- 投資信託のリターンはリスクに応じておおむね比例すると考えられる。
- ただ、株式市場そのものの歴史が二百年程度と短く、必ず将来も利益が上がるかは不透明。
- 合理的な資産運用を考えると、株式主体の投資信託がおすすめであると考えられる。
公開日:2019年5月29日
今回は筆者が考える、楽天証券で投資信託を買うならどれがおすすめなのか?について考察し、ランキング形式で5つ挙げてみたいと思います。
※本記事は特定の金融商品の推奨を意図するものではありません。合理的であると考えられるものを理論的に考察したものです。
まず、先に本題のランキングを示します。筆者の考えるベスト5はこちらです。
順位 | 名称 | 持っている間のコスト(信託報酬) | 買う時にかかるコスト(購入時手数料) | 売る時のコスト(信託財産留保額) |
---|---|---|---|---|
1 | ニッセイ外国株式インデックスファンド | 0.11772% | ゼロ | ゼロ |
2 | eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX) | 0.1674% | ゼロ | ゼロ |
3 | SBI・新興国株式インデックス・ファンド | 0.1948% | ゼロ | ゼロ |
4 | SBI・全世界株式インデックスファンド | 0.15% | ゼロ | ゼロ |
5 | 楽天・全米株式インデックス・ファンド | 0.1696% | ゼロ | ゼロ |
コストの各数値は2019年5月13日時点のものです。
それでは、おすすめであると考えられる投資信託の共通の理由を見てみましょう。
なぜ上記3点が重要なのかについては、以下の関連記事に詳しく記していますので、ご一読いただければ幸いです。
それでは少し踏み込んで各々の投資信託の内容を見てみましょう。まずは1位のニッセイ外国株式インデックスファンドです。
投資信託とは入れ物のようなものです。そのため、中に様々な金融商品や各種指標(インデックス)を入れることができます。
指標とは、ここでは市場平均を指しています。市場の平均とは世界中の「賢い専門家たち」が割高なものを売り、割安なものを買った結果です。また、いろいろな情報を織り込んでおり、おおむね適正な株価を反映していると考えられます。
そのため、現代の市場においては、市場平均こそが効率が良いと考えられ、機関投資家や専門家であっても、市場平均を連続して上回ることが難しい、と考えられます。
このニッセイ外国株式インデックスファンドの対象(入れ物の中身)は、日本を除く先進国株式です。
一般的に先進国とは、アメリカ・イギリス・フランスなどの先進国二十数か国の千数百社の株式の平均のようなもの(正確には平均ではありません。以下も同じ)だと思っていただければ分かりやすいかと思います。
いわゆるMSCIコクサイインデックス(日本除く)と呼ばれる「指標(インデックス)」と連動することを目指します。
MSCIというのは、モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナルという企業です。そこが集計・公表している「指標・インデックス」です。
また、MSCIコクサイインデックス(日本除く)と連動することを目指す投資信託であれば、基本的にどれを買っても同じように値動きが推移すると考えられます。
以下のランキングでも中身が同じであれば、名称が違っても同様だと考えられます。もちろん、コストが高いとその分マイナスにかい離すると考えられます。
一概にそうとは言えませんが、統計的に見ると債券よりも株式の方がリターンが高い傾向にあることが知られています。そのため、将来は不透明ですが、期待されるリターンが株式は高いと考えられます。同時にリスク(値動きの幅)も高いです。
また、リスクとリターンはおおむね比例する、と考えられます。年金機構などの想定している期待リターンでも、国内株式よりも外国株式の方が若干高い傾向にあります。
ただ、あくまでも期待されるリターンであり、実際にどうなるかは将来にならないと分かりません。
期待リターン:過去の平均リターンや状況から、将来はこのくらいが期待できるのではないか、というリターンの数値。ただ、よくわからない未来の数字を元にしているので、投資の世界ではあまりあてにならない存在。
第2位はトピックスと連動することを目指す投資信託です。トピックスというのは「東証一部と呼ばれる市場に上場している全ての株式の平均のようなもの」だと思っていただければ分かりやすいでしょうか。
いわゆる国内株式の市場平均と言えば、トピックスを指します。その他にも日経平均株価指数というものもありますが、株式市場のおよそ200程度に分散投資をすると、市場平均と酷似します。
ちなみに、日経平均株価は225社の平均のようなものですので、二千程度に分散してあるトピックスと基本的に同じような値動きをします。このeMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)は、入れ物の中にトピックスという指標が入ったものです。
上記のような疑問を持たれる読者の方もいらっしゃるかもしれません。しかし、長期的に見ると理論の上では、国内の株式でも外国の株式でもリスクに応じてリターンが決まると考えられます。
すなわち、外国の株式市場が魅力的であれば、それはすなわち、それを見越して価格に織り込まれており、やはりリスクに応じたリターンになると考えられます。
ここでのリスクとは値動きの幅(標準偏差)を指しています。ということは、国内の株式であっても同様です。仮に国内に勢いがないとすれば、それはやはり価格に織り込まれていると考えられます。
つまり、国内株式であっても、リスクに応じたリターンが期待できる、と考えられます。もちろんこれは未来のことですので、そうなるとは限りません。
第3位はSBI・新興国株式インデックス・ファンドです。こちらはFTSE エマージング・インデックスと連動することを目指す投資信託です。
FTSEとは、フィッツィーインターナショナルという企業名です。中国やインドといった新興国の株式市場の平均のようなものに連動することを目指します。
可能性はありますが、ここまで見てきましたように、リスクとリターンはおおむね比例すると考えられます。また、新興国株式が有利であれば、それは世界中の投資家がすでに知っていて、価格に織り込まれていると考えられます。
つまり、新興国株式を買っても、リスクに応じたリターン以上のものは得られない、という風に考えられます。また、投資の世界ではリスクと期待リターンのバランス(効率)が良いか悪いかも重要です。
考え方によると思いますが、新興国株式はリスクが大きいわりに期待リターンがそこまで大きくないと考えることもできます。つまり、先進国株式に対して、効率があまりよくない、という見方もできるかもしれません。
おすすめ投資信託の第4位はSBI・新興国株式インデックス・ファンドです。こちらはFTSE グローバル・オールキャップ・インデックスと連動することを目指す投資信託です。
FTSE グローバル・オールキャップ・インデックスとは、ざっくり言いますと世界の株式に分散投資をしている状態です。
組み合わせ比率にもよりますが、ここまでのおすすめ1位2位3位で見てきたような、先進国、日本、新興国に分散投資をしているのと同じような値動きとなります。
これまでの年金機構などの分散投資結果を見てみると、長期的に見ると世界への分散投資は成功しているように感じます。ただ、投資においては、人間の認知的なエラーがつきものです。
認知的なエラー:長期分散投資では安く買って高く売ることが、将来の期待収益率を上げる行為。しかし、人は損失回避的な認知エラーが普通の状態なので、長期分散投資にもかかわらず『損切り』をしてしまい、結果として高く買って安く売ってしまうことがよくあると思われる。
どのように分散投資をしていても、金融危機時になれば大きく基準価額と呼ばれる値段が減少します。慌ててそこで売却をすれば、何を買っていても損をします。投資信託の売り時・買い時については下記記事にて詳しく考察してあります。ご興味のある方はお読みいただければ幸いです。
第5位は楽天・全米株式インデックス・ファンドです。こちらはCRSP USトータル・マーケット・インデックスと連動することを目指す投資信託です。
平たく言うと、アメリカの株式市場の指標と連動することを目指します。ここまで見てきた1位の先進国株式の投資信託や4位の全世界株式の投資信託などでは、大半がアメリカの株式で占められていることがあります。
アメリカ株式市場というのは地球規模で見た場合に非常に規模が大きいのですね。
一国だけに集中投資をするのは、危険な面が付きまといます。
例えば、日本株式で言いますと、1990年前後のバブル期を境に30年が経とうとしていますが、いまだに30年前の水準に戻っていません(もちろん単純に比較はできませんが)。
それはアメリカと言えども例外ではないかもしれません。やはり長期分散投資の面で考えると、一国に集中するのは危険な面もあるかもしれません。
では分散をする……となると、それは1位や4位の状態がすでにその分散された状態である、と言えるでしょう。
今回の記事では楽天証券でおすすめの投資信託について考察してみました。長期分散投資で合理的だと考えられる投資信託を選択した後に、もっとも注意をしなければならないのは、認知的なエラーかもしれません。
長期分散投資ではほぼ確実に大きな金融危機に遭遇し、大きく資産が目減りする時期が来ると思います。
その時に、最後まで信じることのできる投資信託はどのようなものか?なぜそうなのか?それらを理解することが合理的な資産運用に近づく一歩かもしれません。本記事が読者の方の一助になれば幸いです。