- iDeCo(イデコ)では、人によっては安全資産(元本確保型の預貯金タイプ)も重要。
- iDeCo(イデコ)でも、金融商品は組み合わせることによって、お互いのリスク(値動きの幅)を下げることができる。
- iDeCo(イデコ)口座で投資信託を選ぶ際は、組み合わせにも注意を払う。
公開日:2019年2月5日
目次
本記事では、マネックス証券でiDeCo(イデコ)を行うなら、どの商品がおすすめか?について考察します。
※本記事でのおすすめ商品とは、理論上「マシな投資信託」のことです。おすすめ商品は「運用成績が市場平均よりも良い」わけでも、「ずっと運用成績が良い」わけでもありません。また、現実にも「ずっと運用成績が良い」金融商品はありません。
※本記事は、個別の銘柄に言及していますが、何かしらの勧誘・斡旋・推奨を促すものではありません。合理的な投資を考察することが本旨です。
投資信託:様々な金融商品が袋詰めされたような金融商品。分散投資に便利。ただし、理論上「マシでない」と考えられるモノは、全体の95~99%くらいを占める、とも言われている。
市場平均:ザックリ言うと、株式市場などの市場の平均のこと。
日常生活では「平均はプロが頑張れば超えられる存在」のようなイメージ。しかし、投資の世界では市場のおよそ9割はプロ(金融機関等のおりこうさん)によって占められています。よって投資の世界では「平均はプロが頑張った結果の集大成」となります。
ゆえに「プロがいくら頑張っても連続して市場平均を上回ることはできない」となります。また、進化したAIや天才数学者が現れても、それは優れているほど「おりこうさんたち」によって模倣され、結果として「市場平均がより効率的になるだけ」です。
今後も、どこまで行っても長期で見れば市場平均こそが合理的な投資対象となりうると考えられます。
なお、そもそもiDeCo(イデコ)について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
マネックス証券のiDeCo(イデコ)ラインナップには、「みずほDC定期預金(1年)」がありますが、こちらは元本確保型です。イメージ的に従来の預貯金とほぼ同様です。たいていの金融機関でのiDeCo(イデコ)ラインナップにはこの元本確保型が入っています。
元本確保型でも所得税控除などのメリットはありますが、ローリスクなので、ローリターンです。現状では金利が低いので、ほとんど増えません。
ただ、絶対にお金を減らしたくない方にとっては重要な商品です。また、少し難しい話になりますが、金融商品の組み合わせ(ポートフォリオ)全体のリスクをコントロールする際にも重要な存在です。
ローリスク・ローリターン:金融商品では、リスクとリターンはおおむね比例する、と考えられる。そのため、ある程度のリターンを望む場合は、ある程度のリスクを背負わないといけない。
ちなみに、投資のリスクとは「危険」ではなく、「リターンの振れ幅(プラスもマイナスも含む)=値段の振れ幅」を意味します。投資効率の悪い場合には、期待されるリターンが低いが、コストが高く、儲かりにくい状態になっていることもあります。
ポートフォリオ:金融商品の組み合わせのこと。
例えば株式100%の組み合わせで組むと、(人によりますが)リスクが高すぎる場合、リスク(値動きの幅)のない元本確保型の預貯金などを組み入れることで、リスク(値動きの幅)のコントロールがしやすくなります。
イメージとしては、カルピスの原液(株式)を、自分好みの飲みやすさに水(預貯金)で割るようなもの。投資というと株式・債券・不動産などだけをイメージしますが、預貯金も重要な役割を果たします。
マネックス証券のiDeCo(イデコ)ラインナップは以下のようになっています(前述の元本確保型は除く)。合計で投資信託は24本ありました。かなり多いと感じます。
それでは、見極めポイントに沿って理論上「マシな」投資信託を見てみましょう。ポイントは次の2つでした。
重要なのは「なぜ」そうなのか?という点です。ここが分かっていませんと、何を買っても値下がりした場合に「これはダメだった。・・・損切りしよう」となります。
現実問題として、どの投資信託を買っても、いつか必ず値下がり(損)します。永遠に運用成績が良い投資信託はありません。そのため、値下がりするたびに売っていては、どんどん資産が小さくなります。重要なのは「なぜ」です。
損切り:一般的に買った金融商品が買った時の値段(参照点)より下がった場合に、これ以上損失が広がらないようにする行為。これは「投機的」な場合は、正しい行為。しかし、「長期分散投資」においては、単純に「高く買ったものを、安く売る」という損をする行為である。
投資で重要なのは「安く買って、高く売る」ということ。そして、市場はランダム・ウォーカーなので、株価などの値段は誰にも読めません。
統計的なデータを見ると「積み立て投資」こそが「多くの人にとって」合理的な投資方法になる、と考えられます。当然、iDeCo(イデコ)は積み立て投資が基本です。
長期分散投資においては非常に重要な考え方ですので、ご興味のある方は下記関連記事をご覧いただければ幸いです。
上記2つのポイントで絞りますと、こうなりました。
ここで重要なのは、どの資産クラスをどれだけの割合で、毎月積み立てていくか?です。
ありがちなこととして、国内株式の3種類を積み立てることがあります。気持ちとしては「国内株式は安全そうだから、それを3種類にも分散(※注1)していれば、良いでしょう」という思いがあるのかもしれません。
(※注1)分散:投資対象を分散することで、リスク(値動きの幅)が下がるというのが現代投資理論の重要な考え方の一つ。もちろん、インデックス型投資信託の中で国内株式に関しては十分に分散投資されています。この場合の不十分とは、資産全体で見た場合に分散が不十分、という意味合いです。
しかし、同じ国内株式を買っても、それほど分散効果によるリスク低減効果がありません。日々の食事に例えると、「ご飯を盛ったお茶碗が食卓に3つ並んでいる」状態です。とてもバランスが悪いです。炭水化物ばかりで分散できていません。
組み合わせを考える場合は、日々の食事のように「ごはん・おかず・味噌汁・サラダ」のように、異なるもの(資産クラス)を組み合わせることが重要です。それは、組み合わせることで、資産クラスの分散が行われ、「ちょっと良いこと」が誰にでも起こるからです。
ちょっと良いこと:投資では「期待されるリターンが同じなら、リスクが低い方がより良い」と考えることが一般的。
分散投資の基本的な考え方として、異なる値動きの金融商品を組み合わせると、期待されるリターンは平均に落ち着くが、リスクは平均よりも小さくなる、という「ちょっと良いこと」が起こります。そのため、分散投資が大切と考えられます。
ここで重要なのは、「完全に値動きが異なっていなくても、少し異なっていてもいいことが起こる」ということ。例えば、同じ株式クラスでも、国内株式と外国株式に資金を分散すると「ちょっと良いこと」が起こります。
資産クラスの異なるものを、自分のリスク許容度の範囲内で組み、その中で期待リターンが高い組み合わせになるように考えるのが基本。
筆者がマネックス証券でiDeCo(イデコ)口座を開いて積み立てるなら、この組み合わせを選びます。例によりまして、組み合わせは人それぞれです。
この組み合わせは執筆時点の筆者用です。最悪の場合、資産が半分以下に減ります。
大切なのは、自分に合った組み合わせにして、長期間積み立てることです。悪くなるたびに「損切り」していては、資産形成は大変に難しいものになります。
資産クラス | 名称 | 比率例① | 比率例② |
---|---|---|---|
国内株式 | DIAM DC 国内株式インデックスファンド | 40% | 35% |
国内債券 | 三菱UFJ 国内債券インデックスファンド(確定拠出年金) | 0% | 5% |
先進国株式 | eMAXIS Slim 先進国株式インデックス | 60% | 55% |
先進国債券 | たわらノーロード 先進国債券<為替ヘッジあり> | 0% | 5% |
今回は、マネックス証券のiDeCo(イデコ)口座での理論上のおすすめ商品を考察しました。長期分散投資では、スタートが少し遅れたくらいでは、大きな差にはなりません。時間のある時に、じっくりと考えると良いかもしれません。