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終身保険を活用して貯蓄する誤った考え方を徹底的に切り捨てます

保険屋さんの営業トークに騙されないで!終身保険を活用して貯蓄する誤った考え方を徹底的に切り捨てます

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佐藤 元宣

佐藤 元宣

佐藤元宣FP事務所代表CFP、1級ファイナンシャルプランニング技能士、経理実務士

税理士や社会保険労務士といった士業事務所経験と保険代理店を行った経験などを活かし、生活する上で避けて通れない「お金」の相談に幅広く応じている独立系FP。家計の収支状況と専門性を融合したプランニングを提供しています。

この記事のポイント

  • 終身保険を活用して貯蓄する誤った考え方の理由を紹介しています
  • 貯蓄性保険について紹介し、終身保険も含めてどの程度のお金が差益として得られるのかシミュレーション例を紹介しています
  • 保険屋さんが推す外貨建て終身保険の注意点を紹介しています

この記事は約4分で読めます。

終身保険は、貯蓄性がある生命保険と言われることがありますが、現状では、生命保険を活用した資産運用や将来の貯蓄のためにわざわざ加入することは残念ながら得策とは言えません。

なぜならば、日本銀行が施行したゼロ金利政策やマイナス金利政策が大きく関係しており、結果として、保険契約者である私たちが十分な恩恵を受けられないからです。

本記事は、日本銀行の金利政策について詳しく解説することはありませんが、なぜ、終身保険を活用して貯蓄することが誤った考え方なのか、貯蓄性保険と合わせてわかりやすく解説を進めていきます。

 

貯蓄性保険について知ろう

終身保険を活用して貯蓄することが誤った考え方であることをお伝えする前に、そもそも、貯蓄性保険とは何なのか説明します。

貯蓄性保険とは、ざっくり言ってしまえば、学資保険や個人年金保険などがあてはまり、終身保険も貯蓄性の保険と言われることがあります。

これら3つの生命保険に共通していることは、満期まで保険料の払い込みをすることで、満期返戻金や解約返戻金が、既払保険料を超えて差益が出るといった仕組みです。

そのため、この差益分が、いわゆる預金で言うところの利息の代わりとなり、預金を活用するよりも多く貯蓄ができましたといったイメージとなります。

ここだけを見ますと、一見、貯蓄性保険は良さそうなイメージもありますが、なぜ、終身保険や貯蓄性保険を活用して貯蓄することが誤った考え方なのか、次項から解説を進めていきます。

 

終身保険や貯蓄性保険で貯蓄することが誤った考え方の理由

終身保険や貯蓄性保険で貯蓄することが誤った考え方の理由として、元本割れの期間が長く流動性に欠ける、長い時間をかける割には差益が少ないことがあげられます。

 

元本割れの期間が長く流動性に欠ける

終身保険・学資保険・個人年金保険で差益を得るためには、大前提として、満期まで保険を掛け続けていかなくてはなりません。

たとえば、学資保険の場合ですと、すべての保険契約ではありませんが、子供が17歳や18歳といった年齢に達するまで学資保険料の払い込みを続けて満期を迎えなければならないため、それまでの間に保険契約を解約すると元本割れが生じます。

この例ですと、17年間から18年間までの期間が元本割れを起こす期間にあたり、一言で期間が長いだけでなく、預金に比べていつでもお金を引き出すことができるといった流動性に欠けています。

同じ考え方となりますが、終身保険は、10年払済、60歳払済、80歳払済など、様々な保険料払込期間を選ぶことができますが、この保険料払込期間を超えてからでなければ、差益が発生することはなく、かつ、保険料払込期間が短ければ短い程、支払保険料は高額となります。

 

貯蓄の本来の目的を考える

そもそも貯蓄は、緊急予備資金としての目的もあり、緊急予備資金とは、急にお金が入り用になった場合に、いつでもすぐに引き出して活用することができるお金のことを言います。

終身保険や貯蓄性保険で貯蓄するということは、長い期間に渡って元本割れが続くデメリットがあるため、緊急予備資金としての目的を果たしておらず、そもそも貯蓄なのか疑問が残ることも否めません。

 

長い時間をかける割には差益が少ない

現状、終身保険も含めた貯蓄性保険は、長い時間をかけて保険料を支払う割に、解約返戻金や満期返戻金の差益が非常に少なくなっています。

以下、某保険会社が公開しているシミュレーターを活用して筆者がシミュレーションした結果を一例として表にまとめて紹介しておきます。

なお、シミュレーションにあたり、終身保険は、30歳男性が300万円の保険契約を65歳になるまで保険料を払い込むものとし、学資保険は、30歳男性が、300万円の保険契約を0歳から18歳までの18年間に渡って払い込むものとします。

終身保険 学資保険
1ヶ月あたりの支払保険料 5,802円 13,374円
満期までの払込保険料 2,436,840円 2,888,784円
解約返戻金・満期返戻金 2,649,960円 3,000,000円
差益 213,120 111,216
返礼率 108.7% 103.8%
1ヶ月あたりの差益 約507円 約514

終身保険や学資保険といった貯蓄性保険は、返礼率が100%を超え、見た目では得をしているような気がするのは確かですが、実際に金額として見てみますと、たったこれだけ?と感じる方がおそらく多いのではないかと思います。

1ヶ月あたり約500円程度のお金を貯蓄するために、高い保険料を支払っていることを考えますと、はたしてどうなのでしょう?

筆者個人としては、もっと貯蓄するならば効率的で良い方法があると言い切りますが、個々の考え方はそれぞれ異なりますので、見た目だけではなく本質を見た上で、終身保険などの貯蓄性保険を活用した貯蓄について、改めて考えていただきたいものと感じます。

 

保険屋さんが推す外貨建て終身保険も要注意

保険を活用した貯蓄の中でも、最近、非常に目立つのが、外貨建て終身保険を活用した貯蓄プランです。

筆者自身もライフプランニングの相談や保険の見直し相談の中で、お客様から外貨建て終身保険を保険屋さんに勧められたのですが、どうなのですか?といった質問が非常に多いことを率直に感じています。

結論から申し上げますと、外貨建て終身保険も貯蓄として活用するのは、やはり大きな誤りとなります。

 

外貨建て終身保険は、為替リスクが発生する

外貨建て終身保険は、アメリカドルやオーストラリアドルなどのように、海外の外貨をベースとした終身保険になるため、必ず為替リスクが発生することになります。

為替リスクが発生するということは、負担する保険料や受け取る保険金も為替による影響を受けるため、円建ての終身保険と異なり、基本的に不確実なデメリットが付きまとうことになります。

また、基本的に保険金を外貨で受け取るということは、外貨を円に換金する必要もあるわけでありますから、受け取った金額が大きければ大きい程、外貨から円への換金手数料も高くなってしまうデメリットも生じます。

外貨建て終身保険を販売している保険屋さんや銀行などは、高い解約返戻金を猛アピールしているのが一般的だと思われますが、為替リスクが発生するということは、場合によって含み損が発生するリスクがあることも理解しておく必要もあります。

外貨建て終身保険を売る側は、詳しく説明することはまずもってないと予測できますが、貯蓄のために加入した外貨建て終身保険で損失を被るといった、目的から外れた結末になる可能性があることもあらかじめ知っておかなければならないのです。

このように考えますと、ある意味、外貨建て終身保険は、円建ての終身保険よりもたちが悪い保険と考えることができます。

 

まとめ

終身保険は、そもそも死亡や高度障害になった場合に、家族の生活保障をするための生命保険であることが本来の目的でありますから、貯蓄を目的とした将来の資産形成には向いていない金融商品です。

また、外貨建て終身保険を含む終身保険は、支払った保険料の内、保障部分に回るお金が多く、積立部分に回るお金が少ないといった仕組みになっているため、貯蓄目的をした資産形成には長期間を要することも決して忘れてはなりません。

仮に、将来の貯蓄を考えるのであれば、何のための貯蓄なのかを明確にしておくと、その目的を達成するための良い貯蓄方法が見つかりますので、終身保険や貯蓄性保険に固執せずに、幅広い視野で貯蓄を考えてみることをおすすめします。