- 概算的な手取り年収は「年収-(税金+社会保険料)」。
- 手取り年収を増やしたいなら控除を増やそう!
- 「手取り年収-昨年の貯金額」が生活水準!
公開日:2020年2月27日
こんにちは、婚活FP山本です。FP相談の折には、基本的に年収確認のために源泉徴収票を持ってきてもらうのですが、意外と多くの方が見方を知りません。中には、大きめに自分の年収を勘違いしている方もいるほどです。
特に手取り年収となると多少の計算が必要になりますから、尚更かもしれません。そこで今回は、源泉徴収票の見方とともに、手取り年収の計算方法などについて詳しくお伝えします。あなたの人生に、お役立て下さいませ。
合わせて知りたい、確定申告と源泉徴収票の関係はこちらをご覧ください。
目次
まずは、年収の基本的な種類についてです。普段はさほど意識しないものですが、実は年収というのは大きく以下の3種類があります。
日常的に気にするのは「手取り年収(月収)」という方も多いですね。もちろん、普段はそれで問題ありません。とはいえ、残り2つの年収についても意識するほどに、肝心の手取り年収を増やせる可能性も出てきます。
ちなみに、この3種類の年収すべてを確認できるのが源泉徴収票です。ぜひ一度、年末ごろにもらったであろう自分の源泉徴収票を確認してみましょう。
自分が気にするのは手取り年収であることが多いですが、就活や婚活などで「他人に伝える時」には、総額の金額である「(額面)年収」を使うのが基本です。なぜなら、手取り収入は当人や勤め先の事情で変わってきますからね。
それに、手取り年収は額面年収より少なくなりますから、自分の年収を大きく見せる効果もあります。どちらを使えばいいか迷った時には、基本的に「(額面)年収」を使っていきましょう。
次は、源泉徴収票に書かれている内容と見方についてお伝えします。源泉徴収票は細かく色んな情報が載っていますが、基本的な「見るべきポイント」は以下の4ヶ所です。
「給与所得控除後の金額」とは、年収から給与所得控除というものを差し引いた後の金額です。給与所得控除とは簡単にいえば「税金計算上の経費」で、給与所得者だけが差し引ける特権といえます。税金計算をする際には、この数字を確認しましょう。
また支払金額には、通勤手当など非課税なものは含まれていませんから、厳密に言えば実際の年収とは少しズレます。ひとまず、これらの見方はしっかり押さえておきましょう。
源泉徴収票には他にも色々な情報が載っていますが、これらは基本的に「所得控除」に関する情報です。先ほど給与所得控除というものを年収から差し引く話がありましたが、当てはまるものがあれば同様に差し引け、その総額が「所得控除の額の合計額」の欄に記載されています。
最終的には「給与所得控除後の金額」から「所得控除の額の合計額」を差し引き、残額に税率を掛けることで「源泉徴収税額」に記載された所得税額が計算できる流れです。今後は税金の控除方法についても学んでいきましょう。
今度は、源泉徴収票での手取り年収の計算方法についてお伝えします。結論から言えば、以下がその計算式です。
簡単に言えば、「年収-(税金+社会保険料)」ですね。なお、厳密に言えば実際の手取り年収を計算するには「住民税」も考える必要があります。しかし、住民税額は源泉徴収票に記載がないどころか、そもそも「前年の所得分を今年支払う」という性質のものです。
このため、なるべく厳密に計算したい場合は、給与明細の住民税欄にある数字を12倍するか、「住民税決定通知書」の数字を見る必要があります。どちらか簡単な方法で住民税額を確認して、より正確な「手取り年収」を把握していきましょう。
より正確な手取り年収を……という場合には、やはり給与明細が大切といえます。給与明細がボーナス分も含めて一年分あれば、それを全て合計すればいい訳ですからね。とはいえ、そこまで正確な手取り額を知る必要があるケースは滅多にありません。
その一方、やはり給与明細の内容を理解しておくことも大切です。概算的な手取り額の把握に慣れてきたら、給与明細についても少しずつ確認してみましょう。
ここからは、手取り年収について補足情報をお伝えします。まず、手取り年収を増やしたい場合は「所得控除を増やす」ということが重要です。先ほども少し触れた通り、使える所得控除を増やせれば税金計算上の年収が下がることになり、総じて納める税金額も下がることになります。
ちなみに所得控除は現在14種類あり、家族や災害など自分の意志で簡単には増減できないものも多いものの、以下の控除なら場合によっては増額可能です。
一番ハードルが低いのは「生命保険料控除」でしょうか。最近では、ふるさと納税やiDeCoも人気が高いといえます。これらは全て会社員でもできる税金対策です。ぜひ少しずつ税金についての勉強も重ね、少しでも手取り年収を増やしていきましょう。
所得控除を増やすということは、それに対応する「支払い」が基本的に必要になります。またiDeCoは掛金を下回る可能性がありますし、多くの控除には「限度額」もあるため、とにかく増やせばいいというものでもありません。
ハッキリ言って、ムリな支払いは「ただの無駄遣い」です。しっかり税金のことを学んで考えて、そのうえで使えると判断した時にこそ所得控除を増やしていきましょう。
今度は、税引前の税込年収(額面年収)を上げることも大切という点です。節税して手取り年収を増やすことも大切なのですが、けして手取り年収は額面年収を上回ることはありません。どんなに節税しても、あくまで額面年収の範囲でしか増えない訳です。
それに、年収(給与所得)が増えるほどに税率も高まるからこそ、同じ節税行為でも節税効果が高まることにも繋がります。現代は中々年収が上がらない時代ですが、それなら「副業」という手段だってアリです。十分な経験や実力を身につけて「転職」するのもアリといえます。
あなたの源泉徴収票に書かれた年収は、何らかの平均年収と比べていかがでしょうか?そもそも年収が低いと感じているのであれば、ぜひ今後は上げる努力にも励んでいきましょう。
なお、副業による確定申告が気になる方は以下記事も参考にどうぞ。
稀に勘違いしている方もいるのですが、税金というのは稼いだ利益の一部を納める行為です。けして、「増えた年収分を上回る税金が発生した」ということはありえません。年収が高いほど税金額も増えるものの、やはり年収が高くなるほど手取り年収も増えます。
もし万一、「年収を上げたら損」と考えているのであれば、それは完全な誤解です。今後、様々なことにお金が必要になるでしょうし、存分に稼いでいきましょう。
なお、年収と幸福度が気になる方は以下記事も参考にどうぞ。
最後に、手取り年収の応用的な使い方についてお伝えします。実は、「手取り年収-昨年の貯金額」を計算すると、当人の生活水準も計算可能です。理屈は簡単で、手取り年収から去年貯金できた分を差し引いた残りは、すべて生活に使ってしまったことになりますよね。
さらにこの数字と、将来的な自分の年金額とを差し引きすれば、「老後生活一年あたりの予想貯金取り崩し額」が分かります。そしてその数字を35年分程度考えれば、60歳頃に必要な自分の老後資金額の目安が分かってくる訳です。
なお、「定年後は生活水準も下がる」と考える方も多いですが、実際には下がらないことも多いといえます。甘めに考えるのではなく、むしろ厳しめに考えて、準備をしておきましょう。
実際に先ほどのような計算をすると分かるでしょうが、老後資金は2000万円では足りないことが多いです。一般論で言えば「倍の4000万円程度」は必要で、それ以上になることもよくあります。国のいう2000万円とは、最低限という意味合いで捉えておいた方が無難です。
お金は足りない分には困りますが、ありすぎて困ることはなく、余ったなら子供や兄弟姉妹を相続を通して助けることになります。ぜひ存分にお金を稼ぎ、そして老後に備えていきましょう。
なお、老後資金は必ずしも現金や貯金で備えるものでもなく、資格取得や起業、資産運用などで備えることも可能です。そして「健康」も重要になってきます。いずれにしても、定年を迎えてからでは遅いですから、少しでも早くから準備を始めましょう。
なお、老後対策に向けたライフプランが気になる方は以下記事も参考にどうぞ。
源泉徴収票があれば、自分の年収を正しく知ることができます。概算的にですが、手取り年収だって計算可能です。そして、手取り年収を増やす努力とともに額面年収を上げることも重要といえます。自分の状況を客観的に理解し、そのうえで前進する材料にしていきましょう。
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