万円。
  • 住んでいる地域や個別の事情などにより、他の支出との調整(やりくり)が必要。

家計の支出の中でも特に大きな割合を占める家賃。どれくらいの家賃が適正なのか気になる人も多いのではないでしょうか。今回は年収400万円の世帯における家賃の適正相場について解説します。

 

年収400万円の人の手取り収入は約300万円

年収400万円の人の手取り収入は約300万円

年収とは通常、所得税や住民税、社会保険料などが天引き(控除)される前の額面収入(会社からの支給額)のことをいいます。年収400万円の人が自由に使える「手取り収入」は300万円(月収で25〜26万円)ほどです。

天引きされる税金や社会保険料は、扶養家族の人数や配偶者の所得額、前年の所得、加入している社会保険などによって変わるため、額面給与額が同じ人でも手取り収入は違ってきます。

(控除額は扶養家族が多いほど多く、配偶者の所得が一定以上となると減る。住民税は前年所得をもとに計算され、前年所得が多ければ住民税額は増える。)

所得税率は累進課税という仕組みによって所得が多い人ほど高くなります。所得は個人ごとに判断するため、世帯収入が同じ400万円でも、1人が400万円稼ぐのと夫婦共働きで400万円稼ぐのでは、後者のほうが所得税が少なくなり世帯全体の手取り収入は多くなります。

 

年収400万円は日本の平均的な所得水準

民間給与実態統計によると、通年勤務の給与所得者の年間平均給与は441万円(男性545万円・女性293万円)

給与所得者全体の54.2%(男性38.2%・女性77.0%)は年収400万円以下であり、年収400万円というのは全体として平均的な所得水準といえますが、男性平均と比べた場合にはやや低い水準です。

 

家賃の適正割合は手取り年収の25%以内

家賃の適正割合は手取り年収の25%以内

一般的には手取り年収の25%が適正な家賃の目安とされています。年収400万、手取り年収が300万円であれば、適正な家賃は年間75万円(≒月6万2,500円)以内です。

ただし25%というのはあくまで目安。家賃の比較的安い地方では移動に欠かせない自動車関連費がかさみやすかったり、家族が多く広い間取りが必要だったりします。25%を大きく超えるのは好ましくありませんが、住んでいる地域や家族構成などに応じて支出割合の調整が必要になります。

 

所在地・間取り別の家賃相場

所在地・間取り別の家賃相場

物件の所在地や間取り別の家賃相場は次の通りです。ワンルームや1Kの物件であれば年間75万円(≒月6万2,500円)以内でも比較的物件を見つけやすいといえますが、それ以上の広さの物件では厳しくなります。

家族がいてある程度の広さが必要な人の場合、駅からの距離や築年数などの条件を妥協したり、そのほかの生活費を削って家賃に充てたりする必要も出てくるでしょう。

所在地・間取り別 家賃相場(2020年2月時点)(単位:万円)
所在地 間取り
ワンルーム 1K 1LDK 2LDK 3LDK
港区 11.46 13.61 25.94 34.22
新宿区 6.46 9.57 17.71 24.23
世田谷区 6.72 8.14 14.35 17.98 20.94
中野区 5.92 7.07 16.05 22.48 26.33
八王子市 4.11 5.19 7.87 9.08
さいたま市浦和区 6.46 6.88 8.89 10.59 16.95
横浜市中区 7.64 7.53 12.23
つくば市 4.82 4.96 6.25 7.08 7.23
札幌市中央区 4.00 3.90 5.93 8.31 12.51
仙台市青葉区 5.93 5.03 7.33 7.67 9.32
金沢市 5.40 4.15 6.21 6.64 9.26
名古屋市千種区 5.90 6.16 9.42 12.17 15.20
大阪市中央区 7.95 6.48 11.97 15.81 16.59
広島市中区 5.80 6.02 8.23 9.81 13.46
高松市 4.85 4.48 5.24 5.61 7.20
福岡市博多区 5.09 5.02 6.82 9.03 13.32
那覇市 4.50 4.95 6.36 6.79 11.22

 

【年収400万円・独身世帯】の家賃と生活費

【年収400万円・独身世帯】の家賃と生活費

年収400万円(手取り年収300万円・ボーナスをならして月収換算25万円と仮定)、独身一人暮らし世帯の家賃とそのほかの生活費、貯蓄・運用資金の割合(適正額)の目安は次の通り。年収400万円・独身一人暮らし世帯では6万円弱が家賃の目安です。

 

 

一人暮らし世帯の生活費&貯蓄の割合(適正額)の目安

独身の一人暮らし世帯の場合、しっかりやりくりすれば手取りの3割弱を貯金や運用に回すことは十分可能です。しかし家計にそれほど余裕があるわけではありません。

外食代や趣味などにお金を使い過ぎていたり、特に浪費したつもりがなくても支出が理想的な割合を少しずつオーバーしたりしていると、すぐ赤字になってしまいます。赤字が出ている場合はもちろん、貯金ができない状況が続いている場合には早急に家計の見直しを行うようにしましょう。

支出費目 理想的な割合 1カ月あたりの適正額の目安
住居費 地方20%〜都市部26%
(23%)
5万円〜6万5,000円
(5万7,500円)
食費 12% 3万円
水道光熱費 3% 7,500円
通信費 3% 7,500円
被服・理美容費 5% 1万2,500円
日用品費 2% 5,000円
自動車関連費 地方12%〜都市部0%
(6%)
3万円〜0円
(1万5,000円)
交通費 地方1%〜都市部3%
(2%)
2,500円〜7,500円
(5,000円)
医療費 2% 5,000円
交際費 4% 1万円
趣味娯楽費 6% 1万5,000円
生命保険料 2% 5,000円
貯蓄・運用 30% 7万5,000円
合計* 100% 25万円

*合計額は便宜上カッコ内の割合、金額で計算。

 

【年収400万円・4人世帯】の家賃と生活費

【年収400万円・4人世帯】の家賃と生活費

年収400万円(手取り年収300万円・ボーナスをならして月収換算25万円と仮定)、小学生の子供が2人いる4人家族世帯の家賃とそのほかの生活費、貯蓄・運用資金の目安は次の通り。年収400万円・4人家族世帯では約7万円が家賃の目安です。

ここでは児童手当(小学生1人あたり月1万円、3人目以降は月1万5,000円)をそのまま貯金(または運用)に回すと想定し、割合には含めていません。

 

4人家族(夫婦・子供2人)の生活費・貯蓄の割合(適正額)の目安

夫婦と子供が2人の4人家族世帯の場合、年収400万円(手取り300万円)では家計に余裕はありません。手取りの1割以上を貯金や運用に回せれば理想的ですが、それが難しい場合には、少なくとも児童手当には手を付けず貯金に回すように努力しましょう。

支出費目 理想的な割合 1カ月あたりの適正額の目安
住居費 地方26%〜都市部30%
(28%)
6万5,000円〜7万5,000円
(7万円)
食費 14% 3万5,000円
水道光熱費 4% 1万円
通信費 4% 1万円
被服・理美容費 4% 1万円
日用品費 3% 7,500円
自動車関連費 地方10%〜都市部0%
(5%)
2万5,000円〜0円
(1万2,500円)
交通費 地方1%〜都市部3%
(2%)
2,500円〜7,500円
(5,000円)
医療費 2% 5,000円
交際費 2% 5,000円
趣味娯楽費 5% 1万2,500円
生命保険料 4% 1万円
こづかい 8% 2万円
貯蓄・運用 10% 2万5,000円
(+児童手当2万円)
合計* 100% 25万円
(+児童手当2万円)

*合計額は便宜上カッコ内の割合、金額で計算。

 

月7万円の住宅ローンで購入できる物件の目安

家賃を払い続けるよりも家を購入したほうがいいと考える人もいるでしょう。家賃と同じ返済額で住宅ローンを組むとすると、どのくらいの家が購入できる(ローンが組める)のでしょうか。

住宅ローンの審査では、一般的に年収に占める年間返済額の割合(返済比率)が20〜40%以下であることが条件となっており、返済比率の条件は借入希望者の年収や金融機関によって異なります。

フラット35の場合、税込年収400万円未満の人は返済負担率30%以内、税込年収400万円以上の人は返済負担率35%以内が条件となっています。

 

月7万円の返済で借りられる金額(フラット35・元利均等返済の場合)

年収400万円の人の適正家賃である7万円で借入できる金額を試算すると次のようになります(フラット35を利用する場合)。

借入金利1%の35年ローンであれば、借入可能額は約2,500万円。ただし借りられる金額が必ずしも返せる金額ではないということに注意しなければなりません。返済計画に無理がないか、慎重に検討した上で購入を判断することが大切です。

月7万円の返済での借入可能額(フラット35・元利均等返済の場合)
返済期間
15年 20年 25年 30年 35年
借入金利 0.50% 1,213万円 1,598万円 1,973万円 2,339万円 2,696万円
0.75% 1,191万円 1,559万円 1,914万円 2,255万円 2,585万円
1.00% 1,169万円 1,522万円 1,522万円 2,176万円 2,479万円
1.25% 1,148万円 1,485万円 1,802万円 2,100万円 2,380万円
1.50% 1,127万円 1,450万円 1,750万円 2,028万円 2,286万円
1.75% 1,107万円 1,416万円 1,699万円 1.959万円 2,197万円

 

金融機関の提供する住宅ローンの借入可能額はフラット35より少ない

金融機関の提供するフラット35以外の住宅ローンの借入可能額は、フラット35の借入可能額よりも通常少なくなります。

これはフラット35の審査が実際に適用される金利を使って行われるのに対し、それ以外の住宅ローンの審査は審査金利(金融機関により3〜4%程度)を使って行われるためです。

毎月返済額7万円、借入金利1%の35年ローンを組む場合、返済比率の条件が同じ35%以下であれば、フラット35を利用すれば2,479万まで借りられます。

それに対し、民間の住宅ローン(審査金利3%の場合)を利用すると1,818万円までしか借りられません(返済比率の条件をフラット35よりも高い40%以下に設定している金融機関も多く、その場合の借入可能額はこれより多くなります)。

金利が返済期間中変わらないフラット35と、より低金利の変動金利型や固定期間選択型などがある民間の住宅ローン。どちらが優れているということはありません。それぞれのメリット・デメリットを踏まえて、あなたに合った住宅ローンを選ぶことが大切です。

 

住宅購入後にはローン返済以外の負担もある

住宅を購入するとローンの返済以外に、火災保険料や税金(固定資産税・都市計画税)、将来の修繕費の備えなど保有するためのコストがかかります。返済額が今の家賃と同じでもこのコスト分だけ負担は増えるため、借入額と毎月の返済額はその点を踏まえて決めなければなりません。

 

年収400万円の家賃の目安に関するまとめ

年収400万円(手取り約300万円)の場合、独身1人暮らし世帯では月6万円弱、家族のいる世帯では月7万円が適正な家賃の目安です。

住んでいる地域や個別の事情によって適正額以下の物件を見つけられない可能性もあり、その場合には他の支出項目や通勤・通学の利便性などを考慮しながら家計をやりくりしなければなりません。

すべて理想通りにはいかないかもしれませんが、家計のバランスを保つための指針として活用していただければ幸いです。

 

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