- 貯蓄とは預貯金も含めた全ての金融資産の総称。
- 貯蓄現在高の全年代平均額は約1788万円。
- 単身世帯のうち貯金ゼロが約6%。
- 現金だけで蓄えるのではなく生命保険なども加えると良い。
公開日:2019年9月21日
いよいよ10月から消費税が8%から10%へ増税されます。消費税がアップするからと言って給料が上がるわけではないので、つまりは「消費増税後の出費は痛手になる」という事です。
昨今の老後資金不足問題も合わさり、お金の面での不安は尽きない状態が続いていますが、そんな時期だからこそ「貯蓄」について真剣に考えてみませんか?今回は目安となる貯蓄について徹底調査します。是非皆様のお役に立てますように。
色々な貯蓄方法については、こちらも合わせてご参照ください。
目次
「預金」「貯金」「貯蓄」…一般的にはどれも同じような意味で使われており、その違いを強く意識することはあまりないかもしれません。しかし、この言葉の違いを知っておくと今後の保有資産を考えるにあたってとても役に立ちます。
貯金とは、タンス貯金や貯金箱などに貯めている現金や、旧郵便局(現ゆうちょ銀行)へ預けている現金のことを広く指します。また、手段に関わらずお金を貯めるという行為自体を広く「貯金」と呼びます。
預金とは、銀行などの金融機関に預けている現金資産の事です。「銀行預金」とも言います。
現在では、いずれも「貯めている現金」という意味で「預貯金」と呼ぶことが主流になっています。預貯金=現金資産とイメージすれば解りやすいでしょう。
貯蓄とは、現金資産である預貯金も含めた全ての金融資産を指します。貯蓄性のある生命保険や国債などの債券商品、各種投資商品もこの貯蓄に含まれます。つまり「貯蓄額」というと、現金資産だけでなく他の金融資産についても含めての合計を指しているという事です。
預貯金 | 現金だけでお金を貯めたものの総称 |
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貯蓄 | 現金の預貯金も含め、貯蓄性のある生命保険や金融商品など金融資産の総称 |
国民全体のお金に関する統計結果は、総務省統計局ホームページ内・家計調査報告(貯蓄・負債編)からどなたでも簡単に調べることが出来ます。詳細なデータを見ても難しく感じると思いますので、細かなデータの数値を見るのではなく概要がまとめられているページのみ一読するだけでも参考になります。
総務省統計局HPでは、この他にも国民の様々な統計結果を調べることが出来ます。家計や消費生活に関することだけではなく、輸入や輸出に関する経済データや、【身長・体重の平均値】などの豆知識になる内容まで、実に広い範囲の統計結果を知ることができます。
世帯主の年代別で見た預金額について、年次別の推移と共に解りやすく表にまとめていますのでご活用ください。
年次 | 平均 | 40歳未満 | 40~49歳 | 50~59歳 | 60~69歳 | 70歳以上 |
---|---|---|---|---|---|---|
2013年 | 1739万円 | 588万円 | 1049万円 | 1595万円 | 2385万円 | 2385万円 |
2014年 | 1798万円 | 562万円 | 1030万円 | 1663万円 | 2484万円 | 2452万円 |
2015年 | 1805万円 | 608万円 | 1024万円 | 1751万円 | 2402万円 | 2389万円 |
2016年 | 1820万円 | 574万円 | 1065万円 | 1802万円 | 2312万円 | 2446万円 |
2017年 | 1812万円 | 602万円 | 1074万円 | 1699万円 | 2382万円 | 2385万円 |
2018年 | 1752万円 | 600万円 | 1012万円 | 1778万円 | 2327万円 | 2249万円 |
上にまとめた表の平均貯蓄現在高をもとに計算すると、全年代の貯蓄平均は約1788万円です。2016年の平均額1820万円をピークに近年減少傾向にあります。最も平均貯蓄額が低い年でも2013年の1739万円です。
ここで注目していただきたいのは、40歳未満と70歳以上の貯蓄現在高の大きな開きです。最新の2018年で見ると、40歳未満は600万円であるのに対し、70歳以上は2249万円と約3.7倍もの差があります。特に60歳以降の貯蓄が多い理由として考えられるのは「退職金の受け取り」です。
また、40歳未満から40代でなかなか貯蓄できない理由としては教育費や住宅ローンの支払時期を重なることも要因であると推測されます。
年代別の最新データは上記の表にまとめましたが、これは年代という括りのみで大きく分類しています。つまり、(独身か既婚者で家族が居るのか)や(会社員か自営業者か)などの詳細については明らかになっていません。
そもそも同年代でも職種が違えば年収も違いますので、この年代別貯蓄現在高の統計結果だけを指標にするのではなく、他の統計結果も含めて参考にすると良いでしょう。
各種統計データを目安として活用する場合、ひとつの結果だけを参考にするのではなく、関連する複数の統計結果を合わせて参考にすると、よりご自身にピッタリの内容として情報を大いに活用することができます。
金融広報中央委員会ホームページ「知るぽると」より「家計の金融行動に関する世論調査」の結果から、二人以上の世帯(家族世帯)と単身世帯の金融動向について知ることが出来ます。こちらのホームページも、総務局統計局ホームページと同じくどなたでも閲覧できますので、他のデータについて知りたい場合は是非ご活用ください。
金融広報中央委員会ホームページ「知るぽると」は、「暮らしにまつわるお金にまつわる知恵・知識情報サイト」と題し、生活に密着したあらゆる内容を知ることが出来ます。
今回データを調査した【家計の金融行動に関する世論調査】に関して、昭和38年から平成30年までの時系列データを確認することも出来ます。他にも、ホームページ内で生活設計診断も行えますので、是非ご活用ください。
単身世帯の内約6%が貯蓄ゼロであるというデータも算出されており、全ての年代の単身世帯の平均貯金額を大きく下げている要因となっています。このことから平均預金額は直近10年のデータで約63万円と算出されました。ちなみに保有している金融資産全体の平均額は約774万円です。
二人以上の世帯の貯蓄の内、現金資産である預貯金についての平均額は約450万円前後となっています。ちなみに保有している金融資産全体の平均額は約1100万円です。
既婚者のうち特に共働き夫婦の貯金スタイルについては、是非こちらの記事をご参考になさってください。
シングルマザーの方の平均貯蓄額などについてはこちらをご参照ください。
貯蓄という言葉が、預貯金(現金資産)以外の貯蓄性のある金融商品を指すという事はここまででご理解いただけたかと思います。では、具体的に預貯金以外の貯蓄方法は何があるのか具体的にご紹介していきます。
貯蓄するのに、リスクの高い商品に投資をして元本割れしては意味がありません。一般的に貯蓄として金融商品を保有する場合は「元本保証」のしっかりした商品であることが前提です。
つみたてNISAは、商品の性質上あらかじめ元本の保証性の高い商品構成にはなっており、比較的どの商品を選んでも大きく損をすることはありません。一方NISAは非常に多くの種類の商品から選ばなければならず難しい面もあります。貯蓄としてNISAを取り入れるなら「バランス型商品」を選ぶと良いでしょう。
バランス型とは、国内や海外の債券など値動きの異なる資産を組み合わせている商品で、相互に作用しあって補うため大幅に利益を出すこともないが、大きく原資を下回ることもない値動きの安定した商品である。
iDeCoは「私的年金」とも呼ばれ、将来受け取れる老齢年金とともに受給できる年金です。掛金全額が所得控除になるため、貯金しながら税制上のメリットを受けることもできる優れものです。元本を下回ることもほぼ無い商品といえます。
注意点としては、会社員の方で勤務先の企業型確定居拠出年金にご加入のかたは掛金に制限がある場合がります。
個人向け国債は、元本割れしない金融商品の王道です。銀行普通預金の金利が0.001%程度なのに対し、個人向け国債の金利は、固定でも変動でも一律0.05%を確保されています。最低購入金額は1万円からに設定されており、誰でも気軽に購入できることもメリットと言えます。
NISAや投資信託など資産運用を始めるには口座を開設する必要があります。銀行や証券など多くでNISAや投資信託などの取扱いがございますが、一番のおすすめはSBI証券です。
業界屈指の格安手数料や、豊富なサービス・商品ラインナップを誇るネット証券業界最大手です。
生命保険で貯蓄をする際、終身保険や個人年金保険を選ぶ方がほとんどです。以前は養老保険もこの中に含まれていましたが、近年はあまり人気がありません。
保険商品全体の利率が低い傾向にあり、特にここ10年以内に加入した円建て養老保険ではあまり原資が増えない印象を受けます。(10年以上前にご加入の養老保険はこの限りではありません)
一方、終身保険や個人年金保険は根強い人気で、生命保険での貯蓄と言えば大半がこの二つです。生命保険料控除や個人年金保険料控除を利用できるのも有難いです。
この二つは、会社員で社会保険加入の方はご利用いただけません。自営業者や農林漁業に従事されている方が将来受け取ることのできる老齢年金を少しでも増やすための商品です。付加年金と国民年金基金は併用することが出来ませんのでご注意ください。ただし、これら二つとiDeCo(確定拠出型年金)の併用はできます。
国民年金基金 | 月額68000円以内の掛金を選んで加入する口数制 |
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付加年金 | 月額400円の掛金で、その内200円×納付済月数分を老齢年金に上乗せして受給する |
ここからはタイプ別におすすめの貯蓄のポイントをお伝えしていきます。このポイントを参考に、現金預金だけでなく、全ての金融資産としての貯蓄を賢く準備していきましょう。
一般家庭における貯蓄の種類として実際に運用されている割合の高い順からご紹介します。
世帯主が会社員の場合、毎月の給与がほぼ一定で安定しているため、家計管理がしやすく貯蓄も計画的に実行することが出来ます。また、勤務先の福利厚生の一環として社内預金や財形貯蓄制度が利用できる場合があります。
これらの制度は給与天引きの先取貯金として有効ですので、この制度が利用できる場合は積極的に取り入れましょう。会社員向けの貯蓄ポイントは以下の通りです。
世帯主が自営業者の場合、会社員よりも受給できる手当が少なく、年金制度で言えば各種厚生年金が無い(または薄い)ため老後資金の不足が懸念されます。関連して、遺族保障も手薄になります。これらのことを踏まえて、自営業者が備えるべきの貯蓄内容のポイントは以下の通りです。
世帯主が年金受給者である場合は、単身世帯でも二人以上世帯でも貯蓄のポイントは同じです。メインの貯蓄は「現金預貯金」または、元本保証の金融商品に絞りましょう。老齢年金が主な収入源である世帯にとって投資の損失を取り戻すことは容易ではありません。
このような背景から、余裕資金が潤沢にある場合を除いては年金を原資として投資をすることは控えた方が良いでしょう。以下のポイントを心がけると安全に資産を守ることが出来ます。
いくら貯めたら良いかの目安として以前は【年齢×10万円の金額】などと言われていました。(50歳の方の場合は50×10万円=500万円が目安)しかし上記のデータをご覧いただいても分かる通り【年齢×10万円】よりも平均額は遥かに上回っています。従ってこの数式は貯蓄額の最下限のひとつの目安とすると良いでしょう。
いかがでしたか。まずご自身の属性に合った平均貯金額を知ることで、現在思うように貯蓄が出来ていない方は微調整が可能です。現金だけの備えではなく、生命保険や金融商品も積極的に取り入れた貯蓄をすることがベストです。
あくまでも目安ではありますが、各種ポイントについてもまとめていますので、ご自身の環境に合った内容を参考にして少しでも多くの貯蓄ができるように早速スタートしてみましょう。
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