- いくら老後資金が必要かは個人差が大きい。
- どうしても目安を求めるなら「4000~5000万円」。
- 老後資金不足がもたらす未来を知ることが第一歩。
公開日:2019年7月17日
こんにちは、婚活FP山本です。金融庁の発表以降、老後資金に関するニュースが本当に増えましたね。それだけ関心のある方が多い表れとも言えますが、専門家として言えば、ちょっと受け取り方が危険なケースも多いように感じます。
いくら老後資金が必要か……準備不足になると大事ですから、ぜひ正しい知識を身につけましょう。今回は、いくら老後資金が必要か、また老後を安心して生活するための基本をお伝えします。あなたの人生に、お役立て下さいませ。
目次
まずは、根本的な老後資金の必要額についてお伝えします。そもそも「いくら老後資金が必要か」は個人差が大きい内容です。たとえ年収が似たような同僚やお隣さんと比べても、その必要額は大きく違ってきます。このため、「自分の場合はいくら必要か」を正確に知ることが大切です。
中には、自分には貯められそうにない額を示す内容なら無視し、「貯金ナシでも大丈夫」といった情報ばかりを求める方もいますね。そう思いたいお気持ちは察するところですが、現実逃避をして後悔するのは自分自身です。
どう転んでも、相応の貯金が必要になるのは冷静に考えれば分かるかと。
ひとまず、「定年時には〇円のお金が必要」は、ファイナンシャル・プランナーなら個別に計算してくれます。必要に応じて専門家の力も借り、まずは自分にとって「正しい情報」を知りましょう。
繰り返しですが、老後資金に必要な金額は個人差が大きく、むしろ汎用的な目安で考えるのは危険です。
そして、ゼロでも大丈夫な人などまずいませんし、中には一億円の貯金があっても破綻の兆候が見える人もいます。こういった人が「私は貯金〇円越えてるから大丈夫」などと考えていたら……。
「自分の場合はいくら老後資金が必要か」を知る事こそが、老後対策での最初の第一歩と言えます。不足したとしても過去には戻れない訳ですから、老後になって人生を後悔するような事が無いよう、早めに知って備え始めましょう。
次に、老後資金の基本的な計算方法をお伝えします。簡単に言えば、老後資金は「年金と日常生活費の差額」×余命年数分という計算が基本です。
これに、例えば介護などの非日常生活費の分を加算して計算します。仮に差額が月10万円、余命が30年なら最低3600万円ですね。
日常生活にいくら必要かは個人差が大きいですし、余命を何歳まで見積もるかも個人差があります。非日常生活費も、人によってリフォームや旅費、趣味や車など「何が必要か」は様々です。
そして何より、「何が起こるか分からない」からこそ、より多めに考えて準備する必要があります。
先般の金融庁の「老後は貯金2000万円分の蓄えが必要」は、こうした計算を統計で行った結果です。闇雲に2000万円を意識するよりも、まずは冷静に「自分の場合はいくらか」を計算してみてはいかがでしょうか。
金融庁の老後2000万円とは、非日常生活費の分を考えていない「差額×年数」のみでの計算結果です。しかも計算時の生活費は、随分と割安で考えられたものでした。
つまり、この2000万円とは「生活費として最低限必要な貯金額」と言えてしまうものかもしれません。
このため仮に2000万円の貯金があっても、いずれ生活が苦しくなる可能性が高いため、とても安心できる貯金額とはいえません。あくまで2000万円は「最初の目標」と考えて、達成したらさらに上回る貯金額を目指して励んでいくことが大切です。
今度は、実際の老後資金の目安についてお伝えします。結論から言えば、サラリーマン夫婦の平均としては「4000~5000万円」が一つの目安です。
これも結局個人差が大きく、これだけあっても足りない方も出てくるでしょうが、金融庁の計算よりは現実的といえます。
なお、この金額は「それまでに自力で蓄えなければならない貯金額」ではありません。例えば退職金を加えてもいいですし、相続財産を加えてもかまいません。
住宅ローンを完済しているなら、以後の住居費分は減らして考えられます。ある程度は柔軟に考えていきましょう。
ちなみに、この貯金額を超えている65歳以上の夫婦は、統計では「2割にも満たない」のが実情です。皆、貯められていない訳ですね。「だからこんなに貯めなくても大丈夫」ではありませんが、2000万円の次は、この4000万円を目安にしてみてはいかがでしょうか。
なお、もっと深く老後資金の金額が知りたい方は以下記事も参考にどうぞ。
貯金不足の場合の対処法として、退職後も働いたり、自営業になったりしようと考える方も多いですが、楽観的に考えるのは危険かもしれません。65歳以上の方の年収は200~300万円程度ですし、独立して自営業になっても95%以上の人が失敗している統計もあります。
そもそも、今は人生100年時代ですが、どう転んでも100歳までは働けません。想像以上に働けなくなる時期が早い可能性もありますし、やはりある程度は老後資金として準備したほうが無難でしょうね。
ここからは、老後資金への対策についてお伝えします。筆者としては、まず「いくら老後資金が必要かを体験する」のがおすすめです。つまり「予定している年金額で実際に生活してみる」訳ですね。
どうにも生活が苦しければ「あといくらあれば生活できるか」が実感でき、それが「いくら老後資金が必要か」に繋がるでしょう。
そもそも、「老後資金に〇円必要」と言われても普通ピンときません。ピンとこないなら、仮に足りなくても何が起こるのか分からず、必死に備えようとも思わないでしょう。資金不足は老後破産という貧困に直結しますが、「貧困になった事がない」なら尚更と言えます。
ならば実際に体験し、老後資金不足がどれだけ深刻なことかを知ることが第一歩です。ちなみに年金額は、年金機構のサイトなどで調べられます。給料との差額は先に貯金し、残額の範囲で一ヶ月生活してみましょう。
あなたは「貧困に陥った自分」を考えられるでしょうか。すでに高齢世帯の4割は老後破産状態とされ、今後も増えていくと予想されています。もはや日本は、一生「安心・安泰が普通」ではありません。現代に安心などなく、備えて改めて手に入れるものと言えます。
しかし、そうとは思えず、未だに未来や老後を楽観的に考えている人も多いのが現実です。貧困を体験してもいいですし、破産した人に会いに行くのも、老後破産を動画で見てみるのもアリといえます。何らかの方法で、まずは老後対策の必要性・重要性をしっかり理解しましょう。
なお、もっと老後破産の現実を知りたい方は以下記事も参考にどうぞ。
次に、「預金以外の資産を持つ」方法もおすすめです。簡単に言えば「投資」ですね。未経験の方からすれば、どうしてもリスクが怖いところでしょうが、賢く利用すれば確かに老後資金準備に役立つ手段です。まずは「投資の勉強」あたりから始めてみてはいかがでしょうか。
ちなみに投資とは、ものにもよりますが10年20年をかけて資産を1.5~2倍にすることを狙うようなイメージです。預金なら丸々4000万円が必要なところ、投資なら2000~3000万円の預金があれば良いことになります。一気に目標達成への近道になりうるのではないでしょうか。
ただ、10年20年の時間がない方には不向きかもしれません。そもそも貯金自体が厳しい方にも不向きです。それでも相応の条件を備えた方なら、ぜひ検討してみることをおすすめします。
投資と聞くと、どうしても身構え、避けたくなる人もいますが、避けたいなら避けてもいいんです。ただ、投資を避けることはできますが、老後資金については避けられません。他の老後資金準備方法もありますが、少なくとも「もっとラクで確実な方法」などありません。
もちろん「貯められなくても大丈夫」は通じません。どう生きるかはあなたの自由ですが、少なくとも「老後破産だけはイヤ」と考えるなら、投資というリスクを取ってでも備えることをおすすめします。
なお、投資の前に貯金で苦戦している方は以下記事も参考にどうぞ。
最後は、老後(資金)対策における重要ポイントをお伝えします。結論から言えば「周囲に惑わされることなく実行していく」ことが重要です。きっとあなたも、昨日までは老後対策にピンとこなくて、周囲の方と同じく未来を楽観的に考えていたのではないでしょうか。
残念ながら、金融庁の発表以降も多くの方はピンときておらず、強めに考えたのは「すでに老後生活に入っている方」という傾向です。
例えるなら老後対策は、周囲が遊んでいる中で一人、勉強に励む学生でしょうか。親、同僚、友人、時には配偶者すら「周囲」かもしれません。
大半の身近な存在は、老後対策において障害とさえ言えますし、味方に引き入れるのも困難です。孤独な戦いになるでしょうが、最後には笑えるよう、がんばっていきましょう。
少しダークな発想ですが、人間は「人と比べてこそ」価値を感じます。非正規労働の方が傍にいたら、正社員というだけで優越感に浸れるでしょう。周囲が老後破産に喘ぐ中、あなただけは安心して生活できたら……?特に贅沢しなくても、それだけで強烈な幸福感を得られる毎日でしょうね。
老後対策は、目先のラクを求めるものではなく、むしろ未来のために目先は苦労します。しかし、苦労した分だけ最後に報われるのが老後対策です。生涯を安心して暮らすために、少しずつできるところから備え始めましょう。
老後資金は「いくらあれば大丈夫か」よりも「いくらでも必要」と考えるべきお金です。いくらあっても絶対大丈夫とは言えませんからね。
ただ、備えた分だけ安心できるのは絶対です。多くの人が破産していく中、自分だけは安心して生涯暮らすため、少しずつ準備に励んでいきましょう。
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