- 仕事を辞める前に支払いを計算しておく事が最善の対処法。
- 退職理由によって減免や免除もある。
- 納税はほぼ必須なので、前もって準備は大事。
公開日:2019年12月13日
税金が支払えない!そんな時どうしたらいいのか?という事に今回はお答えする記事になっています。退職してゆっくりしたい時は誰でもあります。しかし、税金だけは、待ったなしで請求がやってきます。
収入が無いのに、どうやって支払うんだ!とお考えの方、先々ゆっくりしようかなと思う方は是非ご一読下さい。
まず先に仕組みから解説していきます。そもそも住民税は何の税金なのか?いつ納税したらいいのか?そこから解説しますね。
住民税は国民なら殆どの方が納めている税金ですが、分類として「地方税」に該当します。この地方税とは何なのかという事ですが、皆さんの生活サービスに使用される税金になります。
具体的には警察、消防、救急等、治安維持や災害防止、医療福祉等に使われたり、日頃出るゴミの収集や学校、図書館等公共のサービスを維持する為に納める税金です。
これらサービスは皆さんの税金で賄われており、皆さんが納める住民税は1月1日時点で住民票の置いてある自治体に納税する事になります。つまりお住いの地域サービスはご自身の税金で一部が賄われているという事ですね。
この場合では、1月2日に引越して住民票が変わったとしても1月1日時点のお住いの自治体に納付する事になります。
では住民税はどの様にして個人の納税額が決まるのでしょうか。これは前年の所得に応じて計算される仕組みの「所得割額」と一律に課税される「均等割額」の合算で住民税と呼ばれます。
また納める先は「都道府県」と「市区町村」になり一覧にしたものが次の表です。
市町村民税 | 都道府県民税 | 合計 | |
---|---|---|---|
所得割 | 6% | 4% | 10% |
均等割 | 3,500円 | 1,500円 | 5,000円 |
所得割にかかる税率は全国平均で約10%となっています。内訳として都道府県民税が4%、市区町村民税が6%となっています。(平成30年度から政令指定都市では県民税2%市民税8%と割合が変更になっています)
先程解説した住民税ですが、いつ請求がやって来るのかという事について解説します。まずはこちらの図をご確認下さい。
この様に前年の所得を計算した後にその年の6月に請求がやってきます。この段階でお勤めをされていればお給料からの天引きで住民税を納税する形となります。
退職していれば自治体から「納付書」という書類が送られてくる事になります。今回は退職をした方向けの記事になりますので、納付書に関して後程詳しく解説します。
住民税は前年の所得によって計算されると解説しましたが、所得を計算する際に必ず「控除」が発生します。この控除をどれだけ使えるかという事が住民税を抑えるポイントの一つでもあります。参考までに控除項目を纏めましたので次の表をご覧ください。
控除 |
---|
社会保険料控除 |
医療費控除 |
雑損控除 |
小規模企業共済等掛金控除 |
控除 | 所得税 | 住民税 |
---|---|---|
基礎控除 | 38万円 | 33万円 |
配偶者控除 | 38万円 | 33万円 |
配偶者特別控除 | 38万円 | 33万円 |
扶養控除 | 38万円 | 33万円 |
勤労学生控除 | 27万円 | 26万円 |
障害者控除 | 27万円 | 26万円 |
寡婦・寡夫控除 | 27万円 | 26万円 |
生命保険料控除 | 最大12万円 | 最大7万円 |
地震保険料控除 | 5万円 | 2万5000円 |
寄附金控除 | 控除対象の寄付金額は 総所得の40%まで |
控除対象の寄付金額は 総所得の30%まで |
ここから納付書に関して解説していきます。住民税を納める場合この納付書と呼ばれる払込用紙を使用し納税します。
お住いの自治体から6月に届きますが、納付期限が6月、8月、10月、1月と4期に分かれ4枚ほど入っています。つまり4回に分けて住民税を支払って下さいという事です。
4回に分けなくても6月に一括で納めても良いですし、6月を納め、8月、10月を纏めても問題ありません。重要なのは納付期限までに納める事が大事です。
納付書に関連してもう一つ。個人事業主などの確定申告を必要とする方の全ては納付書が送られてきます。企業に勤務していませんので、給与天引きという考え方が無いからです。
この場合所得税の計算過程で一緒に住民税まで計算される事になり、税務署へ提出した納税のデータが各自治体に送られ、納付書が届く仕組みになります。独立開業した方等は憶えておいて下さいね。
さて今回の話の本題に入りますが、納付書が届きましたが支払いが困難な場合どの様にしたらいいのでしょうか?納税は義務になっていますよね。こればかりは避ける事ができません。ここからはそんな時の対処法について解説を進めていきます。
対処法をお伝えする前に、想定される納税が困難なケースを挙げてみました。このケースは私の所に相談にお見えになった方の事例も含みます。
以上が相談含めて想定されるケースでしょう。
ここで思い返して頂きたいのが冒頭の図です。住民税は昨年の所得に応じて計算された金額を今年支払うという税金です。分かりやすく言うと「後払い」になりますよね。この事が後々支払いが難しくさせる要因になっています。
今までは何も気にせず給料から天引きされていましたが、そのお金は昨年計算された住民税です。収入がある以上来年の支払いは確定してしまっています。
ですので、先程のケースを当てはめた時に考えられる対処法の一つとして、「退職を意識した時には納税を意識しておく」事が重要だと言えます。
想定のケースでは全て「預貯金が無い」事を前提に書いています。ある程度の蓄えがあれば支払いは可能な金額であると言えます。
参考までに下記の条件で住民税の金額がいくらになるか、ざっくり試算してみました。
上記のケースでは住民税が年間152,500円という試算結果になりました。この金額を納める貯蓄があれば退職した後でも問題はありません。また4期に分かれた場合単純に38,125円になります。
収入が無い場合の支払いはどうしてもきつい為、退職後の試算はある程度予測を立てておいた方が良いでしょう。
お住いの地域や家庭状況、年収を変更し同じように試算しました。参考になればと思います。
ご覧の様に年収が高ければ高いほど住民税も高額になりますので、退職の検討は慎重に行って下さいね。
事例としてですが、退職して翌年が無職だった場合について解説します。前述しましたが、納税は待ったなしでやってきます。無職だからといって非課税になる事はありません。
非課税になるケースは過去の記事に詳しく書いていますので、そちらをご覧ください。
非課税とまではいかないにしても、住民税が減額になるケースがありますので、少し触れておきます。以下の様な事情の方は住民税が減額や免除されます。
退職の理由によっては減額される事もありますので、まずは役場に相談しましょう。
もしも支払えない場合は必ず役場に相談しましょう。これが唯一の対処法です。なぜなら、支払いを無視すると最悪差押えなどになってしまうからです。
では役場でどのような事を伝えるかと言いますと、ありのままをお話して分割で納めさせて貰える様に伝えましょう。
最長でも2年間の分割は可能ですが、仮に直ぐに職が見つかった場合、来年の住民税に分割が上乗せとなりますので、気を付けておいて下さい。いずれにせよ支払いの意思を示す事が最も重要です。
今回は無職になってしまった方向けの記事でした。注意すべきは前年度所得のある方です。翌年に大きな支払いがやってきます。
また分割で支払いを行う場合も伸ばし過ぎては延滞税がかかりますので、退職も計画的にお考え頂くのが重要な対処法だと言えます。