- 資産分散のコツは分散効果の高い商品を組み合わせることと、定期的に資産配分比率を調整すること
- 資産分散には各資産の代表的な指標に連動するETFがおすすめ
- 時間分散のコツは値動きの大きい商品に継続的に投資し、可能な限り税制優遇制度を利用すること
- 時間分散には国内株式や外国株式に連動するETFがおすすめ
公開日:2019年1月1日
資産運用には分散投資の知識が欠かせませんが、実際に投資を考えている人にとって最大の関心は「どの商品が良いのか?」「効果的な分散投資のコツは?」といった内容ではないでしょうか。
そこで今回は、効果的な分散投資を実現するためのコツと分散投資に適した金融商品の選び方を紹介します。
分散投資って何?という方は初めにこちらをご覧ください。
まずは、資産分散のコツと資産分散に適した金融商品の選び方を紹介します。少し専門的な内容ですが、資産分散の効果を高めるためには知っておいて損はないでしょう。
資産分散の基本は特徴の異なる資産に分散することです。
具体的には、国内株式・外国株式・国内債券・外国債券を中心に分散します。
特に反対の値動きをする資産同士を組み合わせることで効果が大きくなります。
例えば、株式と債券は反対の値動きをする傾向にあるため、分散効果が高い組み合わせと言えます。
資産配分比率によってリスクとリターンの値が異なるため、どの資産にどれだけの比率で投資するかを決めることは非常に重要です。
場合によってはリスクが同じでもリターンが異なることもあります。
例えば、リスクが10%でリターンが5%になる組み合わせとリスクが10%でリターンが6%になる組み合わせがあったとすると、当然後者の方が効果的な組み合わせと言えるでしょう。
つまり、同じリスクになる組み合わせがあれば、その中からリターンが最大になる組み合わせを選ぶことが重要です。
様々な調査結果から、投資の結果の約94%は資産配分で決まることが明らかになっています。
そのため、資産分散において当初に設定した資産配分比率を定期的に調整することが非常に重要です。
具体的には、値上がりした資産(比率の上昇した資産)を売却し、値下がりした資産(比率の下落した資産)を購入することで資産配分比率を調整します。
見直す時期は3~4ヶ月に1度程度が一般的です。
ただし、世界情勢の急激な変化や金融危機等により短期間で大きく変化する場合には適宜調整することが必要です。
投資信託はインデックス型とアクティブ型に分けることができます。
インデックス型の投資信託は特定の指標と同等の運用成果を目指します。
一方、アクティブ型の投資信託は特定の指標を目標にせず、積極的に利益を追求します。
そのため、アクティブ型の方がハイリスクハイリターンと言えます。
また、一般的にはインデックス型の方が手数料等の費用面が安く、リターンが同じであればインデックス型の方が有利です。
一時的な運用であればアクティブ型でも良いですが、長期的な運用であれば費用面を考慮してインデックス型を選ぶ方が良いです。
iDeCoのおすすめ商品を選ぶ際にもインデックス型をおすすめしています。
インデックス型の投資信託の中でも特にETFがおすすめです。
ETFとは投資信託の一種でExchange Traded Fund(上場投資信託)の略称です。
ETFは特定の指標に連動することを目的としているため、その指標に含まれる個別銘柄を投資対象としています。
例えば、日経平均株価に連動するETFの場合、日経平均株価に採用されている225銘柄に投資することで日経平均株価と同じような値動きを目指しています。
つまり、ETFに投資するだけで特定の指標に関連する幅広い銘柄に投資するのと同じ効果を得ることができ、資産分散に適した金融商品と言えます。
また、ETFは金融商品取引所に上場しているため、取引時間内であればいつでも売買できます。
そのため、「基準価額(投資信託の値段)が10,000円になったら購入する」、「基準価額が12,000円になったら売却する」ということができます。
一方、上場していない投資信託は1日に1度しか売買できず、購入価額や売却価額が確定するのも翌日以降となり、ETFのような機動的な取引ができません。
つまり、売買の手続き後に相場が急落した場合には想定外の損失が発生することもあると言えます。
もちろん、想定外の利益が発生することもありますが、余計なリスクを回避するのであればETFが合理的です。
具体的な商品選択においては、国内株式であれば東証株価指数(TOPIX)、外国株式であればMSCIコクサイ・インデックス、国内債券であればNOMURA-BPI 総合、外国債券であれば世界国債インデックス等の各資産の代表的な指標に連動するETFを選ぶと良いです。
次に時間分散のコツと時間分散に適した金融商品の選び方を紹介します。
時間分散には定期的に一定数量を購入する定量購入と定期的に一定金額で購入する定額購入(ドルコスト平均法)がありますが、ここでは定額購入を前提に解説します。
ドルコスト平均法の最大のポイントは継続的に同じ商品を同じ金額で購入することです。
同じ金額で購入することで価額が高い時には購入口数が少なく、価額が安い時には購入口数が多くなります。
その結果、1口当たりの購入価額(平均購入価額)を下げる効果が期待できます。
平均購入価額を下げることができればその分だけ利益が出る可能性も高くなると言えます。
平均購入価額を下げるためには、価額の変動幅が大きい金融商品を選ぶことも有効です。
価額の変動幅が大きいということは値上がり時には大きく上がり、値下がり時には大きく下がるということです。
つまり、値上がり時には購入できる口数が極端に少なくなり、値下がり時には極端に多くなります。
その結果、安い時に大量に購入することができ、平均購入価額を下げる効果が大きくなります。
具体的な選択肢としては、国内株式や外国株式に連動するETFが有力です。
近年の研究結果によると個別リスクの回避には400銘柄以上の投資対象に分散することが必要だと言われています。
そのため、個別株を利用する場合には非常に多くの手間と時間がかかり、購入後の管理も煩雑になります。
そこで複数の個別株にまとめて投資できる投資信託やETFを利用すると効率的に個別リスクを回避することができます。
時間分散を行うと必然的に積立投資になります。
そのため、積立NISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)等の税制優遇制度と相性が良いです。
積立NISAの最大のメリットは運用益が非課税になる点です。
通常であれば運用益に対して20.315%の税金が課税されるため、節税効果は非常に大きいと言えます。
ただし、投資できる上限金額は年間40万円、非課税となる期間は投資した年から最長20年間となっています。
iDeCoの場合は運用益が非課税になるだけでなく、掛金(積立金)が全額所得控除の対象になる点や将来の受取時には受取方法に応じて退職所得控除・公的年金控除の適用を受けることができる点もメリットです。
ただし、原則60歳まで積立金を引き出すことができない点には注意が必要です。
金融商品には個別銘柄や投資信託等、幅広い選択肢がありますが分散投資にはETFがおすすめです。
資産分散の場合には、各資産を代表する指標に連動するETFを組み合わせることで効率的な資産運用が可能になります。
また、時間分散の場合には、日本株や外国株等の値動きの大きい指標に連動するETFを利用することで平均購入価額を大きく下げる効果が期待できます。
つまり、分散投資の考え方を理解した上で、それに適した金融商品を選ぶことが重要だと言えます。