- 確定申告の期限は原則3月15日まで。
- 還付申告の申告期間は例外として5年間。
- 申告は税務署窓口・郵送・インターネットから行える。
- 申告には確定申告書・必要に応じた証明書類・本人確認書類・印鑑。
- 申告書類の作成はツールの活用がポイント。
公開日:2019年11月22日
この記事では、確定申告はいつまでにどこで行えばいいのか・どのようなものが必要なのかを詳しく解説します。初めての確定申告で失敗しないためにも、疑問を解消しておきましょう。
確定申告は所得と税金を自分で計算し、申告・納税を行う手続きのことです。個人であれば暦年(1月1日から12月31日まで)単位で行います。
所得がある人は確定申告による納税が原則ですが、会社員など給与から所得税や住民税が源泉徴収される人は、通常は年末調整だけで税金に関する手続きが済みます。
ただし、副業で20万円以上稼いだ人、住宅を購入して初めて住宅ローン控除の適用を受ける人など、次のようなケースに該当する人は確定申告が必要です。また年末調整で申告を忘れた控除なども確定申告をすれば適用を受けられます。
ふるさと納税は年末調整では適用を受けれない寄附金控除の一種ですが、寄付先が5自治体以内であれば、確定申告をしないで利用できる【ワンストップ特例】の仕組みがあります。
確定申告には【青色申告】と【白色申告】があります。青色申告を利用しない(できない)人はすべて白色申告となります。
青色申告とは、複式簿記による一定水準を満たした記帳を行い、その記帳に基づいて正しく申告を行う人が優遇される制度のこと。【不動産所得】【事業所得】【山林所得】があり、青色申告適用の申請をした人のみが利用できます。
副業による収入があっても税務署に事業と認められなければ雑所得に該当し、青色申告をすることはできません。事業に該当するかは「安定して継続的に一定の所得があるか」をもとに判断されますが、明確な基準はありません。
事業所得としたほうが給与所得との損益通算などのメリットがありますが、事業といえないものを事業所得として申告すると、税務署から修正申告を求められることもあります。税務署にあらかじめ相談した上でどの所得とするか決めるのが確実でしょう。
青色申告を行うには、要件を満たした上で納税地の税務署へ【青色申告承認申請書】を提出しなければなりません。
提出期限は適用を受けようとする最初の年の3月15日(新規開業の場合は開業から2カ月以内)まで。確定申告の時期になってからでは遅く、その年に青色申告は行えません。
青色申告を行う場合には一定額の控除や、家族に支払った給与を経費とできるなど、次のような特典があります。
65万円または10万円の所得控除。控除額は、不動産所得または事業所得を生ずる事業を営む人が正規簿記(複式簿記)により記帳し、その記帳に基づき作成した貸借対照表・損益計算書を添付して、期限内に確定申告を行った場合には原則65万円、それ以外の場合には10万円。
青色申告者の事業に専ら従事する、15歳以上の生計を一にする配偶者やその他親族に支払った給与のうち、事前に届け出た金額の範囲内で適正な金額を必要経費に算入できる。
事業所得を生ずる事業を営む人が計上した貸倒引当金のうち、一定割合を必要経費とできる。
損益通算をしても控除しきれない損失(純損失)が生じた場合、翌年以後3年間損失を繰り越せる。前年も青色申告をしていれば、損失を前年に繰り戻して前年分の所得税の還付を受けることもできる。
青色申告を行う場合に専業専従者として給与の支払いを受けた人、白色申告を行う場合に事業専従者となった人は扶養控除の対象となりません。
扶養控除の適用を受ける場合と専従者給与を経費とする場合、どちらが有利かを比較した上で有利なほうを選択し、重複して申告しないよう注意しましょう。
所得税の確定申告を行うと、税務署から地方公共団体(都道府県・市町村)へ情報が共有されます。これにより住民税や事業税の申告が済むため、改めて申告する必要はありません。
所得税(復興特別所得税・贈与税)の確定申告期間は原則翌年2月16日から3月15日まで
それぞれの日が土曜日・日曜日・祝日・休日にあたる場合には翌日に読みかえます。2019年分の確定申告は、2020年2月16日と3月15日がともに日曜日であるため、2020年2月17日から3月16日までが申告期間となります。
郵送により申告書を提出する場合、消印の日付が提出日となります。
この期間内であれば申告書を再度提出して申告をやり直すことができ、最後に提出した申告書の内容で申告が確定します。
申告期間後に間違いに気付いた場合には、更正請求(税額を実際より多く申告していた場合)や修正申告(税額を実際より少なく申告していた場合)が必要となります。
修正申告は税務署の調査を受けてから行う場合、過少申告加算税(または重加算税)や延滞税のペナルティを受けます。
住宅ローン控除や医療費控除の適用を受けるための申告など、いわゆる「還付申告」は納税者の任意であり、翌年の1月1日から5年間はいつでも行えます。
法定期限内に申告しなかった場合、本来納めるべき税額に加え、ペナルティとして無申告加算税が課されることもあります。
無申告加算税 | |
---|---|
法定期限から1カ月以内に自主的に申告し、期限内申告をする意思があったと認められる場合(*1) | 課されない |
税務署の調査を受ける前に自主的に申告した場合 | 納付すべき税額の5% |
税務署から調査の事前通知を受け自主的に申告した場合 | 納付すべき税額の10%(50万円を超える部分は15%) |
税務署の調査を受け、所得金額の決定を受けた場合 | 納付すべき税額の15%(50万円を超える部分は20%) |
(*1)期限内申告をする意思があったと認められるための要件(次の(1)(2)いずれにも該当する場合)
(1)その期限後申告に係る納付すべき税額の全額を法定納期限(口座振替納付の手続をした場合は期限後申告書を提出した日)までに納付していること。
(2)その期限後申告書を提出した日の前日から起算して5年前までの間に、無申告加算税又は重加算税を課されたことがなく、かつ、期限内申告をする意思があったと認められる場合の無申告加算税の不適用を受けていないこと。
出典:国税庁
申告期間の末日は所得税および復興特別所得税、贈与税の法定納期限でもあり、この日までに納税を済ませる必要があります。納期限(*2)までに納付できなければ、納期限から納付日までの延滞税が発生します。
延滞税 | |
---|---|
納期限(*2)の翌日から2カ月を経過する日まで | 「年7.3%」または「特例基準割合+1%」 いずれか低い割合 |
(参考)2018年1月1日〜2019年12月31日までの期間 年2.6% |
|
納期限(*2)の翌日から2カ月を経過した日以後 | 「年14.6%」または「特例基準割合+7.3%」 いずれか低い割合 |
(参考)2018年1月1日〜2019年12月31日までの期間 年8.9% |
(*2)期限内申告の場合:法定納期限、期限申告または修正申告の場合:申告書の提出日、更生・決定の場合:更生通知書を発した日から1カ月後の日
確定申告は必要な書類を税務署の窓口に直接持参して提出するほか、郵送やe-Tax(国税電子申告・納税システム)を用いた電子申告によって行います。
確定申告書は税務署や確定申告会場、市区町村の担当窓口などで入手できるほか、国税庁のホームページからダウンロードして印刷できます。
申告書は手書きでも作成できますが、国税庁ホームページの「確定申告書作成コーナー」から作成すると計算の手間や書き間違いなどがなく便利です。
作成した申告書は印刷して提出するほか、e-Taxを利用してデータのまま送信して申告することもできます。税務署の窓口は確定申告期間中かなり混み合うため、申告書等の提出は郵送やe-Taxを利用したほうがスムーズです。
とはいえ窓口では申告書の作成や記入について相談できたり、その場で内容を確認してもらえたりするメリットもあります。
相談や確認などは申告期間外でも応じてもらえるため、できれば申告期間前までに済ませておくとよいでしょう。税務署の窓口は、祝日を除く平日の8時30分から17時まで開いています。
納税は次のような方法で、納期限までに行います。詳細については国税庁ホームページまたは税務署で確認できます。
確定申告には確定申告書のほか、本人確認書類や印鑑、所得額や控除対象額を証明するための書類などが必要です。
あらかじめ自宅等で申告書を作成して窓口で申告を行う場合、当日は申告書と添付または提示が必要な書類を持参します。書類不備の訂正が必要となった場合に備えて申告書に押印した印鑑も持参するとよいでしょう。
確定申告書は各種所得額や控除額の内訳、税額・還付額などを計算した結果を記載した確定申告における最重要書類です。申告書には【確定申告書A】と【確定申告書B】の2種類あり、申告する所得の種類に応じて使い分けます。
確定申告書A・Bにはそれぞれ第一表と第二表があり、別表として第三表〜第五表があります。第一表と第二表は必須、第三表〜第五表は必要な場合のみ作成して提出します。
申告内容 | 作成・提出が必要な申告書 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
申告書A | 申告書B | 別表 | ||||||
分離 | 損失 | 修正 | ||||||
一表 | 二表 | 一表 | 二表 | 三表 | 四表 | 五表 | ||
(一) | (二) | |||||||
給与所得、雑所得(公的年金等を含む)、配当所得、一時所得のみを申告する場合 (予定納税額、臨時所得・変動所得の平均課税適用があれば申告書Bを使用) |
○ | ○ | ||||||
所得の種類によらず、すべての申告に対応 | ○ | ○ | ||||||
分離課税の所得(土地建物の譲渡所得、株式等の譲渡所得、先物取引の雑所得等)、山林所得、退職所得を申告する場合 | ○ | ○ | ○ | |||||
損失申告(所得金額の赤字(純損失)の繰越)を行う場合 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
修正申告を行う場合(総合課税のみ) | ○ | ○ | ||||||
修正申告を行う場合(分離課税所得がある場合) | ○ | ○ | ○ |
出典:国税庁
出典:国税庁
出典:国税庁
出典:国税庁
出典:国税庁
出典:国税庁
出典:国税庁
出典:国税庁
本人による申告であることを確認するため、本人確認書類と番号(マイナンバー)確認書類、印鑑(印章)が必要となります。次の書類の【写し】を申告書に添付するか、窓口での申告の際に【原本】を提示します。
マイナンバーカードがあれば、写真付き身元確認書類と番号確認書類、両方の役割を果たすため1枚でOKです。
印鑑は認印でも構いませんが、朱肉を使うものでなければならず、ゴム印やシヤチハタなどは認められません。預貯金口座から振替による納付を希望する場合には、金融機関の届出印と口座番号のわかるもの(キャッシュカードや通帳など)も必要です。
申告書に記載した収入金額が正しいことを証明するため、申告する所得種類に応じて次のような書類が必要です。
2019年4月1日以後、源泉徴収票を含む次の書類の申告書への添付や提示、保管が不要となっています。
これらの書類の添付や保管不要ですが、申告書を作成するために重要な書類であることにかわりありません。少なくとも確定申告が終わるまでは大切に保管しておきましょう。税務署に出向いて申告書を作成する際は、これらの書類を持参する必要があります。
申告書に記載した控除額(所得から差し引かれる金額)が正しいことを証明するため、適用を受けようとする控除に応じて次のような書類が必要です。
e-Taxを利用して申告を行う場合には、医療費控除のための医療費の領収書や生命保険料控除証明書など、一定の書類については申告書への添付や窓口での提示を省略できます。
これらの書類は、原則法定申告期限から5年間保管しなければならず、後日税務署から提出・提示を求められた場合には応じる必要があります。
求めに応じられなければ申告の際に提出・提示がなかったものとみなされ、遡って控除の適用を受けられなくなってしまうため注意しましょう。
確定申告は所得額や控除額を確認するための書類を揃え、それをもとに確定申告書を作成して行うのが基本。確定申告書の作成に必要な情報は国税庁の【確定申告の特設サイト】でも公開されており、【確定申告書作成コーナー】から手順に沿って入力すれば作成できます。
事業所得などがある場合には帳簿や決算書・収支内訳書の作成が必要ですが、それも会計ソフトを使えば簿記などの知識がなくても作成できます。
このようなツールや税務署の相談窓口など活用して確定申告を楽に乗り切りましょう。
今回は確定申告について解説してきました。主なポイントは以下です。
確定申告の期限や手続き方法・必要な書類などを確認し、スムーズに申告できるよう備えておきましょう。
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確定申告のやり方がわかない方も心配ありません。ステップに沿って質問に答えるだけで確定申告書類を作成してくれます。