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iDeCo(イデコ)節税メリット3点を検証!毎月5,000円の掛け金でも合計152万円も節税に?

iDeCo(イデコ)の節税メリット3点を検証!毎月5,000円の掛け金で合計152万円も節税に?

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著者名

佐々木 裕平

佐々木 裕平

1級ファイナンシャルプランニング技能士

中立・公正な立場から金融リテラシーを発信します。お金の疑問を「なるほど!」に変えます。書籍「入門お金持ち生活のつくり方」(こう書房)にてAmazon kindle全体1位達成。【所属・学会・協会:金融教育研究所代表/行動経済学会/NPO法人日本FP協会】

この記事のポイント

  • 通常の証券会社などで投資をするよりも、掛け金が全額所得控除になるので、お得!
  • 運用益も非課税で再投資できるので、やっぱり通常の証券会社などでの投資より、お得!
  • さらに受け取る時にも控除があるので、やっぱりお得!

同じ収入(または同じ人物)であったとしても、節税が上手にできている人とそうでない人では、数十年間という長期で見ると、戻ってくるお金が数百万円も違う、そんなことが起こり得ます。

そして、その差は、ほんの少しの知識と行動の差で起こることもあります。

本記事タイトルの毎月5,000円の掛け金で合計152万円節税になるのは「会社員で年収500万円・運用利回5%(仮)」のシミュレーション一例(所得税控除と運用益非課税の最長40年間の合計額)です。働き方や掛け金・年収などによって異なりますが、詳細は本文内にて。

本記事では、iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)での節税メリットについて見てみたいと思います。

iDeCoって何?という方は、まずこちらを御覧ください。

 

 

iDeCo(イデコ)3つのお得な節税ポイント!

iDeCo(イデコ)3つのお得な節税ポイント!

iDeCo(イデコ)とは、老後に備えるための「もう一つの年金」です。厚生労働省の管轄ですが、加入「する・しない」は本人の意思で決めます。

自分で育てる自分の年金

老後のために きると=イデコ

引用元:iDeCo公式サイト

なぜiDeCo(イデコ)があるかと言えば、今後は公的年金だけでは老後の資金が不足する人が出てくると考えられる一面があるためです。

つまり、自分で将来(老後)の自分のためのお金を形成・運用しないといけない可能性がある人が多いのですね。そのため、現時点では、日本に住むほぼすべての人(基本的に20歳以上60歳未満)が加入できます。

そういう一面がありますから、通常の預貯金や投資よりも税制上優遇されているんです。

そのため、税制上だけを考えれば、通常の預貯金や投資よりも優先して取り組むべき、と言えます。

ただ、原則として60歳まで引き出せませんので、別途「いつでも使える預貯金」などを確保しておくことも重要です。

それをふまえた上で、iDeCo(イデコ)の節税ポイントを3つ紹介します。

  1. 掛金が全額所得控除
  2. 運用益が非課税
  3. 受け取る時に控除がある

順に見てみましょう。

 

iDeCo(イデコ)の節税メリット①:掛金が全額所得控除

まず、掛け金とは、iDeCo(イデコ)に毎月、あるいはまとめて預ける(拠出する)金額のことを指します。ここでの全額は、年間で預けたお金です。

そして、控除とは「金額を引きますよ」ということです。

つまり、掛け金が全額所得控除というのは「預けたお金を課税される所得から引きますよ」ということなんです。

ちなみに、税金は課税される所得が大きいほど大きくなります。ですので「掛け金が全額所得控除」されると、「(課税所得がある場合)何もしない」より税金が減ります。つまり、節税になるのですね。

 

言葉で言うと分かりづらいので、一例を出してみましょう。

※一例は概算です。個別具体的な税金額は税務署などで確認しましょう

①仮に課税所得が400万円のAさんがいるとします。この場合、合計納税額は、78万5,300円だとします。

②次に、仮にAさんがiDeCo(イデコ)で毎月5.5万円(年間で66万円)お金を預けていたとします。すると、課税所得から66万円が引かれます(これが控除ということですね)。つまり、Aさんの課税所得は334万円になったわけです。ということは、税金も減ります。この場合は58万円4,500円になりました。

課税所得 合計納税額
①なにもしない 400万円 78.53万円
②iDeCo(イデコ)の掛け金(年間66万円)を全額所得控除 334万円 58.45万円

①なにもしない→課税所得400万円 合計納税額78.53万円

②iDeCo(イデコ)の掛け金(年間66万円)を全額所得控除した→課税所得334万円 合計納税額58.45万円

結果、何もしないより、iDeCo(イデコ)の掛け金を全額所得控除すると、20.08万円の節税になりました。

大変に乱暴に言いますと(正確な表現ではありませんが)Aさんにとっては20万円ほどお得になった、ということです。

これが仮に20歳から60歳になるまでの約40年間としますと、およそ800万円ほど(何もしないのと比べると)お得になるワケですね。Aさんにとっては、収入が全く変わらなくても、800万円ほどお得になるのですから、利用した方が良いということになりそうです。

また、通常の銀行や証券会社で貯蓄や投資をしても、このメリットは発生しませんので、やはり節税面だけを考えると、通常の銀行や証券会社の口座よりもiDeCo(イデコ)の口座を優先させる方が(税制面では)有利です。

iDeCo(イデコ)では預けたお金が全額所得控除されるので、課税所得のある人にとっては節税になる。

 

iDeCo(イデコ)の節税メリット②:運用益が非課税

では、次のiDeCo(イデコ)3つのメリットその2「運用益が非課税」というのはどういうことでしょうか。

ちなみに運用益というのは、配当ですとか売却差益(安く買って、高く売ると、その差額が利益になる)などの得をした金額を指します。

※正確には、運用益が非課税で「再投資できる」です。投資では利益を再投資すると、雪だるま式(複利効果)に資産を大きくできる効果が発揮することがあります。本記事は節税に焦点を当てておりますので、再投資についてはここまでにして、別記事で詳しく述べたいと思います。

一般的に投資で利益を得ますと、20.315%の税金がかかります。と言うとやっぱりわかりにくいので、金額にしましょう。

①Aさんが通常の証券会社の口座などで100万円の運用益を得たとします。そうすると、税金だけで20万3,150円が引かれてしまうことになります。Aさんの手元に残るのは、79万6,850円です。この場合、利益を再投資をしても、税金が引かれているので、再投資の効果は少し弱まってしまいます。

②一方、iDeCo(イデコ)で行いますと、100万円の利益(運用益)に税金がかかりません(非課税)ので、再投資の効果は弱まりません。ただ、通常の証券会社と異なり、基本的にiDeCo(イデコ)口座内のお金は60歳を超えないと受け取れません。

一例のイメージ
運用益 税金
①通常の証券会社の口座 100万円 20.315万円が引かれる
②iDeCo(イデコ)の口座 100万円 ゼロ・非課税で再投資される

iDeCo(イデコ)だと、運用益が非課税なので、資産形成が有利になりやすい(非課税分に関してであり、そのほかのリスクなどは変わらない)。

 

iDeCo(イデコ)の節税メリット③:受け取り時にも控除がある

では、iDeCo(イデコ)メリット3つ目の「受け取り時にも控除がある」は、どういうことでしょうか。おさらいですが、iDeCo(イデコ)口座内のお金(資産)は、原則として60歳まで引き出せません。

そして、60歳以降の受け取り方法は大きく3種類あります。

  1. 60歳から70歳までの間に一括で受け取る
  2. 5年以上20年以下の有期年金として受け取る
  3. 上記1と2を併用して受け取る

で、この時に「まとめて受け取る時」に公的年金等控除が受けられます。また、「有期年金として受け取る時」には、退職所得控除が受けられます。

この時に、どっちが得か?はその時(そしてその後の不透明な)の経済情勢、そのほかの退職金のある・なし、そのほかの所得などによって、人によって変わってきます。個別具体的な税に関する相談は、税務署などに問い合わせましょう。

iDeCo(イデコ)だと、受け取る時にも控除が受けられることがある。

 

iDeCo(イデコ)での節税効果を検証!

iDeCo(イデコ)での節税効果を検証!

iDeCo(イデコ)を利用していると、メリットである控除や非課税により、節税効果があることが分かりました。それでは、次に具体的に、どのような人がどれくらい掛け金を出して、どれくらいの運用利回りで運用したら、どのくらい節税効果があるのかを見てみましょう。

 

 

iDeCo(イデコ)での節税:私はいくら戻ってくるの?金額をシミュレーション!

これからiDeCo(イデコ)での節税効果をシミュレーションしてみますが、注意点があります。

  • 登場人物は全員20歳
  • 60歳までiDeCo(イデコ)に毎月拠出する
  • 月の最低掛け金額5,000円と掛け金の上限の2種類
  • 運用利率は5%(かなり高い数字です、運用成果は不透明であり、こうなるとは限りません)
  • 自営業者は課税所得400万円・会社員と公務員は年収500万円・主婦・主夫は年収103万円として行う

働き方には種類(公務員・会社員・自営業者・所得のない主婦・主夫など)があります。そしてiDeCo(イデコ)では、それらの働き方などによって、掛け金の上限が異なります

また、運用商品は「自分で選ぶ」ことになります。さらに、投資信託での運用利回り(確定している利回りではなく期待されるリターンなので、未来を保証するものではなく、前提としてあやふやなモノ)は経済環境や社会情勢などにより、変化します。

そのため、シミュレーションはあくまでも、一例であり、未来を保証する数字ではありません

また、本記事では節税メリット1「掛金が全額所得控除と2の「運用益が非課税」についてシミュレーションしています。

3の「受け取る時に控除がある」に関しては、そもそものiDeCo(イデコ)のお金がどうなっているのか、その他の退職金のある・なし、年金の状況などにより、変化します。

さらに、1と2に関しても、収入やその他控除などで個人により異なりますので、個別具体的な相談に関しては税務署などでご確認ください。

シミュレーションはあくまでも一例。また、個人の状況によって、異なるので個別具体的な数字は税務署などで確認する。

 

iDeCo(イデコ)節税シミュレーション①自営業者:毎月5,000円掛けていたら?

自営業者のiDeCo(イデコ)の掛け金の上限額は月68,000円ですので、人によっては大変に節税効果が見込まれます。

ただし、自営業者には会社員などと異なり、厚生年金などがありませんので、一概に有利とは言えません。

課税所得 掛金/月 運用利率(仮) 年間節税額 40年間の節税額 40年間の運用益の非課税額
自営業者 400万円 5,000円

(最低掛け金)

5% 18,000円 720,000円 1,046,020円
68,000円

(掛け金上限)

244,800円 9,792,000円 14,225,874円

 

iDeCo(イデコ)節税シミュレーション②会社員:毎月5,000円掛けていたら?

会社員の場合は、企業年金や企業型確定拠出年金の「ある・なし」により、上限額が異なります。

年収 掛金/月 運用利率(仮) 年間節税額 40年間の節税額 40年間の運用益の非課税額
会社員 500万円 5,000円

(最低掛け金)

5% 12,000円 480,000円 1,046,020円
12,000円

(企業年金のある会社員の掛け金上限)

28,800円 1,152,000円 2,510,448円
20,000円

(企業型確定拠出年金のある会社員の掛け金上限)

48,000円 1,920,000円 4,184,081円
23,000円

(企業年金のない会社員の掛け金上限)

55,200円 2,208,000円 4,811,693円

 

iDeCo(イデコ)節税シミュレーション③公務員:毎月5,000円掛けていたら?

公務員の場合は、掛け金上限額は12,000円です。

年収 掛金/月 運用利率(仮) 年間節税額 40年間の節税額 40年間の運用益の非課税額
公務員 500万円 5,000円(最低掛け金) 5% 12,000円 480,000円 1,046,020円
12,000円(掛け金上限) 28,800円 1,152,000円 2,510,448円

 

iDeCo(イデコ)節税シミュレーション④専業主婦・主夫:毎月5,000円掛けていたら?

では、専業主婦・主夫などの場合はどうでしょうか。ここでは年収が103万円のケースで見てみます。

年収 掛金/月 運用利率(仮) 年間節税額 40年間の節税額 40年間の運用益の非課税
主婦・主夫 103万円 5,000円(最低掛け金) 5% 0円 0円 1,046,020円
23,000円(掛け金上限) 0円 0円 4,811,693円

課税される所得のない主婦・主夫の場合は、所得控除ができませんので、毎年の節税額が0円になります。

所得が103万円を超える(あるいはある程度の収入がある)場合は、節税になるケースがあります。個別具体的な相談は税務署などでしてみましょう。

※iDeCo(イデコ)節税の具体的な手続きの仕方(年末調整・確定申告のやり方)については、関連記事をご覧ください。

 

 

iDeCo(イデコ)での節税効果について

  • 通常の証券会社などで投資をするよりも、掛け金が全額所得控除になるので、収める税金が減ってお得!
  • 運用益も非課税で再投資できるので、やっぱり通常の証券会社などでの投資より、お得!
  • さらに受け取る時にも控除があるので、やっぱりお得!

iDeCo(イデコ)では、上記のように税制面でのお得なメリットがあります。

個人差がありますが、上手に利用できると、お得な制度と言える一面があります。ただ、原則として「60歳まで引き出せない」という点(メリットにもデメリットにもなり得ます)がありますので、家計の状況と照らし合わせながら掛け金を決めたりすることが肝心です。

 

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