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【確定申告】サラリーマンでも必要な場合とは?条件&手続きの流れをFPが解説!

【確定申告】サラリーマンでも必要な場合とは?条件&手続きの流れをFPが解説!

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竹国 弘城

竹国 弘城

RAPPORT Consulting Office 代表、1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP(R)、証券外務員一種

証券会社、生損保代理店での勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。より多くの方がお金について自ら考え行動できるよう、お金に関するコンサルティング業務や執筆業務などを行う。ミニマリストでもあり、ミニマリズムとマネープランニングを融合したシンプルで豊かな暮らしを提案している。RAPPORT Consulting Office 代表。1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP(R)。

この記事のポイント

  • 申告すべき所得があれば確定申告をしなけばならない。
  • 控除を受けられる場合や損失の繰り越しができる場合などは確定申告をしたほうがよい。
  • 申告は「確定申告書等作成コーナー」から申告書を作成し、税務署に提出して行う。

この記事は約11分で読めます。

サラリーマンのほとんどは確定申告を行なっていません。その理由は、源泉徴収と年末調整によって会社が所得の申告と納税の手続きを代わりに行なっているから。裏を返せば、年末調整の対象とならない所得がある場合は、サラリーマンであっても確定申告をしなければなりません。

また自分で申告しなければ適用を受けられない控除もあります。それは具体的にどのようものなのか、その条件や申告のやり方や流れについて解説します。

 

サラリーマンでも年末調整されていない所得がある人は(原則)確定申告を「しなければならない」

サラリーマンでも年末調整されていない所得がある人は(原則)確定申告を「しなければならない」

年末調整されていない所得がある人は、原則通り確定申告を行い納税する義務があります

 

サラリーマンでも確定申告が必要な場合(確定申告をする義務がある人)

サラリーマンでも確定申告をしなればならないのは次のような人です。

  • 年間給与が2,000万円を超える人
  • 2カ所以上から給与を受け取っている人
  • 副業や家賃収入などで年間20万円以上の所得がある人
  • 給与支払いの際に所得税等を源泉徴収されない人
  • 災害減免法により所得税等の源泉徴収額の徴収猶予・還付を受けた人
  • 同族会社の役員やその親族で、その会社から給与以外に貸付金利子や賃貸料などを受け取った人
  • 証券会社の「一般口座」や「源泉徴収なしの特定口座」で取引し利益のある人

 

確定申告が必要な場合の金額や条件は?

確定申告が必要な場合の金額や条件は?

年間給与が2,000万円を超える人

年間給与が2,000万円を超える人は年末調整の対象とならないため、給与以外の所得がなくても確定申告をしなければなりません。

 

2カ所以上から給与を受け取っている人

年末調整は1つの会社(本業の会社)でしか行えないため、年末調整を行う会社以外から給与を受け取っている場合には原則確定申告をしなければなりません。

 

副業や家賃収入などで年間20万円以上の所得がある人

副業で稼いだ収入や賃貸物件からの家賃収入は年末調整の対象とならないため、これらの所得(収入からその収入を得るための経費を差し引いた利益)があれば原則確定申告をしなければなりません。

 

副業収入(給与所得・事業所得・雑所得)

本業以外の会社に雇用されて受け取る給料(給与所得)、原稿の執筆料や講演料・相談料、アフィリエイト収入、ネットオークションの販売収入(事業所得・雑所得)など個人で得た所得があれば、原則確定申告が必要です。

 

事業所得と雑所得の違い

会社に雇用されず受け取った収入は、事業所得または雑所得となります。いずれも所得を計算する際に、収入からその収入を得るためにかかった経費を差し引ける点は共通しています。一方で事業所得には雑所得にはない次のような仕組みがあり、税金面では有利です。

  • 給与所得などと損益通算できる(事業所得の赤字を給与所得から差し引ける)
  • 青色申告特別控除の適用を受けられる(青色申告を行う場合・最高65万円*1または10万円)
  • 専従者給与を経費にできる
  • 純損失の繰越し・繰戻しができる(青色申告を行う場合・事業所得の損失を(1)翌年以降3年間繰越して所得から控除、(2)前年の所得から差し引いて税金の還付を受けられる)
  • 少額減価償却資産の特例(青色申告を行う場合・30万円未満の減価償却資産*2をその年にすべて経費にできる)

(*1)2020(令和2)年分の申告からは最高55万円。e-Taxによ電子申告または帳簿を電子データで保存する人は引き続き65万円の控除を受けられる。

(*2)事業などの業務に用いられる建物や機械・器具、備品、車両などの資産。

 

事業所得と認められる基準

事業所得と認められるかは、次のような基準を目安に判断されます。

  • 自己の責任(危険・計算)で独立して行うものか
  • 営利を目的に有償で行われるものか
  • 反復継続して行われるものか
  • 事業としての社会的地位が認められるものか

これらの基準を満たしていない場合には事業所得と認められず、事業所得として申告した場合には税務署から修正を求められます。自分では判断が難しいケースも多いため、税務署に事前に確認した上で申告するのが確実です。

 

家賃収入(不動産所得・事業所得・雑所得)

所有する賃貸物件などから家賃収入(賃貸収入)を得ている人も原則確定申告をしなければなりません。

 

事業的規模であれば65万円の青色申告特別控除を受けられる

不動産の貸付けを事業的規模で行なっている人は、青色申告を行う場合、最高65万円の青色申告特別控除を受けられます。事業的規模であるかは一般的に「5棟10室基準*3」で判断され、事業的規模でない場合の控除額は最高10万円となります。

(*3)戸建の場合5棟以上、マンション・アパートの場合10室以上の貸付け

 

食事の提供などを行う場合には事業所得

食事の提供も行う寮や社宅などの場合には、事業所得(規模が小さい場合には雑所得)となります。

 

サラリーマンでも納めすぎた税金が戻ってくる人は確定申告を「したほうがよい」

サラリーマンでも納めすぎた税金が戻ってくる人は確定申告を「したほうがよい」

確定申告により納めすぎた税金が戻ってくる人は、確定申告はしなくてもよい(任意)ですが、したほうが税金面で有利になります。

  • 年末調整の対象とならない控除の適用を受けられる人
  • 年末調整で申告していない控除のある人
  • 住宅ローン控除の適用を受ける人
  • 投資で損失が出た人
  • 上場株式等の配当金を申告分離課税または総合課税としたほうが有利な人
  • 退職金受取時に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない人

 

 

年末調整の対象とならない控除を受けられる人

年末調整で適用を受けられない「医療費控除」「寄附金控除」「雑損控除」の3つの控除を受けるには確定申告が必要です。

 

年末調整で申告していない控除のある人

年末調整で適用を受けられる控除を申告し忘れた人、あるいは申告が間に合わなかった人は、確定申告をすることで控除を受けられます。

 

住宅ローン控除を受ける人

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を受けるには確定申告をする必要があります。年末調整の対象となるサラリーマンの人であれば、2年目以降は年末調整で控除を受けられます。

 

投資で損失が出た人

源泉徴収ありの特定口座であれば、利益から税金が源泉徴収されるため基本的に確定申告は不要です。ただし損失が出た場合、確定申告をすれば損失の翌年以降への繰り越しや他の口座の利益と損失を相殺(損益通算)することができます。

 

上場株式等の配当金を申告分離課税または総合課税としたほうが有利な人

上場株式等への配当金は、受取時に源泉徴収(一律20.315%)を選択すれば確定申告を行う必要はありません。ただし、上場株式等の取引での損失との相殺を行う場合や配当所得控除を適用したほうが有利な場合には確定申告をするメリットがあります。

 

他の口座と損益通算を行う場合(申告分離課税を選択)

確定申告を行って配当金を「申告分離課税」とした場合、配当金と上場株式等の損失を相殺(損益通算)できます。損益通算によって損失分だけ課税所得が減り、税金が安くります。

同じ証券会社等の特定口座内であれば自動的に損益通算が行われるため、損益通算のための確定申告は不要です。

 

配当所得控除の適用を受ける場合(総合課税を選択)

確定申告を行って配当金を「総合課税」とした場合、配当所得を給与所得など他の所得と合算した上で、課税所得金額に応じて5%〜45%の累進税率により課税されます。

総合課税の配当所得には税額控除である「配当所得控除」が適用され、所得税では配当所得の10%または5%、住民税では配当所得の2.8%または1.4%が、それぞれの税額から控除されます。

配当控除適用後の実質税率
課税所得金額
(配当所得含む)
所得税 住民税
累進税率 配当控除率 実質税率(*4) (参考)申告分離課税の税率 所得割 配当控除率 実質税率 (参考)
申告分離課税の税率
195万円以下 5% 10% 0% 15% 10% 2.8% 7.2% 5%
195万円超
330万円以下
10% 0%
330万円超
695万円以下
20% 10%
695万円超
900万円以下
23% 13%
900万円超
1,000万円以下
33% 23%
1,000万円超
1,800万円以下
5% 28% 1.4% 8.6%
1,800万円超
4,000万円以下
40% 35%
4,000万円超 45% 40%

(*4)2037年まで上記所得税率で計算した所得税額の2.1%の復興特別所得税が上乗せされます。

総合課税の選択が有利になる課税所得金額の目安は、所得税の場合、およそ900万円以下(配当所得を含む)です(申告不要・申告分離課税の場合の税率は15%・復興特別所得税除く・損益通算する損失がない場合)。

住民税は課税所得に関係なく申告不要・または申告分離課税を選択したほうが有利です。

所得税と住民税は別々の課税方式を選択できるため、住民税は申告不要・または申告分離課税を選択するようにしましょう。所得税と異なる課税方式を選択する場合には、住民税の納税通知書が届く前に、市区町村へ住民税の課税方式を示した申告書等を提出する必要があります。

手続きの詳細については各市区町村の税務課等に確認してください。

 

退職金受取時に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない人

国内で退職金(退職手当等)の支払いを受ける際には、原則「退職所得の受給に関する申告書」を提出することになっています。申告書を提出すれば退職所得控除が差し引かれた退職所得金額に対して所得税・住民税が源泉徴収され、課税が終了します。

この申告書を提出しなかった場合、退職所得控除を差し引く前の退職金額に対して20.42%の税率で源泉徴収が行われるため、過大に税金を徴収されることになります。本来の税額との差額を調整するために確定申告が必要です。

 

確定申告の手続き

確定申告の手続き

確定申告は必要な書類を揃え、作成した申告書を税務署に提出して行います。

  1. 必要書類の準備
  2. 申告書等の作成
  3. 申告書等の提出
  4. 納税(還付)

 

 

申告期間

確定申告は原則翌年の2月16日から3月15日に行います(期日が土日であれば翌月曜日)。申告しなければならない所得がなく、還付申告のように税金の還付などのために納税者が任意で行う申告については、例外として翌年1月1日から5年間申告が可能です。

住宅ローン控除の適用を受けるためサラリーマンが行う初回の申告については、居住し始めた年の翌年1月1日から3月15日までに行います。

 

STEP1:必要書類(源泉徴収票や各種証明書など)の準備

申告書の作成に必要な書類や提出・提示が必要な書類を揃えます。申告する所得や適用を受ける控除によって、次のような書類が必要になります。

項目 必要書類
収入 給与 給与所得の源泉徴収票
事業・営業等
  • (青色申告者)青色申告決算書
  • (白色申告者)収支内訳書

いずれも総収入金額および必要経費内訳の記載されたもの

事業・農業
不動産
配当 配当の種類に応じた次の書類

  • 特定口座年間取引報告書
  • 上場株式配当等の支払通知書
  • 配当等とみなす金額に関する支払通知書
  • オープン型証券投資信託の分配金支払通知書
退職 退職所得の源泉徴収票
雑・公的年金等 公的年金等の源泉徴収票
所得控除 雑損控除 災害等に関連してやむを得ない支出をした金額についての領収書
医療費控除 医療費控除明細書医療費通知(原本・記載省略の場合のみ)、各種証明書
医療費控除の特例
(セルフメディケーション税制)
セルフメディケーション税制の明細書一定の取組を行ったことを明らかにする書類
社会保険料控除 社会保険料(国民年金保険料)控除証明書(国民年金保険料・国民年金基金掛金の控除を受ける場合)
小規模企業共済等掛金控除 支払った掛金額の証明書
生命保険料控除 支払額などの証明書(旧生命保険料にかかるもので1契約9,000円以下のものは除く)
地震保険料控除 支払額などの証明書
寄付金控除 寄付団体から交付された寄付金の受領書
勤労学生控除 学校や法人などから交付される証明書
障害者控除
配偶者(特別)控除
扶養控除
(国外に居住する親族について適用を受ける場合のみ)親族関係書類送金関係書類
税額控除 住宅借入金等特別控除 参照
住宅耐震改修特別控除
住宅特定改修特別税額控除
参照
認定住宅新築等特別税額控除 参照
政党等寄付金特別控除 政党等寄附金特別控除額の計算明細書等、寄付金税額控除のための書類(選挙管理委員会等の確認印のあるもの)
認定NPO法人等寄付金特別控除 参照
公益社団法人等寄付金控除 参照
外国税額控除 外国税額控除に関する明細書外国所得税を課税されたことを証明する書類

2019年4月1日以後の申告分からは、源泉徴収票等(上表の赤字で示した書類)の添付・提示・保管は不要です

 

STEP2:申告書の作成

確定申告書は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」から作成するのが最も簡単です。

STEP2:申告書の作成

画面の指示に従いながら、次のような手順で入力を進めて行けば自動的に税額(還付税額)の計算され、申告書が作成できます。

  1. 提出方法の選択(e-Tax提出・書面提出)
  2. 作成する申告書等の選択
  3. 青色決算書・収支内訳書の作成(事業所得・不動産所得のある人のみ)
  4. 収入金額・所得金額の入力
  5. 給与所得の入力
  6. 不動産所得の入力(家賃収入などがある場合)
  7. 雑収入(その他)の入力(事業所得とならない副業収入などがある場合)
  8. 退職所得の入力
  9. 所得控除の内容・金額を入力
  10. 税額控除の内容・金額を入力
  11. 納付(還付)税額の計算結果を確認
  12. (個人)住民税の徴収方法などの事項を入力
  13. 住所・氏名等の個人情報やマイナンバーのを入力

 

e-Taxでの提出には事前準備が必要

確定申告書の提出方法には、e-Taxを利用してインターネット経由で提出する方印刷して書面で提出(窓口持参・郵送)する方法があります。

e-Taxでの提出には事前準備が必要となるため、なるべく早めに(できれば年内)に準備しておきましょう。

e-Taxでの提出には事前準備が必要

 

e-Taxで提出する方法

e-Taxによる提出には、【マイナンバーカード方式】【ID・パスワード方式】があります。

e-Taxで提出する方法

 

マイナンバーカード方式による申告書作成手順
  1. マイナンバーカードとICカードリーダライタ(またはマイナンバーカード対応のスマホ)を用意(昨年以前にe-Taxを利用したことがある場合は、その際通知された利用者識別番号と暗証番号も必要です)
  2. サイトから事前準備セットアップ(確定申告書等作成コーナー用モジュールと電子証明書を利用するために必要なソフトウェアのインストール)を行う
  3. 確定申告書等作成コーナーから申告書を作成する

 

ID・パスワード方式による申告書作成手順
  1. 税務署に納税者本人が出向き、職員が本人確認書類により本人確認を行い、ID・パスワードを発行してもらう
  2. 確定申告書等作成コーナーでID・パスワードを入力し、申告書を作成する

ID・パスワード方式による申告書作成手順

マイナンバーカードとICカードリーダライタ(またはマイナンバー対応スマホ等)があれば、確定申告書等作成コーナーのトップ画面【ID・パスワードの届出】からインターネット経由で届出を行い、ID・パスワードを発行することもできます。

 

e-Tax準備マニュアル

詳細については、国税庁サイトの操作マニュアルをご確認ください。(e-Taxで送信するための準備マニュアル(国税庁サイト))

e-Tax準備マニュアル

 

STEP3:申告書等の提出

作成した申告書は、選択した提出方法により税務署へ提出します。

 

e-Taxで提出する場合の手続き

e-Taxにより提出する場合、作成した申告書等の内容を確認後、データを送信して提出します。送信後に受付結果を確認して提出が完了します。

添付書類などは提出を省略できますが(→提出省略可能な添付書類)、一部の証明書などは書面による提出が必要です。提出が必要な書類は、申告書と同時に作成される送信票兼送付票で確認できます(送付票「別途提出」欄に○のある書類)。

e-Taxで提出する場合の手続き

 

書面で提出する場合の手続き

書面で提出する場合、自宅のプリンタやコンビニなどのネットプリントを使って、申告書のPDFファイルを印刷します。

印刷した申告書は添付または提示が必要な書類とともに、確定申告期間内に住所地を管轄する税務署に持参(窓口へ提出、またはポストへ投函)するか、郵送して提出します。郵送の場合は消印の日付が提出日となります。

 

サラリーマンでも確定申告が必要な場合に関するまとめ

サラリーマンでも申告すべき所得があれば確定申告をしなければならず、控除で税金が安くなるなら確定申告をしたほうがよいでしょう。それぞれどのような場合なのかをよく理解して、申告を忘れずに行いましょう。

 

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