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生命保険料控除で税金の負担を軽くする!生命保険料控除の実際と手続方法をご紹介

生命保険料控除で税金の負担を軽くする!生命保険料控除の実際と手続方法をご紹介

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小島 正史

小島 正史

i-DESIGN合同会社CEO、生命保険プランナー

大学卒業後、大手通信会社に就職。生命保険代理店勤務を経て2007年独立。2014年法人設立。以後、個人の生命保険の見直しや法人契約の保険を中心としたプランニングを行う。生命保険のプランニングの際には、「必要な保障額」を「必要な期間」「最低限の保険料で」を基本理念とし、お客さま目線のわかりやすい提案を心がけています。

この記事のポイント

  • 生命保険料控除とは払い込んだ保険料に対して一定の金額が生命保険契約者の所得から差し引かれる制度。
  • 生命保険料控除には新制度と旧制度があり控除額が異なっている。
  • 生命保険料控除の対象区分は、新制度には一般生命保険料控除、個人年金保険料控除、介護医療保険料控除、旧制度には一般生命保険料控除、個人年金保険料控除がある。
  • 生命保険料控除の手続きは、サラリーマンは年末調整で、自営業は確定申告で行う。

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サラリーマンは年末調整書類の「給与所得者の保険料控除申請書」を毎年記入し、保険会社から送られてくる「生命保険料控除証明書」を添付して提出している方が多くいらっしゃいますが、その書類を提出するとどういう効果があっていくら得するのか正確にご存じの方は少ないのではないかと思います。

これから、「生命保険料控除」がどういう制度で、どのような効果があるのかをご紹介します。長期間積み重ねると数十万単位で税金の負担が軽減される生命保険料控除のことをよく知り、税制上の優遇制度をしっかり利用しましょう。

 

生命保険料控除ってどういうもの?

生命保険料控除とは、払い込んだ保険料に対して一定の金額が生命保険契約者の所得から差し引かれる制度です。所得が低くなることで、所得税、住民税の負担が軽減されます。

生命保険料控除は国税庁が定める所得控除の一つです。他には、医療費控除、社会保険料控除、配偶者控除など全部で20項目があります。

 

新制度と旧制度

生命保険料控除には新制度と旧制度があり、対象となる保険契約が違っています。

生命保険料控除の新制度は「平成24年1月1日以後に契約した生命保険等」が対象になり、旧制度は平成23年12月31日以前の契約が対象です。

以下は対象となる保険の区分です。

新制度(平成24年1月1日以後の契約) 旧制度(平成23年12月31日以前の契約)
控除の種類 一般生命保険料控除

個人年金保険料控除

介護医療保険料控除

一般生命保険料控除

個人年金保険料控除

 

生命保険料控除の対象区分は、新制度には一般生命保険料控除、個人年金保険料控除、介護医療保険料控除旧制度には一般生命保険料控除、個人年金保険料控除があります。

新制度では介護医療保険料控除が新たに加わっています。社会的に介護のニーズが高まり、社会保障に頼らず介護に備えて保険料を負担する方に対して税制上の優遇が受けられるようになりました。その他にも控除額が変更になっているので、次項で新制度と旧制度の控除額をご紹介します。

 

新制度と旧制度の所得税控除額

生命保険料控除の控除額は、その年の1月1日から12月31日までに払い込んだ年間払込保険料で決まります。

新制度の所得税控除額は以下の式で計算します。

年間の支払保険料等 所得税控除額
20,000円以下 支払保険料等の全額
20,000円超 40,000円以下 支払保険料等×1/2+10,000円
40,000円超 80,000円以下 支払保険料等×1/4+20,000円
80,000円超 一律40,000円

新制度(平成24年1月1日以降)の契約で、毎月1万円の保険料を支払っている場合は、年間の支払保険料が12万円です。年間の支払保険料は8万円を超えているので、所得から4万円控除されます。その4万円に所得に応じた税率(5~45%)をかけた金額分の税金が軽減されます。

 

旧制度の所得税控除額は以下の式で計算します。

年間の支払保険料等 所得税控除額
25,000円以下 支払保険料等の全額
25,000円超 50,000円以下 支払保険料等×1/2+12,500円
50,000円超 100,000円以下 支払保険料等×1/4+25,000円
100,000円超 一律50,000円

旧契約(平成23年12月31日以前の契約)で、毎月1万円の保険料を支払っている場合は、年間の保険料が12万です。年間の保険料は10万円を超えているので、所得から5万円控除されます。その5万円に所得に応じた税率(5~45%)をかけた金額分の税金が軽減されます。

新契約と旧契約の双方について生命保険料控除を適用する場合は、新契約と旧契約の控除額を合計(最高4万円)した金額が控除額です。

また、新制度には3つの控除(一般生命保険料控除、個人年金保険料控除、介護医療保険料控除)、旧制度には2つの控除(一般生命保険料控除、個人年金保険料控除)がありますが、それぞれで控除が受けられます。一般生命保険だけでなく、個人年金や介護保険に加入している方は税金の負担がより軽減されます。

 

新制度で3つの控除を受けた場合の所得税の限度額は12万円、2つの控除を受けた場合の所得税の限度額は8万円、1つの控除を受けた場合の所得税の限度額は4万円です。

旧制度で2つの控除を受けた場合の所得税の限度額は10万円、1つの控除を受けた場合の所得税の限度額は5万円です。

 

毎年戻ってくるお金は微々たるものかもしれませんが、生命保険は10年以上の長期契約がほとんどです。生命保険に加入されているのであれば、年末調整時や確定申告時に生命保険料控除を申請することで、長期的に考えて数十万のお金が戻って来る場合があります。面倒でも生命保険料控除の申告は行ってください。

参考:国税庁HP「No.1140 生命保険料控除」

 

新制度と旧制度の住民税控除額

生命保険料控除は住民税でも利用できます。下表は新制度での住民税の控除額です。

年間の支払保険料額 住民税控除額
12,000円以下 支払保険料の全額
12,000円超 32,000円以下 (支払保険料等×1/2)+6,000円
32,000円超 56,000円以下 (支払保険料等×1/4)+14,000円
56,000円超 一律28,000円

 

下表は旧制度での住民税の控除額です。

年間の支払保険料額 住民税控除額
15,000円以下 支払保険料の全額
15,000円超 40,000円以下 (支払保険料等×1/2)+7,500円
40,000円超 70,000円以下 (支払保険料等×1/4)+17,500円
70,000円超 一律35,000円

これらの税率に住民税の税率10%(一律)をかけた金額が実際に負担が軽減される税金の金額です。

例えば、新制度で年間10万円の保険料を支払っている方は控除額が2.8万円です。この金額に住民税の税率10%をかけた金額である2,800円の税金の負担が軽減されます。

新制度で3つの控除を受けた場合の住民税の限度額は7万円、2つの控除を受けた場合の限度額は5.6万円、1つの控除を受けた場合の限度額は2.8万円です。

旧制度で2つの控除を受けた場合の住民税の限度額は7万円、1つの控除を受けた場合の所得税の限度額は3.5万円です。

参考:国税庁HP 税金の負担が軽くなる「生命保険料控除」

 

生命保険料控除手続き

ここからは、生命保険料控除の手続きをご紹介します。

生命保険料控除の手続きはサラリーマンと自営業で異なっています。

 

サラリーマン

サラリーマンの生命保険料控除は、年末調整の時に「給与所得者の保険料控除申告書」に毎年10月~11月に保険会社から送られてくる「命保険料控除証明書」を付けて提出することで手続きが完了します。

年末調整で生命保険料控除手続きができなかった場合は、確定申告で手続きができます。5年間さかのぼって還付の申告ができるので5年以内の手続きが済んでいない方はまだ間に合いますので申告されてください。

 

自営業

自営業の生命保険料控除は確定申告(毎年2月16日~3月15日)で手続きできます。

サラリーマン同様、毎年10月~11月に保険会社から送られてくる「生命保険料控除証明書」を添付して確定申告します。

平成28年から確定申告にはマイナンバーが必要ですので、確定申告を行う際にはマイナンバーをご用意ください。

 

生命保険料控除でどれくらい負担が軽減されるの?

ここでは生命保険料控除で実際どれくらい税金の負担が軽減されるのかをご紹介します。

 

実際軽減される所得税

所得税の税率は5~45%と所得により異なっています。

生命保険料控除額に下表の税率をかけた金額が生命保険料控除で軽減される所得税です。

課税される所得金額 税率
195万円以下 5%
195万円を超え 330万円以下 10%
330万円を超え 695万円以下 20%
695万円を超え 900万円以下 23%
900万円を超え 1,800万円以下 33%
1,800万円を超え4,000万円以下 40%
4,000万円超 50%

例えば、新制度で年間10万円の保険料を支払っている方は控除額が4万円です(前項「新制度と旧制度の控除額」表参照)。この4万円に対してご自身の所得が「330万円を超え695万円以下」の場合は税率20%をかけた金額である「8,000円」が生命保険料控除で軽減される所得税です。サラリーマンは年末調整後にこの金額が還付されます。

ご注意いただきたいのは、年末調整では還付されるだけでなく、扶養家族が減った場合や賞与が高額になった場合に「不足金額の徴収」が行われる点です。

 

実際軽減される住民税

住民税の税率は一律10%です。前項「新制度と旧制度の住民税控除額」で紹介した住民税の控除額に10%をかけた金額が実際に負担が軽減される税金の金額です。

例えば、新制度で年間10万円の保険料を支払っている方は控除額が2.8万円です。この金額に住民税の税率10%をかけた金額である2,800円の税金の負担が軽減されます。

 

生命保険料控除で軽減される実際の金額

年収が330万円~695万円以下の方が新制度で年間10万円の保険料を支払っている場合は、所得税で8,000円、住民税で2,800円、一年間で合計10,800円の税金負担が軽減されます。これが30年続くと32.4万円です。

生命保険は長期間契約が続きます。生命保険料控除は面倒でも毎年申請し、税制上の優遇を受けてください。

 

まとめ

これまで「生命保険料控除ってどういうもの?」「生命保険料控除手続き」「生命保険料控除でどれくらい負担が軽減されるの?」をみてきました。

一年間の節税効果は少ない金額であっても、長期間生命保険に加入することで小さな金額が積み重なり、数十万円になることがわかりました。

生命保険料控除の手続きは難しくないので、サラリーマンの方は年末調整で、自営業の方は確定申告で忘れずに生命保険料控除を申請してください。

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